王冠を脱いで、特売チラシ配ってきなはれ
「……お嬢様。ナニワ商会への『正式加盟』を求め、各国の王族連中が押しかけております」
カシムが差し出したのは、世界の覇権を争っている国々の、国璽が押された誓約書の束だ。
今や同盟は、『ナニワ商会・聖都本店』へと看板を掛け替えられていた。
「嘆願書ぉ? 昨日まで『不当独占や!』って裁判ふっかけてきた連中が、現金やねぇ」
エリザベスは、特注の「ナニワ・ゴールド・ソファ」に深く腰掛け、扇子で手招きした。
広間に通された諸国の王たちが、神妙な面持ちで整列する。
「エ、エリザベス様。我が国も、ぜひ『ナニワ・ポイント』の導入を……」
「うちの国にも、騎士団が走るデリバリー網を引いてはいただけまいか!」
エリザベスは冷ややかな視線を向け、カシムに条件を提示させた。
「はい。ナニワ経済共同体への加盟条件は以下の通りです。
一、通貨を『ナニワ・ポイント』へ統一すること。
二、国内の物流インフラをすべて『ナニワ・ロジスティクス』に委託すること。
三、そして……王族自らが、ナニワ商品の『特売チラシ』を配ること」
王たちが絶句する。
国家の主権だけでなく、プライドまで「ナニワ」に売り渡す条件。
だが、拒否すれば国は干上がり、民衆は「麺」を求めて暴動を起こすだろう。
「あ、それと、アンタらの城のバルコニー。『ナニワ商会・特売中!』の巨大看板設置するから」
「な……城を、広告塔に……!」
「嫌やったら、自分の足で麺を売り歩きなはれ。……『同盟維持』? 寝言はええで! サインしてや。これからは『ナニワ経済共同体』なんやから!」
震える手で、王たちが次々と契約書に判を押していく。
こうして、長年の歴史を誇る「自由貿易同盟」は、エリザベスの資本力によって、世界最大の「ナニワ直売モール」へと作り変えられたのである。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
かつての権力者たちがチラシ配りに奔走する世界。
エリザベスのソロバンは、まだまだ休むことを知りません。
皆様の応援が、『ナニワ・ポイント』を貯める原動力です!




