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【転生令嬢】愛より金や! 〜断罪の宴に響くソロバンの音。「慰謝料」キッチリ計算してええですか?〜  作者: ちいもふ
第5章:商売の神様も、ナニワの味には勝てへん。――これにて聖都、完全支配
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【座標の彼方へ】預かり物の返却と、再会の羅針盤

 シルヴァーナがナニワ商会に現れてから、数日後のことだった。


 聖都アイギスを見下ろすバルコニーで、エリザベスは自分の胸元にそっと手を当てた。


「……やっぱり、これやったんやな」


 エリザベスが意識を集中させると、心臓の鼓動こどうに合わせて、淡く輝く「光の粒」が体外へと浮き上がってきた。


 それこそが、転生する際に無意識に抱え込んだ、『ロウィンの魂の欠片』だった。


「エリザベス……」


 シルヴァーナが震える手で羅針盤を掲げる。


 針は回転を止め、エリザベスの手元にある光の粒を真っ直ぐに指して、激しく震えた。


「シルヴァーナちゃん、持ってき。……うちは魂の欠片のおかげで、こっちの世界でもナニワの根性チートを維持できたんかもしれん。けど、持ち主に返してあげるのが、商売人のスジやからね」


 エリザベスが光をそっと押し出すと、魂の欠片は吸い込まれるように羅針盤の中央へと収まった。


 羅針盤から、聖都の夜空を貫くほどの巨大な光の柱が立ち昇る。


「……座標が、固定されたわ。……次の道につながった」


 光の渦がシルヴァーナの体を包み込む。


 転送が始まったのだ。


「おおきに、エリザベス。貴女に会えてよかった。……貴女の強さと、法善寺のクレープの味、一生忘れへんわ」


 シルヴァーナが少しだけ、「ナニワの言葉」を混ぜて微笑んだ。


 エリザベスは、眩しそうに目を細めて、去りゆく友へ向けて扇子を大きく振った。


「こっちの台詞や! アイルに会ったら言うときや! 『あんたのライブチケット代の元、欠片これでしっかり取らせてもらったで』ってな!」




 閃光と共に、シルヴァーナの姿は消えた。


 後に残ったのは、静まり返ったバルコニーと、どこからか漂う甘いクレープの残り香だけ。


 カシムが静かに歩み寄り、眼鏡を指先で押し上げる。


「……。お嬢様。魂の欠片を返却したことで、弊社の『魔導演算能力』が15%低下しました」


「構へん。……借金返してスッキリした気分や。……さあ、カシム。加護がなくなっても、うちの実力ソロバンで、世界の富を全部むしり取ったるわ。仕事に戻るで!」


 エリザベスは不敵に笑い、力強く足を踏み出した。


 魂の欠片という「預かり物」は返した。


 ここから先は、純粋なナニワの商女としての快進撃が始まるのだ。

 最後までお読みいただき、ありがとうございます!


  魔導演算能力は下がっても、エリザベスのソロバンと根性は減りません。


 むしろここからが本番です!


 これからもエリザベスの無双っぷり(金儲け)を、ぜひ見守ってください!

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