【断罪】「悪徳令嬢」への聖なる裁判
ナニワ商会が聖都の物流を掌握し、平和な「麺の時代」が幕を開けた矢先のことだった。
突如として、「同盟最高法廷」の名で一通の『召喚状』が叩きつけられた。
「……お嬢様。『法権王』ソロモンが動き出しました。罪状は不当独占および異端教唆。受理しなければ、ナニワ商会の全資産を法的に凍結するとの通告です」
カシムが差し出した漆黒の羊皮紙を、エリザベスは鼻で笑った。
「法権王? ルールの穴を突くのが趣味の、ケチなジジイやね。……ええわ、受けて立ったろやないの。逃げたと思われたら、うちの『信用格付け』に傷がつくわ」
当日。
聖都の「中央大審問所」は、異様な熱気に包まれていた。
エリザベスに煮え湯を飲まされた同盟の残党貴族たちが、汚名返上の機会とばかりに傍聴席を埋め尽くしている。
「見ろ、あの厚顔無恥な令嬢を。今日こそ、傲慢な鼻柱を折ってやる」
「法の番人、ソロモン陛下が直々に裁くのだ。逃げ場などあるまい」
罵声が飛び交う中、エリザベスは豪華なドレスの裾を翻し、レッドカーペットを悠々と歩く。
被告人というより、所有物件を視察しに来たオーナーのようだった。
壇上の重厚な椅子に座るソロモン王が、冷酷な瞳で片眼鏡を光らせ、法廷の小槌を叩く。
「静粛に。……エリザベス・フォン・テシガワラ。貴殿の商売は、同盟法第108条『市場独占および不当契約』に抵触する。中通の買収は無効。さらに、貴殿が広めた『麺』は民衆の知能を低下させる魔薬の疑いがある。……よって、全資産の没収と、貴殿の身柄を『異端審問官』へ引き渡すことを決定する!」
会場に地を揺らすような拍手と喝采が起きた。
ソロモンは勝利を確信し、満足げに顎を引く。
「……あほらし。その『法』、誰のためにある思てんの?」
静寂を切り裂いたのは、エリザベスの冷ややかな声だった。
召喚状を扇子で跳ね除けると、カシムに視線を送った。
「カシム。中央大審問所の『維持費』、誰が払ってるか教えたげて」
背後に控えていたカシムが、眼鏡の奥の瞳を光らせ、一通の書類を掲げた。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
裁判という名の「商談」で、エリザベスが叩きつける次の一手とは?
次回も、どうぞお楽しみに!




