【悲報】聖女、ストライキを宣言するも「追加利息」に敗北する。~働かなければ一生、借金からは逃げられませんわよ?~
「――もう限界よ! こんなの、人間がやる仕事じゃないわ!」
第十四加工場の朝礼。セレスティーヌは、泥をかき混ぜるための撹拌棒を地面に叩きつけ、仁王立ちで叫んだ。
背後には、同じく疲労困憊のヴィクトールやシオン、そしてすっかり目が死んでいるアルベルト元王子が、力なく拳を上げている。
「私たちは、エリザベスの奴隷じゃない! 聖女としての尊厳と、適切なティータイム、それから週休三日を要求します! 応じないなら、一歩も動かないわよ!」
セレスティーヌによる「聖女ストライキ」の宣言。だが、工場のスピーカーから聞こえてきたのは、エリザベスの心底楽しそうな笑い声だった。
「ストライキぃ? まあ、えらい勇ましい言葉知ってはるやん。……でも残念。あんたらが結んだんは、【借金返済のための強制労働契約】なんよ」
工場の巨大モニターに、「魔法のカード」の利用規約が映し出された。
「よく読み。……『乙 (セレスティーヌ)が支払不能に陥った場合、甲(ナニワ商会)の指定する業務を完遂するまで、一切の拒否権を放棄する』。……それにな、ストライキするんやったら、まず『労働組合』として登録せなあかんし、その間の給料は出えへんよ? 当然、利息は複利で積み上がっていくけど……ええの?」
「利息が、さらに利息を生む……?」
「そう。あんたらが休んでる間も、借金のメーターは止まらへんねん。……カシム、今のストライキ開始から10分間の追加利息、計算したげて」
「承知いたしました。……ストライキに伴う機械停止の損失を含め、現在お一人あたり金貨50枚の追加負債が発生しております」
カシムの冷徹な声が響いた瞬間、ヴィクトールとシオンが即座に膝をつき、撹拌棒を拾い上げた。
「……申し訳ありませんでした! すぐに、すぐに作業に戻ります!」
「ちょ、ちょっと! あなたたち、プライドはどうしたのよ!」
セレスティーヌが詰め寄るが、シオンは「……誇りで借金は返せない。俺はこれ以上、利率を上げたくないんだ」と、マシンのような速度で泥を練り始めた。
「さあ、セレスティーヌ様。あんたも早う持ち場に戻り。……あ、そうそう。あんたが叩きつけた撹拌棒、備品損壊として修理代を請求しとくわな」
「……っ、この、悪徳商人!!」
「悪徳? 失礼やわぁ。……うちはただ、『働かへんかったら、一生自由は買われへん』っていう、世界の真理を教えてあげてるだけやで?」
セレスティーヌは涙目になりながら、震える手で重い撹拌棒を握り直した。ストライキは開始からわずか10分、エリザベスがティーカップを一杯飲み終える前に、借金が増える結果で幕を閉じた。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
聖女様、渾身のストライキは「利息」という名の魔法に敗北しました……。
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