聖女が放つ秘奥義『ルミナス・ジャッジメント』! ……と、店主の奇妙な「おもてなし」
レオンハルトはセレスティーヌの前に立つと、彼女が握る『叡智の杖』の上から、そっと自らの掌を重ねた。
「セレスティーヌ。『浄化』を完璧なものにするために、秘奥義を授けよう。……その名も『ルミナス・ジャッジメント』だ」
「かっこいい! 名前からして、ナニワ商会の借金を一括でチャラにする『徳政令魔法』ね!」
セレスティーヌは目を輝かせた。レオンハルトは彼女の耳元で、甘く、毒を含んだ声で囁き続ける。
「効果の範囲は限定的だが、借金だけではなく、不浄な建物を跡形もなく光へと還す。……ただし、放つ前にカードの魔力を最大限に開放しなければならない。君の信じる『愛の総量』が、そのまま破壊の……いや、浄化の力になるんだ」
レオンハルトの言う「愛の総量」とは、カードが決済可能な「融資の限界 」のことだった。
(……良い。魔法を発動した瞬間、アウトレットモールの物理的破壊だけでなく、ナニワ商会の管理システムに深刻な過負荷がかかる。混乱に乗じて、サーバーのデータを書き換えれば、あらゆる債務記録が消去できる……はずだ)
レオンハルトの狙いは、セレスティーヌという「人間爆弾」を使ったサイバーテロ兼、物理破壊だった。
一方、その頃。ナニワ・アヴァロン・アウトレットモールのバックヤード。
「店主。レオンハルト卿が聖女に授けた術式……解析が完了しました。『浄化』などという生易しいものではありません。このモールを更地にするつもりです」
カシムの報告を聞いても、エリザベスは眉ひとつ動かさず、優雅に紅茶を啜った。
「ふーん。更地、なぁ。派手にやってくれるやん。……でもええわ。カシム、警備員(近衛騎士)らには『絶対に手出ししたらあかんで』って言うといて。入り口で愛想よう案内させるだけでええから」
「……よろしいのですか? 阻止しなくては、店舗資産が失われます」
「カシム。商売っちゅうのはな、『売って儲ける』だけが能やないねん。『失ってからが勝負』な時もあるんよ」
エリザベスは立ち上がり、窓の外で煌々と輝くアウトレットモールを見下ろして、ニヤリと不敵に笑った。
「あちらさんが何を狙て、聖女様がどんな夢見てはるんか……たっぷり『答え合わせ』させてもらうわ。……あ、そうや、 ……は、どうしてはる?」
「はい。入り口でビラ配りの特訓中です。……かなり、ええ声が出るようになってきました」
「楽しみやわぁ。……さあ、今からかき入れ時やで。最高の『おもてなし』準備しときや」
第42話をお読みいただき、おおきに(ありがとうございます)!
ついに放たれる秘奥義『ルミナス・ジャッジメント』。
セレスティーヌにとっては「借金チャラの徳政令」ですが、レオンハルトにとっては「物理とデータの同時破壊」という、温度差で風邪を引きそうな展開になってきました。
果たして、ナニワ商会の債務記録は消え去るのか、それともエリザベスの「おもてなし」が上回るのか……。
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