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【転生令嬢】愛より金や! 〜断罪の宴に響くソロバンの音。「慰謝料」キッチリ計算してええですか?〜  作者: ちいもふ
第6章:【人事】今日から国王と王妃や。――あ、給料は据え置きやで?
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四天王が五人いるのは、魔界では常識ですか?

 正門前。


「いいから粉末を戻せ! 俺たちの『ナニワ麺』は、濃いスープがあってこそなんだよ!」


「ステルス値上げ反対! 実質的な減量案を撤回てっかいしろー!」


 かつて世界を滅ぼそうとした魔物たちが、今は「消費者」としてプラカードを掲げている。



 喧騒けんそうを見下ろしながら、カシムは逆さまに装着したままの眼鏡をクイッと押し上げた。


「……ゴウモン主任。スープ袋を一つ持ってきなさい」


「はっ! こちらに! しかしカシム殿、封は開いておらんのです」


 カシムは手渡されたスープ袋を、指先で精密に検品した。


 確かに、封は完璧に閉じられている。


 しかし、振ってみれば音は軽く、重さを量るまでもなく、中身が減っているのは明らかだった。


「お嬢様の減量指示よりもさらに……15パーセントほど欠損している。……。『製造工程のミス』ではなく、何らかの特異能力による『窃盗せっとう』です」


「厳重な倉庫から、中身だけを抜いたってのか!?」


 驚愕きょうがくするゴウモンの横から、ギルがスマホを片手に割り込んできた。


「ちょ、初夜をブチ壊した犯人が『粉泥棒』とかマジ受けるんだけど! ……あ、カシム見て!

 袋の端っこ、『ズゾッ』って吸ったような、ちっちゃいシワがない?」


 ギルが画面をズームする。


 そこには、針の穴ほどの微細な凹凸があった。


「……なるほど。特定の一点から、分子レベルで中身を『吸引』した形跡ですね。……ゴウモン主任、ドブドス、フリーズ、ゼツボーン。貴方たち四天王に、こういう芸当ができる知り合いは?」


 全員が顔を見合わせ、気まずそうに視線を泳がせた。


「……いや、その……『四天王』の定義にも色々ありましてな」


 腰痛ベルトを締め直すゴウモンに続き、掃除用具を抱えたドブドス、氷結魔法で周囲を冷やしているフリーズ、そしてレンズを磨くゼツボーンが、順に首を縦に振る。


「そうなんですぅ。実は魔界の四天王って、結構『入れ替わり』が激しいというか……」


 カシムの眉間みけんに、深いしわが刻まれる。


「……嫌な予感がします。端的に言いなさい」


「……我ら四天王の『補欠』というか、不祥事で除名された『五人目』がいたはずでして。名は、吸引公爵・ズゾー」


「……四天王なのに、五人目? 算数からやり直しますか?」


 刹那せつな、遠くから「ズゾォォォ……ッ」という、何とも情けない、しかしすさまじい吸引音が響き渡った。


「……出ましたね、イレギュラーが」


 カシムは「粛清しゅくせい」の光を瞳に宿し、備蓄倉庫へと急ぐ。



「ここか……」


 カシムは、静かに闇へと歩みを進めた。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!


 四天王……の補欠?


 理不尽なトラブルも、「ナニワ商会」にかかれば人材確保のチャンスに変えていく(?)スタイルです。


 次回も、どうぞお楽しみに!

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