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【転生令嬢】愛より金や! 〜断罪の宴に響くソロバンの音。「慰謝料」キッチリ計算してええですか?〜  作者: ちいもふ
第4章:『合法ぼったくり』の回収期限――暴力による踏み倒しは可能か?――
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伝説の魔竜、念願の「タピオカ視察」へ。~最強の事務員と、ノルマ前の食べ歩き~

 ナニワ・メインストリート。

 再建されたばかりのモールの中心で、ギャルが、この世の春を謳歌おうかするように飛び跳ねていた。


「マジで神! カシムと並んで歩くとか、前世(魔竜時代)の自分に自慢したいんだけど!!」


 ギルは、カシムの腕にこれでもかと絡みついた。


 対するカシムは、休日だというのにキッチリと着こなした事務員制服(クリーニング済み)に身を包み、手には「デート行程表(分単位)」を握りしめている。


「……ギル様。本日の視察……失礼、デートの全行程は64分40秒です。先遣隊を秒殺した『4分40秒』が含まれています。一秒の無駄も許されません」


「もー、カシムってばマジ堅物~! でもそこが尊い。……ねえ、まずはあそこの『ナニワ・タピオカ・センター』行こ! 映えすぎて死ぬやつ!」


 二人が向かったのは、エリザベスが「流行りもんは全部吸い尽くせ」と号令をかけて作らせたタピオカ専門店。かつての暗殺者(現在は店員)が、死んだ魚のような目でストローを配っていた。


「いらっしゃいませ……。やりがい……あ、いえ、タピオカ一丁……」


「これこれ! カシム、はい、あーんして? これ飲んだら、魔力がマジでパオンってなるから!」


「……。ギル様、公衆の面前で『あーん』などという非効率な摂食行動は……。……。……分かりました。業務命令(ご褒美)ですから、執行します」


 カシムが、鉄の意志でタピオカを一口吸う。

 その瞬間、隣ですさまじい「殺気」がふくれ上がった。


「……死ぬ。マジで心臓がビッグバンなんだけど……!」


 ギルの体から漏れ出した魔力が、周囲の建物をミシミシときしませる。


 通行人たちが「な、なんだこのプレッシャーは!? 敵襲か!?」と逃げ惑い始めた。


「……ギル様、魔力が漏れています。インフラを破壊すると、デート時間は『10分マイナス』になります」


「ひっ!? マジごめん! 秒で抑えるから見捨てないで!!」


 伝説の魔竜が、カシムの一言で必死に魔力を抑え込む。


 「ナニワ・ビジョン(中継)」で、様子を見ていたエリザベスが、ニヤニヤしながらマイクを握った。


「ええわぁ。デレデレの魔竜を録画して、『恋する魔竜の休日』ってタイトルで有料配信したら、金貨ががっぽがっぽやわ」



 デートは続く。

 魔導肖像画プリクラを撮れば、ギルの魔力が強すぎて機械が爆発し、カシムが「修理費、金貨200枚。あなたの取り分から天引きです」と冷たく言い放つ。


 ギルが「もー、カシムの鬼ー! 好きー!」と叫びながら抱きつく。


 大陸最強の二人が繰り広げる、世界一平和で、破壊的な「日常」だった。


「……あーあ、幸せすぎる。もう一回軍隊来ないかな。秒でボコって、あと1時間くらいデート延長したいんだけど」


 ギルの物騒すぎる独り言を聞きながら、カシムは静かに時計を止めた。


「……。時間です、ギル様。一秒の狂いもなく、デートの時間は終了しました。さあ、工場へ戻りましょう。午後の『魔石精錬ノルマ』が待っています」


「えー、マジ無理! ぴえん!!」


 絶叫するギャル魔竜を、カシムは、優しく引きずって帰るのだった。

 最後までお読みいただき、ありがとうございます!


 平常運転の「ナニワ・タピオカ・センター」です。

 大陸最強の魔竜も、カシムの前では形無し。デート代が「取り分から天引き」されるあたりが、いかにもエリザベスの陣営らしいですよね。


 次回も、どうぞお楽しみに!

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