第106話 結晶の中の戦争
チブチャ虫の体は小さく丸っこい。壁が砕かれた後、あちこちに飛ばされたが、ほとんど傷を負っていないようで、どの個体も必死に這い上がってきた。壁を砕いた数体の粉砕者の甲殻に、無数の細かな衝突音がすぐさま響いてきた。
チブチャ虫の前肢の先端は空洞になっており、そこから結晶でできた小さな尖った針を発射できる。粉砕者の甲殻に響いた音は、まさに放たれた針によるものだった。
適当に狙っているわけではなく、眼球や関節といった部位を狙って攻撃している。しかしリンはとっくにこの点を想定しており、各兵種の眼球には透明な殻質物の層を、関節も特別に硬くしておいたので、あの小さな針では貫通できない。
「ドゴーン!」
砲撃者の爆弾一発が、一斉射撃中のチブチャ虫の群れに直撃した。飛び散った溶解液と強烈な衝撃波によって、無数の不完全な虫の死骸がそこら中に吹き飛んだ。
「カチカチ!」
生き残ったチブチャ虫は、仲間が炸裂するのを目撃した瞬間、一斉に大声で鳴き出し、全員が攻撃を放棄して洞穴の奥へと素早く逃げていった。
とはいえ、五センチ大の生物の群れがどれほど速く走れるというのだろう。リンとしては、全滅する前に砲撃者の射程圏外まで逃げ切れるかどうか、見てみたくなった。
リンは粉砕者を後退させ、砲撃者を洞穴内で横一列に二列並ばせて、洞穴の奥へと逃げ続けるチブチャ虫たちを狙わせた。
ここはとても明るいので、リンは灯籠で照らさなくても狙いを定められた。
最初の一斉射撃で、数十発の爆弾が逃げ惑うチブチャ虫の群れを追い越し、その隊伍の目前で炸裂した。
「ドゴーン——ッ!!」
爆発が一斉に轟音を鳴り響かせ、衝撃波の大音響が結晶で構成された洞穴に反響した。爆発地点の地面と壁面には網目状の亀裂が走り、無数のチブチャ虫がこの一撃で息絶えた。その死骸で完全な形を保っているものは一つもない。
リンは数を数えなかったが、全体から推定して、先ほどの一斉射撃で約六割の虫が死んだと思われる。そして生き残った個体も、前方の地面が爆弾の飛沫による大量の溶解液で覆われてしまい、先に進めなくなった。
なんだ、五十メートルちょっと逃げただけでそんなに死んでしまったのか。これでは面白くないな。
「カチ……!」残ったチブチャ虫の群れは、進めないと見るや、再び一斉に向き直って、リンの部隊をじっと睨みつけてきた。
リンには感じ取れた。この小さな虫たちが、極度の怒りの状態にあることを。
リンは知っている。ほとんどの生物の体内には特殊な構造があり、感情が揺れ動くときに対応する成分(通常は液体だ)を生成する。例えば、恐怖、怒り、興奮したときに、この液体が体内の血液循環を活性化させ、心臓の鼓動を速めるなど様々な効果をもたらし、その結果、動きがより素早くなり、力も普段より強くなる。
だが、この液体には代償がある。過度に使うと体内の細胞が疲労し、栄養が追いつかなければ、死に至ることすらありうる。
とはいえ、生物を戦闘に臨ませるには、この液体はなかなか有用だ。もっとも、リンはこの液体を生成する器官を作ってはいなかったが。
何しろリンは心血管系を直接コントロールして加速させられるので、そんな面倒な仕組みを作る必要がないのだ。
今、チブチャ虫の体内では明らかに、怒りによってこの液体が大量に生成されている。心臓が加速し、動きの速度が以前よりずっと増して、この一時的な力の向上を得た後、群れごとこちらへ突進してきた!
しかし、どれほど強化されたところで、五センチの生物の群れごときが世界を救えるわけがない。
何だか面白い言葉が頭に浮かんでしまった……
「ドゴーン!」
次の瞬間、砲撃者たちが再び一斉射撃を行い、爆弾の砲撃の下、こちらへ突進してきたチブチャ虫の群れは瞬く間に衝撃波と溶解液に呑み込まれた。爆発の余波が収まった後、一面の溶解液と虫の死骸の中で、生き残ったチブチャ虫はわずか六匹だった。
かなり運が良かったようで、たまたま溶解液を浴びず、立っていた位置も衝撃波の被害を受けなかった。しかし、周囲に広がる仲間の死骸を見て、とても喜んでいられはしない……
まったくもって哀れなものだ。
「カチ……」一匹のチブチャ虫が大声で鳴こうとした途端、胸を長い針に貫かれて地面に倒れた。
リンの狙撃者は大型生物を狙撃できるだけでなく、小さな相手に対しても、極めて高い命中率を発揮できる。
リンは残ったチブチャ虫五匹を狙撃で仕留め、一匹だけ残した。その一匹は溶解液の間に閉じ込められて動けず、リンは飛行者を二体放って捕獲に向かわせた。
このチブチャ虫も大声で鳴こうとしたが、その前に、リンはその頭に一つのクラゲをかぶせた。
この「クラゲ」こそが読脳者だ。リンがチブチャ虫の体格に合わせて特別に製造した小型バージョンである。以前、眼虫を研究したものではほとんど進捗がなく、そいつの思考に含まれる情報を解読するのはあまりに困難だった。そこでリンは対象を変えて試し、何か違いがあるかどうか確かめてみたくなったのだ。
しかし、リンはチブチャ虫を分解したことがなく、体内構造も理解していなかったため、読脳者の神経触手を差し込んだ際に、うっかり殺してしまった。
どうやら神経線を切るときに場所を間違えたらしい。まあ、いいか。
リンはチブチャ虫の死骸を分解し、結晶洞穴の奥へと進軍を続けた。
進むにつれて、洞穴全体が次第に狭くなっていった。元々五十メートルあった幅が、徐々に三十メートルほどになり、周囲の環境も暗くなってきた。先ほどチブチャ虫が壁を築いていた場所だけが、ひときわ明るかった。
もっとも、リンには灯籠がたくさんあるので、問題はない。
その後の道のりは完全な暗闇で、灯籠の明かりだけが頼りだった。チブチャ虫にも蜥蜴にも遭遇せず、やがてリンの前に再び光が姿を現した。
あれは……
リンの隊伍の前に強烈な光が差し込んだ。部隊がその光の中へ足を踏み入れると、周囲の洞穴が瞬時に広がり、リンは信じられないものを目の当たりにして、思わず驚きを覚えた。
ここは巨大な地下洞穴だ。高さは約五十メートル、幅はおそらく二百メートルを超える。この空間には、無数の結晶でできたパイプが縦横無尽に張り巡らされ、おびただしい数のチブチャ虫がパイプの中や上を這い回っている。すべてのパイプは、同じく結晶で構成された円盤状の巨体へとつながっており、リンが計算したところ、その円盤の直径は約十メートル、この洞穴の中に二つある。
パイプの上を這うチブチャ虫は、最初のようにすべてが五センチ大というわけではない。リンが見たところ、最小で五センチ、最大で約三十センチほどあり、ただし外見はどれもよく似ていて、甲虫型の姿で四肢しかない。その多くが球状の白い物体を背負っており、リンはそれらが以前目にした、木屑の上に生えていた「真菌」なのだろうと推測した。
この洞穴全体の地面にも多くの木材があり、しかも一面にふわふわとした真菌が生い茂っている。数多くの巨大な晶鱗蜥蜴が地上を徘徊しており、リンが見たところ、その多くは三メートル前後だが、特に大きな個体は五メートルもあり、その数はおそらく数百匹にのぼる。チブチャ虫に至っては、何万なのか何億なのか、見当もつかない。
なんと美しいのだろう。リンはこれまで考えたこともなかった。結晶の殻をまとった小さな甲虫が、これほどまでに美しい場所を造り上げられるとは。この洞穴の壁面はきらめく光を放ち、洞穴全体を照らしているおかげで、リンはすべてをはっきりと見渡せた。まるで……生物の体内を見ているかのようだった。
あの円盤は心臓のようで、あのパイプは血管のようだ。チブチャ虫は血管の上を巡る細胞のようであり、あの蜥蜴たちは共生者か免疫細胞といったところだろう。
あまりに不思議だ。いったいどのように構築したのか。チブチャ虫も相当に知能の高い生物のはずだ。実際、先ほどの行動からもそれは判断できる。
だが、まさかこれほどの奇観を築き上げられるとは、リンも思いもよらなかった。
リンはこの美しい場所を一目見たとき、結晶でできた美しい生物たちを見たとき、一つの考えが湧き上がってきた……
これを木っ端微塵に吹き飛ばしてやろう。
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