25_最初の順位戦_3
4月末の順位戦、1年剣部門の決勝戦
向かい合うのはスティーブンとポリーだった。
応援席には槍部門で優勝したクレスとアンナそしてサーシャがいる。
サーシャは淑女科の制服ではなく動きやすい冒険者風の格好をしていた。
この日だけは出場者の関係者も事前に申請があれば入場できたので道場主や師範も近くにいる。
「多分周りはサーシャのこと、道場主の知り合いだと思っているね。」
1週間程道場に通っていたので学園の他の騎士科の知り合いも増えた。
が、道場に行くときは今と同じ冒険者装備だったのでネロ出身の冒険者だと思われサーシャが学園の淑女科の生徒だとは誰も気付いていない。
実際ネロにいた頃に冒険者ギルドに登録して、それなりのランクなのは嘘ではないので。
今回の大順位戦で道場に顔を出したメンツは皆好成績を出しており道場主は鼻が高いと喜んでいる。
サーシャは今までの試合でスティーブンは誰かを探すように観客席を見回していることに気付いていた。
決勝戦を前に同じように見回しているのを自身の試合を終えてこちらにやってきたアンナは言う。
「あれ、多分サーシャを探しているね。」
「多分ね。そうだ、入賞おめでとう!。」
3年の剣部門で久しぶりに女子の入賞者となったアンナは道場主や他の門下生にお祝いを告げられて嬉しそうにしている。
「有難う、クレスも優勝おめでとう。」
クレスも最初は剣部門に出る予定だったが、サーシャと勝負を始めた初日、
「クレスの間合いの取り方、剣より槍向きだね。」
間合いが遠いので剣だと有効打を取りにくいと言う。
無理して剣の間合いに踏み込むより槍でリーチを生かした戦い方にした方が伸びると告げた。
そうしてサーシャが薦めた槍を使って立ち合いをした結果・・・道場主や師範が褒める程動きが良くなった。
「有難う、勝てたのは槍をメインにするやつが居なかったお陰だと思います。」
ある程度腕があり、経験を積んでいる者は剣に出ている。
まともに槍の訓練を始めて1週間程のクレスが勝てたのはあぶれたものが大半だったからだろう。
「来月からは下位の生徒は兵站部門に回るし、上位も教師が適性を見て指導してくるわ。
例年、これ以降ば実力者がばらけるからから次は厳しいでしょうね。」
そうねと頷いて対戦に目を向ける。
そろそろ試合開始だ。
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「やはり来てないか。」
茶会で迷惑を掛けたことを直接詫びたいと思ったものの教師から出禁、接近禁止を伝えられた。
その為、淑女科のある教室がある建物や関連する施設の方には近づけていない。
今日の順位戦を見に来てくれないかと期待して観客席の方を見ていると
「よそ見とは、余裕ですね。」
と対戦相手に言われて試合に意識を戻す。
意外なことに決勝の相手は女子。
負けるわけにはいかないと気を引き締める。
そこで審判が試合開始を告げた。
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「ポリー、よく相手を見ているね。」
「うん、段々相手が大降りになってきた。」
今回の順位戦で一年剣部門の優勝予測はスティーブンがトップ。
実際彼の試合は危なげなく順当に勝ち上がっていた。
他はと言うと平民出身や各地の騎士団の推薦を受けた者の名前が挙がっている。
女子だと辺境伯の子女が唯一候補として名前が出ていた。
ポリーはというと授業が終わると早々に帰宅して(実際は道場に向かって)いたので
候補のこの字に入っていなかった。
で、蓋を開けると優勝候補の実力者達を次々と破って決勝へ。
大番狂わせも良いところである。
見た目優勢なのはスティーブン。
彼の攻撃に対し、ポリーは防戦一方であると見れていた。
が、このメンバーの見立ては違う。
疲れで動きが雑になっているスティーブンよりポリーの方が余力を残している。
「サーシャが教えた省エネ術もうまく出来ているね。」
ネロ領で狩りをする場合、最初から全力で行ったら体力が持たない。
生き延び狩り続けるには体力の温存と集中が必須である。
そのことを道場でひたすら威圧を掛け、試合をさせることで体に叩き込んだ。
威圧耐性と継戦能力の向上を鍛えた結果が順位戦で成果を出している。
ここで、スティーブンが大技に出た。
周囲から彼に勝利を予想して歓声が上がる。
「決まったな。」
道場主の言葉に皆が頷いた。
「勝者:ポリー・クラチット!!!」
審判の声に静まりかえる会場
スティーブンは片膝を突き、剣は地面に転がっている。
その首筋に剣を突きつけるポリー
その後大歓声が会場に沸き起こった。
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観客席にサーシャがいることに最後まで気付かないスティーブン、哀れ。
まあ、淑女科の制服かドレス姿の女性の中から探せば見つかる訳ない・・・
ポリーとスティーブンが鍔迫り合いをすれば体力に勝るスティーブンが勝ちます。
なのでポリーはひたすら攻撃を躱し、焦れて大技を出す瞬間を待っていました。




