26_起きないイベント_1
ついにサーシャはラスボスが退場していることを知ります。
※エリスやアリサはかなり前に前提条件が大きく変わっていることを知っていました。
サーシャは4月の月末試験で淑女科の授業で目標分を合格した。
それを受けて5月からは語学や歴史学、地政学等、文官科寄りの授業を受けることにした。
これらは全て淑女科の実技の成績向上の為である。
特に苦手としている会話の幅を広げ、茶会や夜会の席順決めの課題対応には歴史や地政学の知識が不可欠だった。
「貴族AとBは数年前に河の利用を巡って争いを起こしているから近くにおいてはいけない・・・」
「貴族CとDは特産品が競合してライバル関係にあるから・・・」
「貴族Eと会話する時には特産品である工芸品を褒めると良い・・・。」
図書館で過去20年分の貴族名鑑や各種公示を見てメモを取っていたらセツがやってきた。
「熱心だね。」
「ええ、ネロは田舎だから世情に疎くて・・・ムブリーニ様は弁論大会の資料集めですか?」
彼女が手にしている本を見て聞くと
「ええ、今回のテーマは魔法と魔道具だから。」
「どっちの陣営に参加するんですか?」
「魔道具かな。
魔力はあるし魔法が使えない訳じゃないけど細かい制御は苦手だから。」
文官科寄りの授業を受けるようになって、セツやボアと仲良くなった。
そのお陰でセツから貴族間、派閥間の関係や知っておいた方が良い情報を、
ボアからは各領地の特産品や力関係の情報を聞くことが出来た。
二人の情報で実技でも話題に詰まることが減り、バイト先での評価も上がっている。
「そう言えば貴女は魔法だけじゃなくて自分で魔道具も作るのでしたわね。」
「はい。」
「理由を聞いても良いかしら。」
「先程、ムブリーニ様も口にしましたが生活で魔法を使う場合は大きな魔力は必要がありません。
そういう部分は魔力の少ない平民が実は得意です。」
派手な攻撃魔法など、都市で暮らす市民には必要が無いのだ。
「生活を楽にするため、平民達は様々なことに魔法を使いますが彼らの魔力量や属性では使えないシーンが多いのです。」
「そこを補うのが魔道具と。」
「魔道具なら自身の魔力だけでなく魔石でも賄うことができますから。」
「それで?」
「ネロに居ると魔石や魔道具の素材は手に入りやすいですし、知り合いの多くは平民。
彼等に頼まれて生活を便利にするために色々魔道具を作ってました。」
そうやって携帯コンロや浄水器、はたまた乾燥機等、貴族であるセツが目にする機会の少ない魔道具を上げる。
「成程、魔道具と言うとファティマ家を思い浮かべるけど、あの家が作るもの以外も幅広いのね。」
「ファティマ家と言うと魔力波による親子鑑定機ですか?」
「ええ、あれが広まった結果、第三王女と言われていた女性が実は王女ではないと分かったの。」
えっと衝撃を受けたサーシャにセツは首を傾げる。
「どうしたの?」
「それって何時の話ですか?」
「確かピエール殿下の10歳の誕生日パーティーの後だったと思うわ。
婚約者の最有力候補だったシュトルム令嬢が出席されなくて・・・」
その当時の経緯を聞いたサーシャは「初耳です」と呟いた。
「では、ピエール殿下とシュトルム令嬢は婚約していないと。」
「ええ、シュトルム令嬢は領地にいる時に近隣の辺境伯の嫡男と婚約していらっしゃるわ。」
「知りませんでした・・・」
「私達の代もそうだけど、ピエール殿下の代も婚約している方が少ないのよね。」
「ピエール殿下の相手が決まっていないからですか?」
「ええ、王族であるマリア殿下とピエール殿下、アーサー殿下の相手が決まってないから王族の相手が務まる家柄の方々が婚約してなくてその結果、高位貴族の子息令嬢はこの学園で相手を探すみたい。」
「ムブリーニ様もですか?」
「私は官僚を目指しているから、婚約するにしても卒業してからを考えているわ。」
・・・そう言えば前に王子一行を見た時、妙に浮ついてると思ったけどそう言うことか・・・
ゲームでは主要キャラクタで婚約していたのはピエールとイーダだけだったが、イベントでは結構婚約者が出てきていた。
サブイベントで婚約者の浮気や喧嘩の仲裁イベントがちょくちょく起こっていた。
「そうそう少し前までバルバ令息が文官科の授業を受けていたせいで大変だったのよ。」
彼と仲良くなろうとする令嬢達が騒ぎを起こすことがあったそうだ。
「今は見かけませんが・・・」
「先月の順位戦で女子生徒に負けたでしょう。それで騎士科の授業に戻ったみたい。」
静かになって嬉しいわとセツは言った。
閲覧、有難うございます。
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勉強したいセツからすれば浮つく女子生徒は邪魔。
その原因であるスティーブンにも良い感情を持っていません。




