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【転生令嬢】愛より金や! 〜断罪の宴に響くソロバンの音。「慰謝料」キッチリ計算してええですか?〜  作者: ちいもふ
第8章:【純愛?】ナニワの看板娘、恋という名の『計算不能』に、ソロバンを弾き損ねる
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ダンスホールの「ドキドキ」と、想定外のロイヤル・エスコート

 王立夜会の会場となる白亜の宮殿。


 エリザベスは、扇子の裏に隠した「金儲けのメモ書き」をチラリと見て、戦闘態勢に入った。

 

「……お嬢様。心拍数が上がりすぎです。……敵の『顔面の良さ』に惑わされないよう、『金の亡者』としての心を取り戻してください」

 

 背後に控えるカシムが、冷たい声でささやく。


 隣で、ドレスアップしたギルが、周囲の貴族をにらみつけていた。

 

「わかってるわ。……せやけど見てみぃな。

シャンデリア一つで、ナニワの倉庫が三つ建つわ。

……こんな無駄遣むだづかいする奴に、ウチの商売にケチつけさせてたまるか!」

 

 エリザベスが鼻息荒く、大階段を降りようとした瞬間。

 

「――お待ちしておりました、エリザベス殿」

 

 会場のガヤガヤした音が、ピタッと止まる。


 階段の下で待っていたのは、国家財政を担うエリート、エドガー・ヴァイス。


 キラキラした銀髪に、ピシッとした礼服。


 いつもは怖い顔のエドガーが、優しい笑顔で、エリザベスを見上げていた。

 

「な……っ!?」

 

 エドガーが、エリザベスの手を取るために、階段を上がる。


 ざわめきが消えたホールの中で、二人の歩む道だけが、スポットライトを浴びたように見えた。


 エドガーの指先が、エリザベスの手袋に触れた瞬間、頭の中にあった「戦う準備」がバラバラに崩れ去った。

 

「……今夜の貴女は、世界中の全ての宝を集めても足りないくらい、美しい」

 

 そのまま、王子様のように優雅な動作で、エリザベスの手の甲にキスをした。

 

「……へ? ……あ、えっ!?」

 


 パチパチパチパチ……ガシャーン!!


 

 エリザベスの頭の中で、フル回転していた「商売モード」がショートして、真っ白になった。


 いつもなら「そのお世辞、なんぼで売れる?」と冗談でも言えるはずなのに、顔が真っ赤になって言葉が出てこない。

 

「エスコートさせてほしい。……君とのダンスが楽しみで、仕事も手につかなかったんだ」

 

 エドガーが耳元でささやくたびに、エリザベスの心臓は早鐘を打つ。

 

「……お金のことしか考えないお嬢が、林檎りんごみたいに真っ赤になって、大人しくしてる……! 

 カシム、世界が滅びる前触れじゃない!?」

 

 ギルが驚愕の声を上げる中、エリザベスは、「胸のドキドキ」に振り回されながら、エドガーの腕に引かれてホールへと向かった。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!


 殺し屋の目をした護衛たちを尻目に、エリザベスお嬢様の「勘違い」はどこまで行くのか。


 エドガー卿の甘い口説き文句に、お嬢様のソロバンは機能停止中です!

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