【無双】デートの延長(5分)がかかってんのよ! ~秒で整理整頓される先遣隊と、現場に突き刺さる罰金看板~
ナニワ商会まで、あとわずか。
自由貿易同盟が誇る「鋼鉄の先遣騎士団」が、砂塵を上げて爆走していた。
最新鋭の魔導輸送船を投入し、旧帝国の防衛網を力技で突破しての強行軍。
あまりの速度に、エリザベスもさぞかし肝を冷やしているだろう――と、団長は確信していた。
「聞け! 我々は不当な借金を無効化し、特使レオンハルト卿を救出する! 相手はたかが商人、最新鋭のゴーレムの前には無力よ!」
団長が剣を掲げ、士気を高める。
その時、天が割れる轟音と共に、黒銀の閃光が、大地へ突き刺さった。
「――ちょ、マジで邪魔なんだけど! 一分一秒が超貴重なわけ! どいてくんね!?」
爆煙の中から現れたのは、髪を振り乱し、苛立ちを隠さないギャル美女――ギルだった。
「な、なんだこの女は!? 出所不明の魔導生命体か!? 構わん、全機、一斉掃射……」
「あー、マジうるさい。はい、強制終了~」
ギルが面倒くさそうに指をパチンと鳴らした瞬間、周囲の魔力が「逆流」した。同盟が誇る最新鋭のゴーレム百体が、内部から破裂して、ただの「粗大ゴミ」へと変貌する。
重厚な鎧の騎士たちが、彼女の威圧感だけで地面にめり込んだ。
「……う、嘘だろ。我が国の誇る魔導技術が、指先一つで……。貴様、一体何者だ……!」
「は? ただの『恋する乙女』だし。カシムとのデート時間が5分延びるかどうかの瀬戸際なの。あんたたちがトロトロ進軍してるせいで、タイムスケジュール、マジぴえんなんだけど!」
ギルは空中を浮遊して、手元の魔導端末でタイマーを確認した。
「よし、開始から20秒。……あと5秒で片付けたら『おまけの5分』確定っしょ。……おじさんたち、悪いけど物理的に『整理整頓』させてもらうね。マジ、バイバーイ!」
ギルの両手に黒銀の魔力が収束する。
かつて一国を滅ぼした極大魔法『終焉の咆哮 』――の、ギャル向け省エネ版。
「食らいな! 『マジでわからせ・エクスプロージョン』!!」
ドォォォォォォォン!! という凄まじい衝撃波が荒野を駆け抜けた。
綺麗に整列させられ、すべての装備を「剥ぎ取られた」状態で気絶している騎士たちの山と、全壊したゴーレムのスクラップが整然と積み上げられていた。
「ふぅ……。秒で終わらせたし。これならカシムも文句ないよね?」
ギルが満足げに髪をかき上げると、後方からエリザベスの高笑いが響いてきた。
「ええわぁ! ギルちゃん、完璧な仕事や! カシム、今の録画した? 同盟に送りつければ、『戦意喪失による和解金』が上乗せできるで!」
エリザベスは、全裸同然で転がっている騎士団の横に、一枚の大きな立て看板を突き刺した。
【不法侵入および公道占拠罰金:金貨一億枚。お支払いはナニワ商会まで】
「……。社長、ギル様の討伐時間は28秒。デート時間を『4分40秒』延長するようスケジュールを修正しました」
カシムが、淡々と報告書に書き込む。
「マジで!? カシム、神!! ラブ度ぶち上げなんだけど!!」
先遣隊は、ナニワ商会の看板娘(魔竜)と、推し(最強騎士)のコンビプレーによって、身ぐるみを剥がされた。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
自由貿易同盟が誇る最新鋭騎士団も、恋する乙女(魔竜)の前では「邪魔な障害物」に過ぎませんでした……。
そして秒単位でデート時間を管理するカシム。
4分40秒の延長を勝ち取ったギルのラブ度は、今頃カンストしていることでしょう。
一方、エリザベスはちゃっかり罰金看板を設置。
「金貨一億枚」を取る経営判断に、迷いはありません。
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