事件後と推察 (前編)
クレアシオン王国 現国王 ソル・クレアシオン
第3王子 ルカ・クレアシオン(ピンクゴールド王子)
第4王子 ルーク・クレアシオン(総督)
ロスト商店街 組合長 津久井 耕太郎
R15 少し流血表現あり!
がっつり、ルーク視点
私は、倒れているいちなを抱きかかえると
「私は、いちなを客室に連れていきます」
と言って応接室を出た。
係りの者には私の居住区にいちなの部屋を用意するように伝えているからとりあえず自分の部屋の近くまで行った。
すると、私を担当している侍女が近くにきて
「その方が今回のお客様でしょうか?」
と尋ねてきたので
「そうだ」
と言うと、いちなの部屋を案内してくれた。
いちなをベッドに寝かせると、侍女がベッド周りを整えてくれた。
男性である私がすべきことではないから。
妻や恋人ならもっと積極的に手伝うことができるのだが。
結っていた髪が瞬間にほどけ毛先が白銀に変化していた。いちなの魔力と同じ色だ。
さっき見た時は瞳の色も変化していた。
目を閉じているいちなの髪を一房そっと触る。
「ルーク王子」
侍女が私の行動を注意する。
親しくない異性にして良い行動ではないからか…。
「これくらい、許せ」
侍女に言い訳をしているのかいちなに言い訳をしているのか分からなかった。
もしかすると、私自身に言い訳をしているのかもしれない。
見かねた侍女が
「お客様が目覚めたらすぐに連絡させていただきます。さぁ、公務にお戻りください」
「ああ、頼む」
侍女にいちなを任せると、私は皆がいる応接室に急いだ。
応接室に戻ると、私がいた状況とほぼ変化は無かった。
誰かが何か話した感じでもなかった。
「おまたせいたしました」
私はそう言いながら先ほどまで座っていたソファーに戻る。
「ああ、ご苦労」
父上は私を労う
「父上、大丈夫ですか?」
ルカ兄上が父上の額を見ながら心配そうに聞いていた。
「これぐらい、大丈夫だよ」
父上は笑いながらハンカチで押さえている額を触る。ハンカチから少し血がにじみ出ている。
「これは、いちなちゃんを処罰するのでしょうか?」
津久井が心配そうに父上に聞いてきた。
父上は、ゆっくりと頭を横に振り
「いや、私が失礼な事をしたからな。でも、ここが非公式な場所で助かったよ」
確かに、上層部の前で同じことをすれば例え、父上がいちなにした非常識な事を鑑みても重罪になっていたと思う。
「それにしても…」
津久井は安心したのか、表情が少しほぐれたが次の心配が発生したのだろう
「父上の魔法を弾く事ができることができる人が存在していたとは」
ルカ兄上が感心しながら父上に話しかける
しかし、その言葉を受け取った父上の表情は堅かった
「う~ん。あれは、本当にいちなちゃんだったの?」
父上の言葉にこの部屋にいる全員が同じ感覚だった。
父上がいちなに向けて放った魔法は、強制的に真名を言わせる精神操作
現役の王のみが使用できる。特殊魔法。
普通の人は必ずかかる。例え、ロストだとしても。
それだけ強力な魔法なので、使用できるのは王のみ。
私は一生使うことはできないだろう。
「そうですね。もし、弾く事ができる者がいるのならば、それは魔王様ぐらいではないでしょうか」
私は知っている知識を皆に共有する。
「えっ、でもいちなちゃんは魔王さんじゃないよね?」
津久井は、面白い発想を言う。
「魔王様の魔力は総じて『黒』だ。それ以外の色はない」
「そうなんだよね~。魔王様じゃないということは」
父上は何かを思い出したように
「魔王様の『対』の方なんじゃない?」
「そんな!」
私は、父上の推察に意義を唱えた。
「そんなに焦る必要はないよ。いちなちゃんは、いちなちゃんだし。ただ、今回のような事が発生すると、いちなちゃんの中にある何かが呼び起される可能性があるよね。」
父上は、推察の続きを言う。
「じゃないと、あんな事にならないよ」
そうだ、父上が魔法を放った瞬間、いちなの周囲に白銀の粒子が現れ結っていた髪がほどけ、毛先が白銀に替わり瞳も灰色に変化した。
そして、感情が抜け落ちた表情のまま片足を机に乗せ身を乗り出しロッドを出現させ父上の額に突きつけた。
父上のとっさの判断で両手を上げ抵抗する意思が無い事を確認した後に発した言葉が
『現国王ソルよ 私の真名を聞いて何がしたいのじゃ』
いや、いちなが話した訳ではない。
直接脳に届いたんだ。いちなの声のようなそうじゃないような声が
父上が謝罪の意を込めてロッドが刺された状態でそのまま頭を下げた。
「出来心とはいえ、まことに申し訳ないことをした」
いちなは、父上の額にロッドが刺さってもけっして動かす事はなくそのまま傷つくことを良しとした。いちなのロッドに父上の血液が流れると興ざめしたのか
『フンッ』
と鼻で笑ってからロッドを消して、気を失った。
気を失わされたのかもしれないな。
父上はそのまま額から流れた血液を拭こうともしないので、ルカ兄上が慌てて自分のハンカチを父上の額に当てる。
「すまぬな」
父上は、ルカ兄上に一言を行ったあといちなを見つめている。
最後までお読みいただきありがとうございました。




