【聖女のログイン特典】~無制限カード(プラチナ・パス)で散財開始! なお、ナニワ商会の利用手数料は「聖女特盛」の30%です~
翌朝、セレスティーヌが目を覚ましたのは、シルクのシーツが肌に心地よい、天蓋付きのキングサイズベッドの中だった。窓から差し込む柔らかな光が、部屋中に散りばめられたクリスタルをキラキラと輝かせている。
「ふふ……。やっぱり、これが私にふさわしい朝だわ」
汚水処理場の悪臭が嘘のようだ。彼女が身を起こすと、絶妙なタイミングでドアがノックされ、レオンハルトが入ってきた。
「おはよう、僕の聖女。昨夜はよく眠れたかな?」
彼は爽やかな朝の風を纏い、自らティーポットを傾けた。カップから立ち上る、フローラルで高貴な香り。それは帝都の一般市民が一生かかっても口にできないような、王室御用達の茶葉だった。
「ええ、とても。……ねえレオンハルト様、私、一刻も早くみんなを助けたいの。世界を、本来の美しい姿に戻すために」
セレスティーヌの殊勝な言葉に、レオンハルトは愛おしそうに目を細め、彼女の前に一枚のカードを置いた。深い藍色の地に見事な金細工。
「その意気込みだ。……さあ、これを受け取ってほしい。自由貿易同盟が発行する『特級・無制限決済証 (プラチナ・パス)』だ」
「まあ……! 何でも買えるっていう、伝説のアイテム?」
「ああ。これから民衆の前に立つなら、完璧でなければならない。ドレス、ジュエリー、そして君が慈悲で人々に分け与えるための品々……。すべて、これで決済して構わないよ。君の行動は、自由貿易の未来への『聖なる投資』なんだから」
セレスティーヌは、震える手でそのカードを握りしめた。ゲームの知識では、こんな超弩級のチートアイテムは存在しなかった。
(やっぱり、私のログイン特典が遅れてやってきたんだわ! これさえあれば、エリザベスにお金で屈服させられることもない。私、本当の無敵になれたのね!)
「ありがとう、レオンハルト様! あなたを信じて良かった!」
彼女は弾ける笑顔で、レオンハルトの首にしがみついた。レオンハルトは彼女の背中を優しく撫でながら、肩越しに、窓の外……帝都の中央にそびえ立つナニワ商会のビルを見据えた。
(……存分に使うといい、セレスティーヌ。君がナニワ商会の決済網を使いながら、市場を奪う……。最高の皮肉だ)
聖女は愛の証としてカードを抱きしめ、貴公子は勝利の鍵として聖女を抱く。カードを切るたびに、ナニワ商会のホストコンピュータに「利用手数料:30%(聖女プレミアム)」を計上し続けることなど、今の二人にはどうでもいいことだった。
「カンスト装備に相応しい、世界で唯一の宝石をあしらったティアラを特注しよう。支払い? このカードがあれば、君の美しさに限界はないんだから」
「はい! 行きましょう、レオンハルト様!」
朝日の中、二人は高らかに笑い合いながら、豪華な馬車へと乗り込んでいった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!




