(主人公不在の)死闘
タマモが盗賊の頭との戦闘を始めた次に動いたのはトトだった
トトの装備は前日に盾と鎧をロングホーンビートル(前日に倒した大きなカブトムシの正式名称)の甲羅から作った盾とプレートに更新しているため、彼女が対峙している相手の武器は通らないと判断して、攻撃をしかける
武器も角を穂先に使った槍の為、当たれば致命傷を与える事が出来る為、槍の間合いを保ったまま、突き出した
対峙している盗賊は武器が短剣であり、致命傷を与えるためには鎧で守られていない首を狙うしかないのだが、当然それは対峙しているトトも理解しており、相手のナイフが届く距離で戦わず、仮に入られても、首を守ることのみを重視していた
当然、足や腕等の装甲の薄い部分を狙われるが、後ろからイツキの支援がある為、気にすることなく、反撃に転じていた
もし、これが少し離れた所で翻弄されている、大槌を持った盗賊や、今銀弧に吹っ飛ばされた長剣を持った男だったらこうはいかなかっただろう、もちろんそれを理解した上でのこの組み分けだったので、現状はエリアル達の作戦と連携が一枚上手だと言える
当然、それは目の前で対峙している男も理解しており、できるならば、大槌を持った仲間と相手を変えようと動くが、それを遮るようにエリアル、ナイフの二人が動き、トトもまた盾による、バッシュ等で圧力をかけて動きを制していた
この辺は何度も対人戦を行ってきたエリアル達、ウォーカーズの方が一枚上手だった
「くそ、やりにくいったらねえぜ」
思わずと言ったように、短剣を持った男が吐き捨てるように言うと、それを耳にしたトトは
「・・・貴方が弱いだけ」と盗賊に聞こえるように告げる
この言葉に激高したナイフを持った男は「んだと!?」と怒りを隠さずにトトを睨みつけるが
「LVが高いだけ、弱い」と続けて言われた言葉に我を忘れ、怒りのままにトトへと襲い掛かった
それに対して、左手に持ったナイフを受け止めるためにトトが身構えると、盗賊の男はニヤリと笑い、左手に持っていたナイフを右手に勢いをつけて投げ渡す、その動きは曲芸じみており、完全に虚を突かれたトトはガードが間に合わない
このまま、その首切り裂くいてやるとナイフを横に薙ぎ払おうとした直前、悪寒が背中に走り、後方にしりもちをつくように体を倒す
直後、自分の頭を貫く軌道で一本の矢が通り過ぎた、それまで気配を消して、戦況を見守っていた十色が放った矢である
トトが怒らせてヘイトを集めて、十色がその頭を射抜く普段の狩りで行っていることをそのまま行っていた事に気付いたナイフの男は、自分がモンスターと同じ方法で狩れると思われていた事に怒りを覚え、十色の元へと、駆けようとしたところで衝撃を受けて吹き飛ばされる
見ればトトが手に持った盾を振りぬいていた
「貴方の相手は私、無視しても構わないけど、殺す」
そういって手に持っている槍の穂先を見せつけるように向ける
確かに、その槍の鋭さなら自分の身に着けている皮鎧など、簡単に貫くだろうと理解したナイフを持った男は改めてトトへと向き直った
「LVや装備は確かに重要、でもこの位のLV差なら腕で補える」
その言葉に再び、頭に血が上るのを男は感じていた
鑑定によれば相手のLVは8で自分は13だ、5LVの差は確かに埋められる範囲ではあるが、それはLVが上の方がよほど無能だった場合だと男は思っていた
「舐めてんじゃねえぞ、くそが!!」
調子に乗った女には実力の差という物を思い知らせなければいけない
再び、ナイフを構えると盾を構えて自分を見下すトトに向けて駆けだした
それが相手の狙い通りだという事を頭の片隅で理解していたが、それでも、否、それならその企み事ねじ伏せて、調子に乗った女に絶望と惨めさを思い知らせるのだと
必ず、このナイフでその首を切り裂いてやるという思いを隠さずに自分に向かってくる相手に向けて、うっすらと笑いを浮かべて、トトは再びその相手を足止めし続けるのだった
盗賊の男が妙に怒りっぽいのはヘイト上昇スキルを使ってるからです
理性的な思考が出来辛くするスキルです、かっとなってやった状態にするのがこのゲームのヘイトスキルです、なのでRESのスキル等で抵抗できます
逆にリアルステータスで耐えようとするなら、よほどの修行を積んだ人間以外には無理という設定となっています