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【転生令嬢】愛より金や! 〜断罪の宴に響くソロバンの音。「慰謝料」キッチリ計算してええですか?〜  作者: ちいもふ
第5章:商売の神様も、ナニワの味には勝てへん。――これにて聖都、完全支配
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【買収】中通の看板、掛け替えさせていただきます

 モルガンの背後で、ガシャンと大きな音が鳴り響いた。


 自慢のコレクションである黄金の天秤が、砕け散ったのだ。


 大陸の富を支配した『大同盟中央通商(中通)』が、商売の神に見放された合図だった。


「……あ、ありえん。私の築き上げた王国が、……たった三分のゴミ如きに……!!」


 モルガンはひざをつき、震えていた。


 カシムが淡々と、空中に浮かぶ魔導文字の数字を指し示す。


「……中通の全資産価値、ゼロを割り込みました。買い占めた小麦の維持費が、貴殿の魂の価値すら上回っています。……たった今、『大陸最大の借金王』として魔法的に確定されました」


「ひっ……ひぃぃっ……!!」


 エリザベスは魔道端末スマホ越しに、モルガンの方へ歩み寄った。


「商売の神様は、頑固な奴が一番嫌いなんやで。……アンタが小麦を抱えて固まってる間に、世界はもう『ナニワの味』に依存してもうたんや」


 エリザベスが端末の『執行ボタン』をタップした瞬間、モルガンの眼前に漆黒の羊皮紙――『魂の譲渡契約書ソウル・インボイス』が強制ポップアップした。


「さあ、これにサインしなはれ。アンタの商会、物流ルート、倉庫、そして山積みの小麦……全部まとめて、ウチが『一ゴールド』で買い取ったげるわ」


「い、一ゴールドだと!? 馬鹿にするな! 中通百年の歴史を、端金はしたがねで売れるか!」


「歴史で腹はふくれへん。サインすれば、アンタの魂を担保にした数億の借金、ウチが肩代わりしたげてもええ。……拒否するんやったら、今すぐその首、差し出しなはれ」


 契約書の周囲で、黒い霧がモルガンの体を締め上げ始める。


 サインを拒めば、契約の不履行として魂を削り取られる――これが商売人の魔法契約の恐ろしさだ。


 モルガンの喉が鳴る。


 血走った目でエリザベスをにらみ、そして――絶望に負け、震える指を走らせた。



 ――カッ、と。  



 羊皮紙が青白い炎を上げて燃え尽き、モルガンの胸に「ナニワ商会・所有物」を意味する魔導紋章こくいんが浮かび上がった。


「毎度あり。……カシム、すぐに『中通』の看板を全部叩き落として。明日からは『ナニワ・ロジスティクス・中央』に掛け替えや」


「承知いたしました。すでに準備は整っております」


 モルガンの配った「偽札」が、ナニワの麺を買うための「整理券」として有効活用されている。


「新しい仕事を用意したるわ。……アンタが買い占めて腐りかけた小麦の山。全部一人で『麺』の袋に詰める作業や。……魔力で縛られてるんやから、サボったら電気が走るで? 商売の基本、手作業アナログからやり直してきぃな」



 翌朝。


 聖都アイギスの中心にそびえる豪華な旧中通ビルには、巨大な垂れ幕が掲げられていた。


『パンがないなら、麺をすすれ! ナニワ商会、聖都全域・支配開始!』


 「ナニワ令嬢」の快進撃はまだまだ続く。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!


黄金の天秤も、ナニワの「麺」の前では無力でしたね。


聖都に響き渡る麺をすする音こそが、新たな時代の始まりです!


次回も、どうぞお楽しみに!

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