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【転生令嬢】愛より金や! 〜断罪の宴に響くソロバンの音。「慰謝料」キッチリ計算してええですか?〜  作者: ちいもふ
第8章:【純愛?】ナニワの看板娘、恋という名の『計算不能』に、ソロバンを弾き損ねる
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【逆転決済】! ――エドガー、アンタ……その「条件」は計算外やで!




 翌朝。


 エドガー卿の屋敷の執務室に、「不法侵入者」が堂々と足を踏み入れた。


 ボロ宿で一晩を過ごし、ドレスのすそを短く切りそろえたエリザベスである。


「……お嬢様。警備の騎士たちは、ギルが『火を噴くバーベキュー大会』を開催して、引きつけております。

今のうちに、監査卿あいつ喉元のどもとを買い叩きましょう」


 カシムが、いつもより鋭利に光る眼鏡を直しつつ、重厚な扉を開く。


 そこには、優雅に朝の紅茶をたしなむエドガーが、余裕の笑みを浮かべて座っていた。


「やれやれ、降参の挨拶に来るには少し早すぎないか? エリザベス。……ひもじい思いをさせて悪かったね。今すぐ私に降伏すれば、最高級の朝食を用意させよう」


「……ふん。相変わらず、計算違いが激しい男やな、アンタ」


 エリザベスは、エドガーのデスクにドカッと座り込み、一枚の「権利書」を叩きつけた。


「……え?」


 エドガーのまゆがピクリと動く。


 そこに書かれていたのは、今飲んでいる『最高級の茶葉』の独占販売権、および、屋敷に水を引いている『私設水道の管理利権』など……すべてが、「ナニワ商会」によって買収された証明書だった。


「知らんかったんか? アンタの屋敷の維持費、昨日ウチが買い取って、別の幽霊会社に転売したんや。これで、下手な小細工はできんやろ?」


「……お嬢様が路上で稼いだ『エドガー卿の弱点メモ』の売上は、レバレッジをかけて一〇〇〇万倍の軍資金に化けました。今、貴方の生活インフラは、お嬢様のてのひらの上です」


 カシムの追撃に、エドガーの手から、ティーカップが滑り落ちそうになる。


「……なっ。……私の資産を、逆包囲したというのか……?」


「当たり前や! 誰やと思ってるねん! 無一文になればなるほど、ウチのソロバンは『超高速オーバークロック』で回るんや!」


 エリザベスは、呆然とするエドガーのあごをクイッと持ち上げ、不敵に言い放った。


「アンタの負けや。……今日からエドガーは、ウチの『管理下』や。許可なく、水一滴も飲ませへんからな!」



 沈黙。


 やがて、エドガーは力なく肩を落とし――たまらなくなったように、低く笑い声を上げた。


「……ははっ。……参ったよ。……君を閉じ込めて守ろうなんて、ただの傲慢ごうまんだった。君は『絶望』すら『商機』に変えて、私を圧倒してしまう令嬢。……ああ、なんて強くて、美しいんだ」


 エドガーがその場にひざまずき、エリザベスの指先に、うやうやしく、口づけを落とす。


「……支配したい、と思っていたが、訂正しよう。私は君という才能の『専属の財布』……いや、エリザベスと共に歩む『共同経営者』になりたい。私の全てを、資本として捧げよう」


「……っ!? ……パ、パートナーシップの提案やな!? 監査卿の資産全額出資……っ! じ、条件は悪ないわ!」


 不意打ちの「プロポーズ(?)」に、エリザベスのソロバンが、本作一番の激しさで、パチパチとバグり始めた。


 計算不能な結果は、まさかの『交際ゼロ日婚』。


 お嬢様の快進撃は、愛という最強の資本を得て、さらなる加速を遂げる。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!


 宿代にも困っていたはずが、気がつけば屋敷の「管理権」を握り、挙句の果てには監査卿を「専属の財布」にしてしまったエリザベス。


 今回はバグりつつも、最高の「共同経営者」という資本をゲットしたようです。


 愛と金が交差する二人のパートナーシップ、ここからが本当の始まりですね!

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