いちな、役所へ行く! 後編
ロスト 高橋いちな
ロスト対策室 室長 ローラ・タイラー 室長補佐 マーク・パイク
「これは、ネームタグやばいヤツになるかもしれないわ…。やっぱこの部屋で手続きして良かった」
一人でブツブツ言いながらローラはネームタグを作る準備をしている。
昨日魔法師団長が持っていた魔力活性君(いちな命名)を取り出した。ただし、昨日の球体より一回り小さい感じに見える。
「次は、ネームタグを作ります。魔力を出せない人は役所が用意したタグにこの球体から吸収した魔力を埋め込むことによって作成します。そして、」
ローラは一呼吸置くと
「我々のような魔法が使える人は自分でタグを作成します」
と言いながら首元のネックレスを取り出して見せてくれた。
タグには革でできたカバーみたいなもので覆われていた。
奥でマークも見せてくれたが同じようにカバーが付けられていた。
「タグにカバーがつけられている理由はね…。」といいながらローラがカバーを外すと
タグの色が綺麗な緋色をしていた。
「自分の魔法の属性がそのまま出ちゃうからなのよ」
奥で、マークも頷きながらカバーを外して見せてくれた。綺麗なターコイズブルーだった。
「私に見せても大丈夫なんですか?」いちなは質問した。
「これから、いちなちゃんはここでタグを作成するからどうしても私達はそのタグの色を見てしまうのよ。お互い秘密にしましょうねという暗黙のルールかな」
こんなところで異世界ルールかぁ~と思いながら話を聞く。
「さて、これが見本のタグね。いちなちゃんは、この球体使ったことあるよね?昨日の球体より小さいから吸収力も少ないのあまり入れすぎて割らないでね」
これ、割れるとお高いんです。
昨日聞いたやつ!と思いながら。見本のネームタグを確認する。
「 ロスト 花子 」
そうだね。見本はたいてい太郎か花子なんだもんね。
少し緊張した面持ちでローラが
「では、タグの作成お願いします」と言って球体をいちなに渡した。
いちなは、見本タグをじっくり見た後、球体を手に取り魔力が吸収されている事を意識しながら隣のタグと同じ形の自分のタグを作成するように念じる。
「あっでも、ロスト花子じゃないからね」思わずつぶやくと
球体から光が一瞬あふれる思わず目を閉じて眩しさが無くなるのを確認してからそっと目を開くと見本の隣にネームタグがコトリと音を立てて落ちるのが分かった。
「えっ」ローラが思わずそのネームタグをみる。
縁が白銀で鏡面仕様のネームタグができあがっていた。
「いちなさん、あなたの魔力って…。」
ローラはそれ以上は何も言わなかった。いちなは少し安心した。
そして持っている球体をローラに返却する。やはり球体のなかで銀の粒子が綺麗に舞っていてローラが触った瞬間消えた。
さっそくいちなは自分で作成したネームタグを指紋が付かないようにそっと縁をもって触る。自分が作ったせいかすごくしっくりする。
プレートにはこちらの言語で「高橋いちな」と表示されている。ロスト花子ではなくてよかった。
いちなは、これどうやって持とうか悩んでいたらローラが黒い革のカバーと長い革ひもを用意してくれていた。
「これ、一応役所で初めてのネームタグ記念で配布しているものです。そのネームタグには不釣り合いかもだけど、安全面もかねて一応今はこれで勘弁してください。」
なぜか、最後は敬語だった。
「ありがとうございます」
いちなは素直に受け取った。
マークも一連の作業を食い入るように見ていたが落ち着いたのか書類業務に戻る。
最後までお読みいただきありがとうございました。




