逆ハーレム? ~いいえ、永久労働(ノルマ)の始まりですわ~
「ルミナス・ジャッジメント」の余光が消えた更地で、三人の「逆ハーレム」たちは、砕け散った「魔法のカード」の残骸を呆然と見つめていた。
「……あ、あぁ……。俺の領地が……」
没落貴族のヴィクトールが、砂塵の中に膝をついた。彼がレオンハルトと結んでいた「土地奪還」の密約は、一撃で莫大な損害賠償になり、逆に「親族全員の永久労働」という最悪の条件に書き換えられた。
「カシム。ヴィクトール様、身なりだけはええから、モールのゴミ拾い係のリーダーに任命したげて。あ、その高級なマント、質に入れるんで脱いでもらおか」
「承知いたしました。……ヴィクトール様、こちらへ。制服は『私たちは無許可で魔法を撃ちました』と刺繍された、オレンジ色のツナギになります」
「そんな……! 貴族の誇りが……!」
ヴィクトールは、事務員たちに両脇を抱えられ、向こうへと引きずられていった。
「……どういうことだ? 自由貿易同盟がバックにつけば、ナニワのシェアを奪えると言ったじゃないか!」
豪商の息子ハンスも、自慢の計算機を地面に叩きつけて叫んだ。しかし、エリザベスは冷徹に、ソロバンで彼を指した。
「ハンス君。あんた、パレードのどさくさに紛れて自分の商品を勝手に並べとったやろ? それ、無許可営業やわ。……罰金、金貨3万枚。あと、あんたの新商会、先日レオンハルト卿が『厄介払い』としてウチにタダ同然で押し付けはったで。『負債が大きすぎるから、ナニワで好きにしてくれ』やて。まいどあり」
「なっ……レオンハルト!! 貴様、僕を売ったのか!!」
ハンスはレオンハルトに掴みかかろうとしたが、無慈悲にも債権回収専門の「屈強なガードマン」に首根っこを押さえらえ、「ナニワ商会・海外営業部(という名の、生きては帰れぬ辺境行商人)」として出荷の手続きが取られた。
そして、最後の一人。暗殺者シオンは、無言で立ち去ろうとした。しかし、エリザベスの鋭い声が射抜く。
「……逃がさへんで、シオンさん。モールの警備システムを解析するために、ウチのサーバーに不正アクセスしたやろ。……『通信傍受法違反』と『損害賠償』、しめて金貨10万枚や。……ああ、逃げるならええよ。あんたのツラ、『ナニワ・ビジョン』で24時間、指名手配犯として放送したげるから」
「…………。クソが」
シオンは足を止め、深くフードを被り直した。彼はその後、ナニワ商会の「深夜の在庫管理(昼は別作業)」という、肉体労働に従事することになる。
「ふふ。みんな、ええ顔で絶望してるわ。……セレスティーヌ様。素敵な王子様らは、『従業員』に早変わりや」
「……そんな……。こんなの、逆ハーレムじゃない……。私のキラキラした第2部がぁ!!」
セレスティーヌの絶叫が、静まり返った更地に虚しく響き渡る。かつての「攻略対象」たちは、今や「管理番号」へと姿を変え、ナニワ商会の巨大な帳簿に飲み込まれていった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
逆ハーレムの面々が、「不良債権」として仕分けられてしまいました。
セレスティーヌ様のキラキラした夢を、現実の帳簿で塗りつぶしていくエリザベス、いかがでしたでしょうか。
次回も、どうぞお楽しみに!




