規格
殻が集まるのに、半月ほどかかった。
レイが四つ、ヴィオラが三つ運んできた。二人とも別々に降りて、別々に持って帰ってくる。工房の隅が、いつのまにか殻置き場になった。ダンが場所を作るために資材を組み直して、アニカが上に布をかけた。
レイは三日に一度上がってきて、そのたびに背中を丸くして殻を担いでいた。ヴィオラは何日も姿を見せず、忘れたころに濡れた外套で戻ってくる。二人とも、報酬の話を一度もしなかった。
「あんたら、これは仕事だぞ」
「仕事なんですか」
「運搬だ。金を払う」
「いりません」
「そういうのはよくない」
「先生が言いますか、それ」
言い返せなかった。
全部に、輪があった。
位置がわずかに違うものもあったが、どれも背中の中央寄りで、どれも同じように塞がれていた。俺は順番に開けた。二つ目からは慣れて、半日が三刻に縮んだ。
出てきた黒いやつは、七つ。
大きさが、ばらばらだった。
いちばん小さいのは小指の先ほどで、いちばん大きいのは親指を超える。並べてみると、階段のようになった。
「大きさが違いますね」
ミアが言った。彼女は近ごろ、口を開くようになっている。
「違うな。ただ」
俺は小さいのを持ち上げて、次に大きいのを持ち上げた。
「形が同じだ」
「大きさが違うのに、ですか」
「大きさが違っても、形が同じなら同じ図面から出てる。鍋でもそうだ。三寸のと五寸のを並べて、口の広がり方が同じなら、同じ職人か、同じ型だよ」
ミアは並んだ七つを見て、それから、いちばん小さいのを取った。
「これ、いちばん減ってません」
「そうだな」
「新しいってことですか」
「あるいは、あまり動かない場所に入っていたか、だ」
ミアは小さいのを台に戻して、それから七つを並べ直した。小さい順に、きれいに。誰にも言われずにそうしたので、俺は少し感心した。
「並べたな」
「あ、すみません、勝手に」
「いい。並べると分かることがある」
実際、並べ直したことで一つ分かった。大きさの差が、ばらばらではない。飛んでいる。まるで、あいだの寸法がもともと決まっているような並び方だった。
ヨナスが顔を上げた。
「同じ、というのは」
「平らな面と丸い面の比率だ。高さと太さの比も同じに見える。大きさだけ変えて、形をそのまま伸ばしてある」
「測ります」
ヨナスはノギスを取った。うちで唯一まともに新しい道具で、ヨナスが来てからずっとこの子が使っている。俺のは精度が落ちていて、一年前に自分で買い替えろと点検簿に書いたまま買っていない。
測っているあいだ、誰も口を開かなかった。ヨナスは一つ測るごとに紙へ数を書き、書いてから次を取る。手つきに迷いがない。この子はこの作業をしているときが、いちばん落ち着いて見える。
測り終わるまでに、半刻かかった。
ヨナスは紙に数を書き並べて、それを縦に見て、横に見て、それから眼鏡を押し上げた。
「揃っています」
「どのくらいだ」
「誤差が、ほとんどありません。手で作ったものではこうなりません」
工房が静かになった。
俺は台の上の七つを、端から順に見た。
同じ形を、大きさだけ変えて作ってある。これを何と呼ぶかは、この仕事をしている人間なら知っている。
「規格がある」
「はい」
「規格ってのは、作る人間が一人じゃないときに要るものだ」
ヨナスが、ゆっくりこちらを見た。
「あるいは、一人が長いことやってるときにもだ。どっちにしろ、思いつきでやってるやつの仕事じゃない」
マレーネの羽根ペンが、紙を擦る音だけがしていた。
「ハウザーさん」
「なんだ」
「これを、ギルドに上げます」
「上がるのか」
彼女は羽根ペンを置いて、眼鏡を押し上げた。
「上げます」
その言い方が、いつもの通しますとは少し違っていた。




