閑話_とあるギルドの競売事情
ギルドの競売は成立すると売買金額の一割が手数料としてギルドに納めることになります。
この割合はどこも同じ。
出品者は匿名が可能。
このギルドでは扱う金額が多いこともあって身の安全も兼ねて殆どが匿名です。
ここはネロ領に近い街の冒険者ギルド
「3日後の競売のリストだよ!」
そう言って、職員は掲示板に張り紙をする。
多くは少々傷の付いた魔獣素材だったり、中古の魔道具や武器、防具その他である。
ここら辺はまあどこの街でも扱っている。
多くの者が掲示板に向かう中、身なりの良い裕福そうな者達は受付に行って詳細が書かれた資料を買っていく。
競売対象を吟味し、どれを買うか、いくら出すか事前に検討するためだ。
実際に実物が見ることが出来るのは競売当日。
ここのギルドではかなりの数が出るのでじっくり見ることが出来るものは限られる。
大まかなことしか書かれていない掲示板に対し、こちらはかなり詳細に書かれている。
部数も限られているので大体掲示当日は売り切れる。
職員は声を張り上げた。
「今回の目玉は10点、入札参加は一グループ1点だ。
不正が見つかったら即刻キャンセル、1年間競売は出禁だからな。
個人と商会、チームで別なんて扱いはしないからな。
分かったな!」
そう言って目玉商品の掛かれた張り紙を少し離れた場所に張り出す。
「最後に、ここ一年で目玉を買ったところは入札参加不可!以上。」
いつもの説明をして、職員は受付の奥に引っ込んでいった。
翌日、近くの商業ギルドには残高の確認や小切手、為替の発行で賑わう。
近くの食堂には大手商会の頭取が別の商会の頭取と昼食を取っていた。
「そちらは今回の目玉には不参加ですか。」
「ええ、2ヵ月前に競り落としたので。」
「それは羨ましい。内は一昨年なので今年こそは新しいのを入手したいと思って。」
「どれを狙う積りですか?」
「悩むところですがこの鮮度保存機能がついたものから選ぼうと。」
「ああ、貴方のところの商材ならそこが一番気になりますよね。」
ここのギルドの目玉商品、それはマジックバックである。
魔道具ギルドに加入した職人が作る品は常に順番待ちで注文して手に入るまで早くても1年掛かる。
容量は大体馬車5台分から倉庫まで。
それに対し、ギルドの競売で扱う品は大体馬車1台から2台分、それ以下であることも珍しくない。
それでも待てば容量が多くて品質の良い品が手に入るのに彼等商人や冒険者達が目玉商品の競売に参加するのは理由があった。
一つ、直ぐに手に入る。競売が終わってギルドに入金すればその場で手に入る。
二つ、安い。一般的なマジックバックの値段に対し、競売で指定される上限は半額以下である。
三つ、全て魔の森産の素材で作られている。壊れたり気に入らなかったりした時に解体して新しいマジックバックを作るのに使える。
四つ、オプション機能が豊富。
興味があっても魔道具ギルドに依頼するには躊躇するような値段が付くオプションを気軽に確認出来る。
また、今までにないオプションが付いていることがあるので買えなくても確認はする。
「今回は鮮度保存ランクが高いのが出ているので悩むところです。」
「ええ、容量が少なくてもこの保存内容なら買いです。参加出来ないのが残念だ。」
そう言って柔らかく煮込まれた肉を口に入れた。
高級な魔獣肉が手頃な値段で食べることが出来るのもこの街の魅力である。
「ここのは専門職人が品質と性能を保証していますからな。」
「ええ、余所では紛い物が多いですからなあ。」
そんなこんな競売に出された目玉商品は資金力の豊富な有力商会か大手クランに競り落とされることになる。
一週間後、とある冒険者の一団がギルドにやってきた。
「ここでマジックバックが買えると聞いたのだが。」
「ああ、競売は4日前に終わりました。
次は大体3か月後ですね。」
職員の言葉にがっくりと肩を落とす冒険者達。
「だから魔導ギルドに注文しようって言ったんだよ。」
「そう言うけどな、あの値段、性能で一年待ちだそ。」
その会話に職員は彼等の実力を推し量る。
なかなか実力も根性もありそうだ。
「済みません、冒険者票を見せて貰えますか?」
その言葉にリーダーが首を傾げながらも冒険者票を差し出した。
「チーム名、疾風、ランクはB,魔牛討伐実績あり、薬草採取実績あり・・・成程」
内容を確認する職員に
「なんだ、手に入る手段があるのか?」
その言葉に職員は頷いた。
「少し時間がかかりますが希望のマジックバックを手に入れる方法、知りたくありませんか?」
少々胡散臭い笑顔の職員に引き攣りながらも冒険者たちは頷いた。
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この冒険者チームは1年後死ぬ思いを何度もするものの誰一人欠けることなく望んだ性能のマジックバックを手に入れました。
そして別の街で彼らが先輩から聞いたように後輩に語ります。
「マジックバックが欲しいか?なら・・・」
麓ギルドや魔道具ギルドは素材採取者、熱烈歓迎!大募集中




