いちな、講習会に臨む! 3日目
ロスト 高橋いちな
ロスト対策室 室長 ローラ・リスター 室長補佐 マーク・パイク
最終日、いちなはかなり飽きてきていた。知らなければいけない、学ばなければいけないと思いつつ今日が最後でなければ逃げていたかもと思いながら役所の受付に行く。
「タイラー室長を呼びますので少々お待ちください」
と受付の人がいちなに言うと電話みたいなものでタイラーに連絡していた。
しばらくすると、ローラがいちの元に現れて
「ごめーん。お待たせです。じゃあ、私の部屋に行こっか」
といいながら、ローラの部屋に案内された。
二人で入ると、マークも仕事を始めていたみたいで、お互いに会釈だけする。
座るように言われたのでソファーに座ると
「この二日間お疲れさまでした。駆け足で密度の高い内容を聞いてしんどかったよね」
ローラの話を聞いているとマークがお茶を入れてくれた。
「ありがとうございます」
「本当は講習会の時もお茶を持っていったら良かったんだけど、私達も聞いてはいけない内容が含まれている可能性があったので声をかけなかったのよ」
「そんな事もあるんですね」
「まぁ~それだけ、いちなちゃんの魔力が特殊だったのかもね。」
「じゃあ、本題をパパっと終わらせちゃいましょう!」
「まず、この世界にきてから言葉に違和感がないでしょ?それはロストの人特有の症状なのよね。勝手に変換されているみたい。私達からすると、商店街の人と話している時に時々向こうの言葉で表現している場合があるから言ってることが理解できなかったりしてます」
「文字も同じ原理で魔法を通して記入している場合は自動変換されているわ。文字を覚えるのが面倒な場合は魔力を込めながら記入すると大丈夫だから。逆にこちらの文字を覚えたい場合は、地道に練習してね。辞書とか教科書とかあるから」
「先人のロストの方がんばったんですね」
「そうですね。私も目を通したことありますが、多分趣味ですよ…あれは…。」
どんな教科書だったのかな…。気になる。
それから、ローラさんに貨幣や日常生活に必要な事を色々教えてもらった。
「あとは…。いちなちゃんには直接関係ないけれど…。」
と言いながら進学制度について説明してくれた
「7歳から12歳までは全員学校で学ぶ義務があります。10歳になると魔力検査とタグの作成と魔相環の確認が行われます。真名についての教育は特に厳しくされていて晒した本人と家族が責任をとる連座制をとっているので家でもしつけられていますね。」
「12歳で各専門分野への進学になります。一般・軍・文官など色々な専門機関で学ぶことになりますね。一般校へ進学した子どもは16歳で卒業その後は稼業や実際に働きに行ったりします。軍・文官部門はその後18歳まで学びます。」
「ということで、いちなさんは今おいくつでしたか?」
「私は18歳ですね…。」
ローラはうん、と言いながら
「この世界では、その年齢になっていると働くか研究施設等に行くかになってきますね」
「そうなんですね…。」
突然現実的な話になってきたのでいちなは、焦った。何も考えてないわけではなかったけどあー働くのかなとボンヤリ考えていると。
「まぁ、結婚して奥さんになるって事もできますが」
「さすがに、それは無理ですね…。」
そうですよね~。とローラは笑った。
分かっているんだったら言わないで!
「まぁ、あまり焦らないで考えてみてください。ロストの方の待遇は保障されているので最悪何もしなくても生きては行けますよ…。ちなみに、フルーム魔法師団長からは声が掛かっていいますよ。素敵な就職先ですね」
「はい、でも、なんだか特別扱いされている感じでちょっと怖いなって思いまして…。」
ハリスの誘いに躊躇している理由をローラに話すと
「あー知り合いに強引に押し込めてもらったって周囲に思われるのが嫌なんですね?でも、あそこは魔力至上主義なので、いちなさんの魔法を見せれば何も言われないような気がしますね。むしろ、たいした魔力がないのに上司風ふかせている方が周囲は冷たいですよ」
ローラの言い方に本当にそのような人物がいそうな雰囲気だった。
「まぁ考えてみてください。あそこのトップはルーク王子ですし悪いようにはなりませんよ」
と言って、ローラの講習が終了した。三日分のおこずかいをもらった後、ローラとマークと三人でお昼ご飯を商店街に食べに行くことにした。
ローラの今日はお肉の気分の一言で近くの食堂に入る。お昼時なので混雑していた。
「いらっしゃい!ローラちゃん達!あっ新しいロストの人?よろしくね!」
食堂の主人らしき人が親しげに声をかけてきた。
「そうなのよ!今日はお肉でお願いしますね!」
「はいよ!肉定三人前入ったよ!」
すごいネーミングだなっ
三人は、一口大に切られたサイコロステーキを食べながら会話する。
「うわ~これ口の中でとろけますね!」
「そうでしょ!下処理に工夫がされているみたいなのよ」
マークは無言で食べていた。よほどお腹がすいているみたいだ。
「あっそうだ!もし何か困ったことがあったらいつでも連絡してほしいんだけど、私もマークも手が離せない時があるからいちなちゃんに一人担当つけるわ!」
とローラがとろけるお肉を食べながら言った。
「えっそうなんですか?私大丈夫ですよ?」
いちなも負けずにモグモグしていると
「まぁ~気休めだと思って、ね?」
結局じゃあよろしくお願いしますといちなが折れる形になった。
やんわり説明回の終了をお知らせします。
最後までお読みいただきありがとうございました。




