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大樹の元に~前提条件が壊れた結果  作者:


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19_春の茶会_準備編

元々幼馴染や知り合いのいるエリスやアリサと違い、サーシャで騎士科以外を選んで始めるとイベントが中々起こらない。

「これはゲームの仕様で仕方無いと思っていたけれど・・・」

サーシャは淑女科実技の教室でそっとため息を吐いた。

寮母に特待クラスを狙っていると話をしたこともあって、取った授業の大半は新入生より上級生が多い。

数少ない新入生も上級生と知り合いらしくすんなりと会話している。

が、サーシャに知り合いは居ないし、爵位も男爵で同格が誰一人いない。

会話をしようにも共通の話題が無く、嫌われてはいないが遠巻きにされている状況だ。

5日後に迫った春の茶会に向け、手本に従ったお茶会実習をしているが、同席した他の生徒達が何を話したら良いのか困惑しているのが分る。

実習後の講評で、動きは問題ないは会話が課題と告げられた。

気まずい顔をした上級生達は、次の実習までにこの本を読んでおいた方が良いとお勧めしてくれる。

と言うより会話が出来ないから読んで!と頼み込まれた。

「新入生は見学の筈が、教師の指名で参加となったサーシャ様が悪い訳ではありませんが、

もう少し一般知識を覚えてください・・・」

「教本に載っている動きは完璧なのに。」

茶会の評価は彼女達の成績に関わるので必死なのだ。


教えて貰った本を借りに図書館に向かう。

受付で司書に読みたい本のタイトルを告げると置いてある場所を教えてくれた。

この時期ならここでエリスやトレイシーと出会うイベントが起こる筈なのだが・・・

「・・・イベントが起こらない・・・」

入学試験結果からステータスは足りている筈。

離れた席にセツとファビアンの姿が見えるが今の段階ではイベントが無く話しかけるのも気が引ける。

「・・・来月には文官系の授業も取るかな・・・」

そうすれば文官科のセツやボアと接点が出来るだろう。

暫く図書館で過ごしたものの、雑念が多くて読書が進まないので諦めて貸し出し申請をして出ていくことにした。


寮に戻る前に市場で買い物をする。

そこへポリーがクレスと一緒に声を掛けてきた。

「サーシャ、今帰り?」

「うん、そっちは?」

「こっちも終わったとこ。」

そう言ってほれっとクレスを促すポリー。

「えっと、お弁当の唐揚げ?美味しかった。」

「どういたしまして。」

学園でお昼は寮で帰って食べる分には寮費に含まれるので無料。

学食で食べると結構なお金が掛かる。

サーシャは実家に居た時にそれなりに稼いでいたものの何かと物入りである。

なのでアルバイトで生活資金を稼げるようになるまでお弁当を作って持っていくことにしていた。

それを知ったポリーとアンナは自分達の分も夜の内に一緒に作り、昼に一緒に食べている。

最近ではクレスも混ざって食べることが増えている。

4人分の食材を買い、支払いはクレスが出した。

「今までの弁当の分、ついでに明日もお弁当頼む!」

分かったと頷いて。サーシャはポリーを見た。

「明日なんだけど、放課後時間貰えるかな。」

「良いけど、何かあるの?」

「春の茶会用の衣装を借りたいから。」

「あー、前に頼まれた貸衣装屋の紹介の件ね。分かった。」

「そう言えばバルバ令息は参加するって誰かが言ってたな。」

「そうなんだ。ダンスパーティーなら分かるけど、茶会でしょ?

男子が参加って珍しいね。」

「今回のテーマは婚約式だからじゃないかな。

主役は3年生で実際に婚約しているカップルが務めることになっている。」

「ふーん、でサーシャの役処は?」

「裏方に回りたかったんだけど、先生が招待客役で出ろって。」

「それで衣装が必要になったんだ。」

「衣装、来月のダンスパーティーまで考える必要ないと思っていたのに・・・」

「サーシャ、頑張れ!、アンナ先輩にも声を掛けるから。」

「えー、そこまでは良いよ。」

二人して着せ替え人形にする気を悟ってサーシャは顔の前で手を振るが無視された。


翌日、サーシャはアンナとポリーにつられて、貸衣装屋にやってきた。

「春の茶会でしょ。薄黄緑のこれなんかどう?」

「テーマが婚約式でしょ、主役の衣装とかデザインは聞いているの?」

「はい、伯爵家と子爵家のお二人で、色は・・・」

返事を聞いてオーナーは幾つかの衣装を持ってきた。

「サーシャさんならこちらを薦めようと思ったけど、主役と被るから・・・」

「今の時期は宝飾品より生花の方が良いわね。何か好きな花とかある?」

張り切った二人とオーナーによって散々試着を繰り返し、借りる衣装が決まる頃には体力自慢のサーシャでもぐったりしている。

靴や小物まで入った袋を手に貸衣装屋を出る頃にはすっかり暗くなっていた。

「当日が楽しみ!」

「開始は午後2時からだっけ。」

「絶対見に行くね。」

二人のテンションについていけないサーシャは魂が抜けた顔で頷いた。

閲覧、有難うございます。

面白いと思ったら評価をお願いします。


春の茶会は、淑女科の現3年生が2年後期を使って一から企画した最初のイベント

自分達でテーマを決めて、配役を決め、招待客を選定し、

食器や茶葉、茶菓子を決めて招待状を出し・・・

招待客や主役との関係を考えて席順を決める。

現2年生はその補助。

新入生は上級生の作業を教師の説明を聞きながら見学かメイン。

数名は客として出席します。

サーシャがその客として選ばれた理由は・・・

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