いちな、『魔王の爪痕』について教わる!
ロスト 高橋いちな
ロスト対策室 室長 ローラ・タイラー
いちなへの説明回
ローラさんに付き添ってもらって二人で帰依荘へ帰る。
周囲の人の善意に甘えていたのかな?初めて悪意を持って魔法で攻撃される立場になるなんて想像もしなかった。
私も子どもじゃないし、お客さんの好意をある程度躱しながら上手に対応できていると思ってたのに…。
ひんやりと冷たい風がさっきまでの混乱を落ち着かせてくれる。
「多分、あの魔術師の魔法返そうと思えばできたんですよ」
いちなは、ローラにぼそっと話しかける
「んん。」
ローラは相槌か肯定かわからない返事をする。
「でも、それ以上に怖くて、怖くて。心のなかで怖い!って叫んでいたら魔王様が現れました」
「そっか…」
ローラはいちなの肩をもってそっと引き寄せてくれる。
「このネームタグってそういう機能もあるんですか?」
ローラはいちなの肩にあった手で頭をヨシヨシしながら
「そんな、オソロシイ機能が備えついていたら…この世界の人はタグを身に着けられないよ」
と少し笑いながら教えてくれた。
「そうですよね…イレギュラーですよね。私、どうしたらいいのかな」
自分の立ち位置に困るいちな。
「生活基盤を早く整えたいのにな~」
上手くいかないですね。とローラに話しかけると
「いやいや、いちなちゃんは頑張ってるよ。いっそのこと私の下で働いてみる?」
ローラの言葉を聞いてギョッした表情をすると
「そうだよね~。伝手で職場にくるの苦手だもんね~」
いちなの性格を理解してくれているローラは冗談で収めてくれた。
少しずつ歩きながら
「そのうち、そういう事もいえる状況じゃなくなってきそうで怖いですね」
「そうね、魔法師団がいちなちゃんを囲ってしまいそうで私も心配よ」
「やっぱりそちらの方面ですかね」
「まっ本当に嫌だったら、呼んじゃえばいいのよ。魔王様」
ローラが冗談っぽく言うと
「あんまり笑えないですけどね」
ジト目でローラを見ながらいちなが言った。
「ルビーの林檎亭ってどうして営業停止処分なんですか?」
気を取り直したいちながローラに聞くと
「私も、あんまり専門じゃないけど『魔王の爪痕』が原因じゃないかしらね」
「そうそう、それって何ですか?」
さっきから聞きなれない言葉にいちなは疑問を持った。
ローラは言葉を選びながら
「あくまで、上級文官学校の教科書程度の内容だよ?魔王って基本的に魔族や人間を襲ったりしないのよね。というかある条件の対象者は手を出せないのよ。それが、これ。
ネームタグを持っている全ての対象者に手を出してはいけないって理があるらしい。
魔王一人でこの星潰せるもんね。でも、このタグを持っていない生物?がいてそれが
『魔物』と呼ばれるものなの、そして魔王は魔物を討伐する権限がある」
「うんうん」
「裏を返せば、タグを持っていなければ『魔物扱いで』いいのよね。」
「タグを奪うのですか?」
「あー発想は近いけどそれだと、多分理に触れるみたい。そのタグを腐らせるのよ」
いちなは悪寒が走った為、自分のタグを服の上から握る
「『俺はお前を見ているぞ』みたいな呪文を相手のタグに送ると少しずつ黒が浸食してくるらしいのよね」
「けっこう詳しいですね」
「まあ~上級文官とかなると悪い事する人も出てくるでしょ。魔王様に爪痕をガンガン残されると国が成り立たないから、あなたたちちゃんと理解して行動しなさいよ。みたいな話かな」
そうなんですね~といちなは答えながら
「でも、いつかは許してくれるんですよね?」
「そうだね。私もそこまでは知らないのよ」
私が少し怖い思いをしただけだから2・3日するとタグが元に戻るのかな?
と気軽な気持ちで考えていた。
「あっちょうど寮に着いたね!明日の事はまた誰かからタグメッセージで送って着そうだから、いちなちゃんは部屋で待機していてね」
「はーい!今日は夜遅くに呼び出してしまってすみませんでした」
いちなはもう一度丁寧にお辞儀をすると
「これが私達のお仕事です!」と言ったローラと別れた。
いちなを見送ったローラは
「そもそも、許してくれる状況で相手のタグを腐らそうなんて発想ないと思うんだけどね。」
何日あの魔術師が生きているのかせいぜい観察されておしまいになるんだろうな~。
「やぱり魔術師団を希望しなくてよかった」
ローラは自分を抱きしめて笑顔で対応しているハリルを想像して身震いしながら家路についた。
2023/11/9サブタイトル変更
いちなが出てきているので、魔王の爪痕
↓
いちな、『魔王の爪痕』について教わる! に変更しました。
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