【精査】同盟の財布は、すでに火の車
聖都アイギスの円卓会議室。
本来、世界の富を動かす「選ばれし者」たちの聖域だ。
しかし今、この場を支配しているのは、盟主たちの威厳ではなく、無機質な「紙をめくる音」と「ペンの走る音」だけだった。
「……カシム、どないや? 同盟様の家計簿、読み応えある?」
エリザベスが優雅に足を組み、扇子で口元を隠して尋ねる。円卓のすぐ横に置かれた事務机で、カシムは表情一つ変えずに答えた。
「……。一言で言えば、『ゴミの山』ですね」
その言葉に、軍事国家の王が顔を真っ赤にして机を叩いた。
「無礼な! 我が同盟の予算規模が、旧大陸の小国ごときと一緒だと思っているのか!」
だが、カシムは視線すら上げない。
「……確かに規模だけは立派です。ですが、軍事予算の40%が『演習』という名目で、王族の豪遊費に消えています。さらに、海の向こうへ派遣した騎士団の装備代……市場価格の5倍で発注されていますね。差額はどこの商長の懐に入ったんですか?」
途端に、円卓を囲む大商長の一人が、滝のような汗を流し始めた。
「な、何を根拠に……!」
「数字ですよ。物流の動きと、帳簿の数字が合っていない。素人でもわかります」
カシムが淡々と「不正」の証拠を突きつけるたび、エリザベスは「ひゃあ、えげつなーい!」とわざとらしく声を上げた。
「自由貿易同盟』って、自由にお金をパクってええっていう意味やったん? そら先遣隊も全滅するわ。中身スカスカの、張りぼてやもん」
エリザベスの言葉が、ナイフのように王たちのプライドを切り刻む。
「アンタら、ウチへの一億枚どころか、来月の同盟維持費すら危ないんとちゃう?」
「な、何を言うか! 我が同盟の富は、大海の波の如く無限なのだぞ!」
「無限なのは『借金』の方ですね」
カシムがトドメの一枚を円卓に滑らせた。粉飾を剥ぎ取り、ナニワ式で再計算された「同盟の真実の財政状況」が記されていた。
真っ赤。どこを見ても、真っ赤な赤字の嵐。
「……。おめでとうございます。同盟は、実質的な倒産を迎えます」
会議室が静まり返る。
絶望に打ちひしがれ、ガタガタと震え出す盟主たち。彼らを見下ろしながら、エリザベスは悪魔の微笑みを浮かべた。
「せやから、ウチらが助けたげるって言うてるんや。……なあ、カシム。どこの無駄から削ろか?」
「……。まずは、軍事国家の『動かない艦隊』の維持費を全カット。それから、大商長殿の独占利権をすべて解放し、ナニワ商会の物流網に統合します」
同盟の主権が、正式に「ナニワ商会の事務机」へと移った瞬間だった。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
自由貿易同盟の家計簿、まさかの「真っ赤っか」でした。
王族の豪遊に不正発注……エリザベスならずとも「えげつなーい!」と言いたくなる惨状ですが、ここからがナニワ商会の本領発揮です。
「カシム、もっと追い詰めたれ!」「エリザベスの悪魔の微笑み最高!」と思っていただけたら、ぜひ下の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援をお願いします!




