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【転生令嬢】愛より金や! 〜断罪の宴に響くソロバンの音。「慰謝料」キッチリ計算してええですか?〜  作者: ちいもふ
第9章:【150億の債務超過編】――救世主(ウチ)に頼むなら、まずは仕様書を出さんかい!
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【150億の絶望】と、安すぎる「神」の鑑定



 オーバーライド・エンパイアの最深部、『中央演算聖域』。


 無数の魔導ケーブルがのたうつ、巨大な「基盤」のような光景だった。


 その中心。


 空中に浮かぶ半透明の立方体のおりの中に、彼はいた。


「これが……レイン……?」


 エリザベスが息を呑む。


 かつて世界を救い、まばゆい笑顔を見せていた管理者レインの姿はどこにもない。


 無数の光の糸に全身を貫かれ、虚空を見つめたまま。


 ――神の成れの果ては、一睡もできずに膨大なデータを処理し続ける『演算装置』と化していた。


「……お嬢様。……神・レイン卿の精神負荷メンタル・ロード、すでに限界を越えてオーバーフローしています」


 カシムが、手元の水晶端末を操作しながら、血の気の引いた顔で報告する。


「……世界の150億人が享受している『平和』と『生命維持』。全ての演算を、彼はたった一人で肩代わりしています。……魂を燃料にして、無理なハッピーエンドを維持し続けているのです」


 カシムの頭の上で、小さなトカゲ姿のギルが、言葉を失っていた。


「……なんやて?」


 エリザベスの手の中で、黄金のソロバンが、ミシリと音を立てる。


「……レイン卿は、民の『幸せのコスト』を、自分の命で全額支払っている。……まさに、究極の自己犠牲です」


「……あほ抜かせ!!」


 エリザベスの怒声が、聖域に響き渡った。


 ドレスのすそひるがえし、ソロバンを叩き折らんばかりの勢いで弾いた。


「……自分を削って、タダで世界を回してる? そんなもん、『平和』でも何でもないわ! 世界規模の超巨大ブラック企業やないか!」


 パチィィィン! と、乾いた音が理不尽を切り裂く。


 エドガーが微動だにせず、エリザベスの商談を監視していた。


「レインの旦那! 聞こえてるか! ウチは商売人や。安売りも、不当な搾取さくしゅも、見て見ぬふりはできん性分なんや!」


 エリザベスは、光の糸に縛られた神――レインを、射抜くような瞳で見据えた。


「神様になって自分をタダ売りするなんて、ええ加減にせえ! 割に合わん仕事、今すぐ辞表ソロバン叩きつけて、その座から降りなはれ!」


 凍りついていたレインの瞳が、わずかに揺れる。


 生贄いけにえに捧げられた男の前に、最も強欲で、慈悲深い『商談』が持ちかけられた。

 最後までお読みいただき、ありがとうございます!


 異世界の神を相手にした、前代未聞の「辞表」交渉、続きもぜひお楽しみに!

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