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【転生令嬢】愛より金や! 〜断罪の宴に響くソロバンの音。「慰謝料」キッチリ計算してええですか?〜  作者: ちいもふ
第8章:【純愛?】ナニワの看板娘、恋という名の『計算不能』に、ソロバンを弾き損ねる
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求婚はすべて資源ゴミ! エリザベスお嬢様の「勘違い」モテ期、到来



 軍事帝国ガリアとの通商条約締結、そして古代竜を「物流の看板」へと書き換えた空域制圧から数日。


 ナニワ商会の朝は、絶望的な光景から始まった。


「……カシム。ウチ、『古紙回収業者』になった覚えはないんやけど?」


 エリザベスは、自身のデスクを見て、呆然と立ち尽くした。


 重厚なマホガニーの机は、もはや木目すら見えない。


 視界を埋め尽くしているのは、色とりどりの封筒、バラの香りが漂う便箋びんせん、そして、これ見よがしに宝石が埋め込まれた親展の山、山、山――。


「……お嬢様、おはようございます。

今朝の第一便で届いた、各国の王侯貴族からの『熱烈なラブレター』、および『夜会への招待状』でございます」


 カシムが事務的に告げる。


 眼鏡の奥の瞳は、深夜の墓場のように冷たく、どす黒いオーラを宿していた。


「ラブレターぁ? なに寝ぼけたこと言うてんの。

……あぁ、なるほど。

『マッハ・デリバリー』に目をつけた連中が、提携の申し込みを情熱的につづってきたっちゅうわけやな?」


「……いえ、お嬢様。

九割九分、お嬢様の『独身枠(市場価値)』を狙ったハイエナどもの求愛でございます」


 エリザベスは、山の一番上にあった金箔きんぱく入りの封筒を指先でつまみ上げ、太陽の光に透かした。


「……封筒の装飾だけで金貨一枚分はするな。どこのどら息子や? 

贅沢ぜいたく禁止法で訴えたら、和解金でボロもうけできるんちゃうか?」


「……すでに判定『D(資源ゴミ)』として仕分け済みです。

紙屑かみくずは、指先一つで、物理的に『除却』できますので」


 カシムの手には、いつの間にか、魔導シュレッダーが握られていた。


 「ギィィィン」と鳴り響く音は、どことなく求婚者たちの悲鳴に似ていた。


 だが、カシムの手が、一通の「飾り気のない真っ白な封筒」の前で止まる。


「……お嬢様。

エドガー・ヴァイス。王立財政監査卿からの、公開尋問ダンスへの招待状です」


 手紙の内容を要約すればこうだ。


『――ナニワ商会は、稼ぎ方に問題がある。明晩の夜会にて、私に直接釈明せよ』


「……お嬢様。狙いは監査ではなく、お嬢様をダンスに誘うための『へたくそな口実』です。

不愉快極まりない」


「カシム、何言うてんの。それより『稼ぎ方が不当』やて!? 

ナニワの看板に泥塗るっちゅうんか! ええわ、その喧嘩けんかうたる! 

ソロバンのたま、全部ダイヤに植え替えて乗り込むで!」


 エリザベスは、「不器用なエリートによる、必死なデートのお誘い」だとは、微塵みじんも気づいていなかった。


「……承知いたしました。では、敵を恐怖させるための『夜会用・最強ドレス』を用意します。

ギル……起きなさい」


「……ふぇ? あ、旦那サマ。おはよー……って、うわっ! 

目が完全に殺し屋になってるんだけど!?」


「……お嬢様の初陣ダンスです。

貴女は護衛として、お嬢様に近づく害虫をすべて『不良債権』として処理しなさい。

……一匹でも漏らしたら、今夜は一緒にお風呂に入りませんよ」


「えぇー! わかった、わかったよぉ! 

お嬢の隣は、ウチがガッチリガードするからさ!」


 こうして、エリザベスの史上最高に「勘違い」なモテ期が始まったのである。

 最後までお読みいただき、ありがとうございます!


 エリザベスお嬢様、愛よりも何よりも、「ソロバン」を片手に、夜会という名の戦場へ出陣です。

 

 エドガーとの「ダンス」は、どうなるのか……ぜひブックマークをして、ナニワ商会の決算報告をお待ちください!


 評価や感想もいただけると、エリザベスが喜んで「粗利」を計算します。


 よろしくお願いします!

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