【悲報】聖女、洗脳完了。「私が救うべきは民衆ではなく……でした」と微笑む。~これにて不良債権、完全回収や!~
第十四加工場の広場に、朝日が昇る。
だが、そこに集まった者たちに、悲壮感はなかった。ボロボロのツナギを着たセレスティーヌ、アルベルト、そして泥にまみれた元貴族、元商人、元暗殺者の男たちは、整然と列をなし、一点を見つめていた。
彼らの瞳には、もはや「自由」への渇望はない。ただ、次に投入される泥をいかに効率よく処理するかという、職人めいた「光」が宿っていた。
「さあ、元気よく、魂込めて歌おか!」
特設ステージの上で、エリザベスがタクトを振る。カシムが再生ボタンを押すと、重厚なオーケストラによる「ナニワ商会・社歌」が鳴り響いた。
「――仕入れて、売って、利を拾え♪」
「「仕入れて、売って、利を拾え!」」
セレスティーヌが透き通る声で唱和する。
「――返せぬ借金、身で返せ♪ 世界の帳簿は、ナニワにあり♪」
「「世界の帳簿は、ナニワにあり!!」」
アルベルトも、ヴィクトールも、シオンも、ハンスも。喉が裂けんばかりの声で叫び、拳を突き上げる。彼らはすでに『ナニワGOLD』の過剰摂取と、エリザベスによる徹底した「洗脳」教育により、「働くことこそが、唯一の自己肯定」だと思い込まされていた。
レオンハルトだけは、「スマイル0円」の宣伝部長として看板を首から下げ、無表情で様子を眺めていたが、エリザベスの冷たい視線を感じると、慌てて小声でハミングを始めた。
「……ええわぁ。みんな、ええツラになったやん。聖女も王子も、磨けば光る『歯車』やったね」
エリザベスは満足そうに頷き、カシムに指示を出した。
「カシム。合唱の映像、『更生ドキュメンタリー』として全世界に有料配信しとき。タイトルは――【地獄からの再起:聖女、本当の愛を知る】や」
「承知いたしました。すでに隣国からの視聴予約が殺到しております」
セレスティーヌは、世界中の笑いもの、あるいは「教育ビデオ」のモデルになっていることなど気にせず、次の撹拌作業に向けて、幸せそうに微笑んでいた。
「エリザベス様……。やっと分かったわ。私が救うべきだったのは、民衆の心じゃなくて、ナニワ商会だったのね……!」
頬を赤らめて語る聖女の姿に、エリザベスは優雅に扇子を閉じ、カメラの向こうの読者に向かって、不敵な勝利の笑みを浮かべた。
「――まいどあり。これにて、不良債権(聖女ルート)の回収、完了や!」
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
セレスティーヌの不良債権、キッチリ「完済」予定でございます。
最後にエリザベスと目が合ってしまった読者の皆様も、立派な商人ですよね。
「この回収劇、えげつなすぎて最高や!」と思っていただけましたら、ぜひ下の【☆☆☆☆☆】から「お代(評価)」を置いていってください!
――次の商談もお楽しみに!




