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【転生令嬢】愛より金や! 〜断罪の宴に響くソロバンの音。「慰謝料」キッチリ計算してええですか?〜  作者: ちいもふ
第9章:【150億の債務超過編】――救世主(ウチ)に頼むなら、まずは仕様書を出さんかい!
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【ハネムーン】は異世界行き? ――朝のハーブティーと、招かれざる召喚



 世紀の結婚式から数日。


 エリザベスは、湖を一望できる離宮のテラスにいた。


「……お嬢様。……本日のスケジュールは『何もしない』。……昨晩の祝杯の飲み過ぎを考慮し、胃に優しいハーブティーを用意いたしました」


 カシムが事務的な口調の中に、柔らかな独り言を混ぜて、湯気の立つカップを置く。


 傍らでは、小さなトカゲサイズに縮んだギルが、クッキーの欠片かけらを幸せそうに頬張っていた。


「……ふぅ。……カシム、たまにはこういう『バカンス』も、悪うないな」


 エリザベスは、ダイヤモンドリングを外した指先で、カップを包む。


 そこへ、背後から温かな気配が重なった。


「おはよう、エリザベス。……君がソロバンを手放している姿を見るのは、私だけの特権だね」


 エドガーが、エリザベスの肩にあごを乗せ、耳元で低くささやく。


 かつての冷徹な「監査卿」の面影はどこへやら、眼差しには、どんな高価な宝石よりも甘い「独占欲」が宿っていた。


「……っ。ア、アンタ、朝から商売っ気のない顔せんといて! 新婚やからって、サービス料ほうようがタダやと思ったら、大間違いやで」


 顔を真っ赤にしながら、エドガーの手を振り払わない。



 ――カチリ、と。


 世界の「歯車」が、無理やり逆回転するような不快な音が響く。


「……っ!? ……。お嬢様、離れてください! ……強制的な次元転送です!」


 カシムが護身用の魔導ペンを構える。


 エリザベスたちの足元に、複雑で、そして「バグ」だらけの召喚陣が浮かび上がった。



『――どうか、お救いください。……150億の命を、この破綻はたんした世界を……!』



 絶望に震える少女――アリスの声が、直接脳内に響き渡る。


「……な、なんやねんこれ! プライベートに土足で踏み込むなんて、営業妨害やで!」


 視界は、真っ白な光に包まれた。


 エドガーは離れまいと、エリザベスを強く抱きしめ、ギルとカシムもまた、光の渦へと飛び込む。


 幸せな新婚生活は、一瞬にして上書きされた。



 辿たどり着いた先は、あまりにも巨大で……「不健全な」単一サーバー王国、『オーバーライド・エンパイア』。


「……ふん。……呼んだんは、アンタか?」


 エリザベスは、ボロボロの服を着た少女アリスにらみつけ、手元のソロバンをパチリ、と鳴らした。

 最後までお読みいただき、ありがとうございます!


 幸せなハネムーン気分も束の間、またもや厄介な案件に巻き込まれました。


 破綻した異世界……エリザベスは「バグだらけの王国」をどうやって立て直すのか?

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