聖女、突撃! ――そこは「全品10%還元セール」の真っ只中でした
「――いざ、浄化の時よ! 穢れた聖域を、私たちの手に取り戻しましょう!」
セレスティーヌは、ヴィクトールやシオンたち「逆ハーレム騎士団(自称)」を従え、馬車から颯爽と降り立った。背後には、レオンハルトが煽りに煽った民衆たちが、暴動寸前の熱気で押し寄せている。
だが、彼女が杖を掲げて突撃しようとした先で、耳を疑う声が響いた。
「いらっしゃいませー! 本日は『聖女様ご光臨記念・全品10%還元セール』にお越しいただき、誠にありがとうございまーす!」
モールの入り口に立っていたのは、泥にまみれた「ナニワ商会」の制服を着て、必死にビラを配るアルベルト(元)王子の姿だった。
「ア、アルベルト様……!? 何してるの、そんなところで!」
「あ……セ、セレスティーヌ!? 来たのか……! 頼む、入館料の銀貨3枚、先に払ってくれ! じゃないと俺の今日の給料が天引きされるんだ……!」
ガタガタと震えてビラを差し出すかつての婚約者に、セレスティーヌは絶句した。すぐ隣で、バニーガールならぬ「精霊風」の衣装を着せられた帝国令嬢たちが、笑顔でポイントカードの入会案内をしている。
「な、なによこれ……! もっとこう、禍々しい魔物がいて、私が倒すんじゃないの!?」
「お困りのようですわね、セレスティーヌ様」
モールのテラス席から、扇子を片手に優雅にエリザベスが姿を現した。
「せっかくの『ご来店』や。入館料くらい、魔法のカードでパパッと切ったげたらどう? ……それとも、お金払わんと『浄化(不法侵入)』しはるつもり?」
エリザベスの背後には、抜刀した騎士ではなく、魔道端末に「損害賠償算定ソフト」を起動させた事務員たちがずらりと並んでいた。
「くっ……! こうなったら、問答無用よ! レオンハルト様、やっちゃってもいいわね!?」
セレスティーヌが振り返ると、レオンハルトは優雅に頷き、懐から「記録用」の魔導カメラを取り出した。
「ええ。君の正義を、世界に見せつけるんだ」
「行くわよ! ルミナス・ジャッジメント!!」
ついに、セレスティーヌの杖から、全てを白く染め上げる極大の光が放たれた――。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
セレスティーヌの「浄化」vs エリザベスの「商売」。
淡々と損害賠償を計算する事務員たちのシュールな光景……。
アルベルト元王子も、今や「10%還元」のためにビラを配る立派な労働者(?)になりました。
次回も、どうぞお楽しみに!




