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【転生令嬢】愛より金や! 〜断罪の宴に響くソロバンの音。「慰謝料」キッチリ計算してええですか?〜  作者: ちいもふ
第5章:商売の神様も、ナニワの味には勝てへん。――これにて聖都、完全支配
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【最強の休日】魔竜ギャルの爆買いは、聖都すら揺るがす?

 軍事国家ゼルドビアが、たった一晩で「数字の海」に沈んだ頃。立役者の一人――ナニワ商会の「最終兵器」ことギルは、聖都アイギスのメインストリートにいた。


「うわ、これ超ヤバイ! 聖都限定の『光光ぴかぴかクレープ』じゃん! マジぶち上がるんだけど!」


 トゲ付きの肩当てを脱ぎ捨て、エリザベスから貰ったフリルのワンピースに身を包んだギルは、瞳を輝かせていた。手には、エリザベスから「ボーナスや。パーッと使ってき」と渡された、分厚い布袋。中身は、一国を黙らせた「成功報酬」の金貨だ。


「えーっと、次はあそこのブティック……じゃなくて、『服屋さん』だっけ? カシムが『領収書は全部取っておけ』って言ってたけど、マジ細かいよねー、あのメガネ」


 ギルが鼻歌混じりに歩くと、周囲の歩行者が道を空ける。隠しきれない強者のオーラ(と、あまりに眩しいギャル感)に、聖都の住民たちは本能的な恐怖を覚えているのだ。


 だが、当の本人はそんなことお構いなし。


「すいませーん! 『星降る真珠のピアス』、全部ください! あ、あとこっちのピンクの靴も! 履けないけど飾るからOK!」


 宝石店に飛び込み、無造作に金貨を積み上げる。店主は、かつてない上客の登場に震えながらも、ギルの屈託のない笑顔――「マジこれ、エリザベスに似合いそう!」という独り言を聞いて、少しだけ肩の力を抜いた。



 その日の夕暮れ。両手に抱えきれないほどの紙袋を下げたギルが、ナニワ商会の仮拠点に戻ってきた。


「ただいまー! 見て見て、エリザベス! 聖都の経済、ウチが一人で回してきたよ!」


 そこには、相変わらず書類の山と格闘しているカシムと、優雅にお茶を飲むエリザベスの姿があった。


「おかえり、ギル。えらい派手に買い込んできたなぁ。……カシム、経費で落とせるか?」


「……。個人の嗜好品しこうひんは無理です。ですが、『視察および友好親善費』としてなら、三分の一は処理可能かと」


「マジ? カシムってば、たまにいいこと言うじゃん!」


 ギルは買ってきたばかりのクレープをエリザベスの口元へ差し出した。


「これ、聖都で一番人気なんだって。エリザベス、クレープ好きっしょ?」


 エリザベスは驚いた顔をした後、ふっと柔らかく微笑んで一口かじった。


「……甘いなぁ。死ぬほど甘いわ。おおきに、ギル。おかげで次の『大掃除』も頑張れそうやわ」


「でしょ? 悪い奴らなんて、ウチがボコって、エリザベスが全部奪っちゃえばいいんだよ!」


 平和な会話。だが、カシムが「……次のターゲット、大商長の隠し口座を特定しました」と冷徹に告げる。


 聖都の平和は、「甘いおやつタイム」の間だけ。明日にはまた、ナニワのソロバンが誰かの人生を弾き始めるのだ。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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