蚊帳の外
金弧を檻の外に召喚し、その金弧が鍵を金装術で作ることでタマモ達は檻からの脱出に成功した
檻の中にいたうちから、檻が開いたら速足でダンジョンの出口に向かうと相談していた為、それからの移動はスムーズだった
この後の戦闘に響かぬ速さで走りつつ、出口に向かうタマモ達だが、もしもタマモの召喚主である一二三が死ねば、タマモ達も一時的に離脱する為、一二三が死ぬ前に急がなくてはいけないという理由もあった
タマモの見立てでは、山賊達は15前後のLVを持ち、首領の男は18程度だという
タマモ達抜きでエリアル達だけではどうがんばっても勝てない、その為にゆっくりと歩いてはいられないのだ
「わらわがあの中心にいた一番の実力者をやるのじゃ、金弧と銀弧は1組でどれか残りの1人を、いっちゃん達はそっちで相談して、なんとかしてほしいのじゃ」
走りながらタマモからの提案にイツキ達は頷く、誰もタマモに勝てるのかとは問わない、もしもタマモが勝てないようなら全滅だろう
「失うものはないとはいえ、勝ちたいっすね」
ナイフの言葉に全員が頷く、それから間もなく、薄暗い道を走っていた彼らは出口のある場所にたどり着く
「主よ、無事か!」
タマモが叫ぶと、こちらに気付いていなかった盗賊達がはっとした顔でこちらを見る
「遅かったなタマモ」
そして随分上から聞こえる自分の主の声にタマモが改めて状況を見ると
洞窟の出口をふさぐ大量の石とそれをどけようとする盗賊の姿が見えた
「・・・なんじゃこれ?」
タマモが一瞬脱力するも、目の前の盗賊の頭を認め改めて改めて力を入れなおす
「ちっ、どうやってあの檻から出やガッ」
盗賊の頭がタマモに問いかけようとしたところに石が落ちてきて言葉は途中で途切れる
上を見て見ると、洞窟の入り口のもっとも高い位置に石が置いてあらず、そこから一二三が石を投げこんでいた、その石が勢いをつけて盗賊の頭に当たったようだ
他の盗賊も同じ攻撃を受けたのか、イライラを隠しきれずに上を睨みつける
「なんだろう、いっくんってやってる事は戦術的には間違ってないのにすごく悪役臭がするよね」
「自分にできる限りの時間稼ぎをしてるだけなんだろうけどなぁ・・・」
イツキとエリアルの言葉に全員が苦笑で答える
「皆が来たなら、後任せるよ、さすがに石の在庫も切れてきたし」
実は一二三、道端に落ちていた石や、岩を砕いたものを大量にアイテムボックスに詰めていたのだった
このゲームではアイテムの所持重量はスキルやSTR,VITで限界が決められるのだが、その限界を超えて持つことはできる
ただし、システムにより負荷をかけられ、まともに歩くことも戦闘をすることもできなくなる
そのため、常に魔法の絨毯の上で負荷に耐えるためにぐったりとしていたのである
「全員作戦通りじゃ、あの男はわらわが相手をしよう」
その言葉に、トトが一人で短剣を持った男の前に、エリアルとナイフが2人で杖を持った男の前に、銀弧が大槌を持った男の前に立つ
イツキと十色はトトとエリアルナイフ組を援護できるように、金弧は銀弧を援護するように動く
「なんだ姐さん、俺の相手をしてくれんのか?」
タマモの前に立つ男は長剣に盾を持ち、タマモの体を嘗め回すように眺めてからニヤニヤといやらしい笑いを浮かべる
「うむ、お主には罠に嵌められたという借りがあるからのぅ、返さぬと気が済まぬわ」
男の視線等気にせずに扇を胸元にしまうと、その場で二度跳ねて準備運動をし
「死ね!」その言葉と共に一歩で盗賊の頭との距離を詰めて戦闘が始まった
それは同時に周りの人間達の開戦の合図ともなり、プレイヤー側の圧倒的に不利な戦いは始まるのだった




