いちな、ルビーの林檎亭で働く! 2(昼の部)
ロスト 高橋いちな
ロスト対策室 ロン・オーモンド(魔法師団所属)
ルビーの林檎亭 女主人 アン 料理人 トム
お昼時間が近づくと共に店内は美味しそうな香りが漂ってくる。
アンとトムは今日のメニューを確認しながら、看板に書いていく。
「いちなちゃん、そろそろ開店するからよろしくね。基本的にウチはランチは三種類しか出していないから、壱定食、弐定食、参定食で通じるから。メニューの内容は看板に書いてるからお客さんに聞かれたら看板を確認するように促してちょうだい」
「お昼はアルコールは出してないからもし注文が入っても断ってね。難しかったらあたしに言いな」
アンは簡単な説明を終えると
「じゃあ、お店をあけるよ」
と言ってドアの外にも今日の定食の内容が記載されている看板を出した。
3時間後…。
いちなは、思った…。
「めっちゃしんどいぃぃぃ~~」
お昼時を超えて客の入りが落ち着いたらアンが少し遅いけど賄いを出してくれた。
その日の余りの定食だったが、寮で食べる料理とはまた違い美味しかった。
いちなが賄いを食べていると
「当分はお昼の時間帯をお願いするけど、慣れてきたら夜もお願いしていいかい?」
アンの提案に大丈夫ですよー。といちなは答える。
「夜入ってくれた次の日はお休みにするからね」
とも言われた。
結局いちなは、夜の部が始まる前に今日の仕事は上がった。
ヘロヘロになりながら、アンにお先ですと伝えると
「お疲れさん!」と言って店の裏口を教えてもらいそこから店をでた。
そのまま商店街の大通りに戻ると、ロンが近くで待機していた。
「あっロンさん!お疲れ様です」
「いちなちゃんもお仕事どうだった?」
とロンに聞かれると
「久しぶりに動いたので少し疲れましたね」
と苦笑いをしながらロンに答えた。
ロンと帰っていると
「いちなちゃん、次のお仕事が休みの日、この前言ってた僕がよく行くお店に行かない?」
とおもむろに聞いてきた。
「あっお貴族ストリートですね!行ってみたいです」
いちなは喜びながら返事をした。
「じゃあ、休みが分かったら教えてね。僕も休みを合わせるから」
「はい!」
いちなは、新しい場所に行くことが嬉しくてロンに笑いかけながら頷いた。
それから1週間後…。
ルビーの林檎亭
「いちなちゃん、弐定食ね!」
「はーい!」
「いちなちゃん、こっちは、壱定食2つと参定食1つね」
「分かりました。」
いちなは、仕事にも慣れてきて常連さんとも会話ができるようになった。
「それにしても、いちなちゃんがロストだったとはねぇ~」
いつもお昼を食べに来てくれている、靴職人のジョンと雑貨屋のマットが慌ただしく働いているいちなを見ながら感心した。
「てっきり、ロストっていうのは王宮とかで客人として招かれているとおもってたよ。」
というジョンの言葉に頷き
「そうそう、ロスト商店街って言ってもロストの人の割合はそんなに多くないしね」
マットも同意しながら言った。
いちなは、ジョンとマットに定食を渡しながら
「はい、ジョンさんは壱定食、マットさんは参定食ね。そうなんですか?組合長とかと会ってるからロストの人が少ないって思ったことないですね」
いちなの言葉にも納得した二人が
「あ~ロストが固まっている場所に住んでるから実感がないのかもな」
「そうそう、ルビーの林檎亭より向こうはほぼロストなんていないぜ」
「へぇ~そうなんですね。ごゆっくり!」
といちなは次の注文の料理を取りに行った。
「だから、気を付けるんだよ~って言っても向こうにいっちまったな。」
「そうだな。物珍しくて絡んでくる輩もいるから心配だよな」
二人の会話の続きはいちなには聞こえてこなかった。
明日と、明後日はいちながここに来て初めての休日になる。
ロンには既に伝えているので早速明日、お貴族ストリートに連れていってもらう約束を取り付けた。
お昼が終わり、いちなが賄いを食べているとアンがやってきて
「はい、これは今週分だよ!」
といってお給金を手渡された。
「うわぁ~ありがとうございます。」
「お礼を言うのはこっちの方だよ、いちなちゃんががんばって働いてくれるからこの店も商売繁盛さ! ねっトム」
とアンがトムに声をかけると皿を洗う手を止め、いちなを見ると大きく「うん」と頷いた。
いちなも嬉しくなって「ありがとうございます」と返した。
最後までお読みいただきありがとうございました。




