第65話 大会準備4 共存
前回のあらすじ
ラミア接触→アース登場
突然目の前に現れたドラゴンに対するエルク達の反応はラミア達にとって異様な光景でしかなかった。
『さっさとここを離れろと言っただろう』
アースが威圧をしながら目の前に降り立つ。その威圧によってエルク以外はその場で動けなくなってしまう。
「ちょっと! 威圧しないでよ! みんな怯えてるじゃん!」
『……ラミアか、なるほど』
アースはエルクの周りを囲んでいるラミア達を見て何かを察する。
「勝手に解決しないでよ! いや、解決する前に威圧を止めて!」
『フンッ! 仕方ない』
全員を包み込んでいた威圧は消えたがアースが1人1人順番に睨んでいく。中には睨まれたことで恐怖を感じたのか逃げるように距離を取る者もいた。
「で、何しにここに来たのさ!」
一段落して、全員が落ち着いた頃エルクがアースに聞く。
『そこのラミア達から既に聞いているのだろう? わざわざ話すまでもない。』
「頭良いんだね」『舐めるな』「ドラゴも見習って……」『お主の育て方次第……』
やっと本題に入るかと思えばエルクとアースの雑談が始まる。
「おい、エルク。 話を進めろって!」
1、2分ほど雑談をしているのを眺めていたクラウが話に割って入る。
「あ! ごめんごめん! で、なんだっけ?」
「だから! 今この森にやばいドラゴンが居て、どうしようかっていう話だろ? アースだってそのドラゴンをどうにかしようってことで忙しいんじゃないのかよ」
「あ、そうだったそうだった! で、アースはこれからどうするの?」
『奴を探し、潰す。 それだけだ。』
「どんな奴なの?」
『黒だ。 単独行動を好み、生態系を潰しまわるような奴だ。』
「うわ~ 悪い奴~ じゃあそいつはアースに任せるよ。 さて、ラミア達はどうしよう」
エルクの予想では1体だけ居るところをクラウにテイムしてもらおうと考えていたのだが、10体も居ると1体だけテイムして後の9体は放置するわけにもいかず、エルクはどうしたものかと頭を悩ませていた。
『我はもう行くぞ、 黒に会いたくなかったら早くここを去ることだな』
「頼んだよ~」
アースが飛び立った後、木の後ろに隠れていたラミア達が近づいてくる。
「話は纏まったのか?」
ラミアを代表してラミアの長がエルクに尋ねるが、エルクの表情はあまり良くなかったことから察していた。
「クラウ~ どうしよう」
エルクにはいい案が浮かばず、いつものようにクラウに相談を持ち掛けていた。
「住む場所を提供してあげればいいんだろ? ならあるじゃん。」
「どこに?」
エルクの話を聞いたクラウはとある場所を思いついていた。
「山だよ。 ガガト山。 あそこならリザードマン達もいるし、安全だろ?」
「おぉ! クラウ! 君は天才だね! じゃあ早速ラミア達と交渉に……」
「交渉?」
クラウはエルクの言葉に引っかかりエルクに聞こうとしたが、エルクのニヤついた顔を見て聞くのを止めた。
「どうじゃ、我らは」
「ここから離れた場所になら安全な場所を見つけられたんだけど、先住民というか先に住んでるのが居るんだけど大丈夫?」
「共存せよと?」
「そういうこと、それでもいいならすぐにでも行けると思うけど」
エルクの言葉を聞き、ラミア達は集まって相談し始める。数分話し合って結論が出たのか、ラミアの長がエルクに歩み寄ってくる。
「結論は出た。 が、聞きたいことがいくつかある」
「はいはい! なんでも聞いて」
「まず、住んでいるものは何者だ?」
「リザードマンだよ。 それに今は僕の従魔もそこにいるかな」
ラミアはリザードマンと聞いて一瞬表情が険しくなったが、すぐ元に戻る。
「次に、そこはどんな場所なんだ?」
「ん~ 山かな。 山にある村みたいなところかな」
「最後なんだが、我らが食えそうな物はあるのか?」
「そこでの主な食べ物は肉だったけど、最近木の実だったり食べれそうな植物だったりを採り始めたよ」
「そうか、ならば大丈夫だ。 後のことは自分達で確かめる」
ラミア達が行く決意を固めた所で、エルクの口角が少し上がる。
「じゃあ早速その場所に向かうけどいいよね?」
「構わん。 みな集まれ!」
「よし、転移!」
ラミア達は一瞬で目の前の光景が森の中から木の建物が複数ある光景に変わったことで驚いている。
「本当に一瞬で……」
「さて、じゃあ皆に挨拶しに行こう!」
エルクが歩き出し、クラウが続く。その後ろに多数のラミア。村に入ればそこら中にリザードマン達が居て、その誰もが驚いている。
歩くこと数分、お目当ての建物の前に到着する。村長の家である。
「お~い! レオル~」
エルクは村長の名前を呼ぶ。
「これはこれはエルク殿ぉっ!?」
レオルが家から出てきてすぐに固まる。目線はエルクではなく後ろのラミアにくぎ付けである。
「いろいろと話したいことがあるんだけど、いいかな?」
「え、えぇ。 中に」
表情が固まったまま、目線も固まったままエルクを中に通す。
エルクが中に入り、クラウ、ラミアも続いて入る。その間もレオルは固まったままであった。
「えぇと、エルク殿。 話というのはそこのラミア種に関することだと思うのですが、この数は一体……」
「話が早くて助かるよ~ 実はさ、ここにラミア達を住まわせてほしいんだよね!」
「……住む……ですか? そこのラミア達は了承されているのでしょうか? しかしなぜここへ? 基本森の中___」
「ちょ、ちょっと大丈夫!?」
レオルは驚きすぎて頭で考えていることが全て口に出ている。
「はっ! 私としたことが!」
「大丈夫?」
「失礼いたしました。 我々としてはエルク殿の頼みとあれば何も問題はありません。 ですが…… 村の者が何というか」
「え? 仲悪いの?」
「いえ、そういうわけではないのですが、今まで別の種族と生活を共にしてこなかったもので、どうなるのか想像がつかないと言いますか」
「なら大丈夫だよ。 慣れてないだけだと思うから、それに何かあったらウルやスラ達に何とかしてもらえばいいし! ね! 住居だってウーゴに任せていいしさ! ね!」
「そ、それで大丈夫でしたら、はい。 では皆に伝えてきます!」
若干強引ではあるもののラミア達がすむことが決定した。レオルはすぐさま村のみんなへ伝えねばならないと外へ飛び出していったが、既にラミアを見ていた者たちが村長の言葉を待っていたのか家の前に集合していた。
「なんだか外が騒がしいね~」
「そりゃそうだろ! 新しい住民だぜ? いろいろあるさ」
村長の家の前ではリザードマン達が騒いでいる。それによってラミア達も気が気でないのかソワソワしている。
「ふぅ。 とりあえず皆には伝えてきました。 あと___」
『エ! ルク! の兄貴ぃ~』
レオルが話始めようとした時、家に入ってくる小さい奴。
「おぉ! スラ! いつも通りサボりか!」
『ちょっと! いつも通りってなんスカ! サボりじゃないッスよ! なんだか騒いでたから見に来たッス! 皆も近くに居るッスよ!』
「みんな来てるの!?」
『エルクの兄貴が近くに来た感覚があったッスから、何かあったんじゃないかって様子見ってとこじゃないッスかね。 ウルの兄貴とかここら辺のじゃ退屈だとか言ってたッス』
「そっか~ 何か考えとくよ。 あ、後さこの村に新しく住むことになったラミア達。 みんなにも伝えておいてね」
『入って来た時に思ったッスけど、ラミアッスか…… かっけぇッスね! 早速言ってくるッス!』
「よろしく~」
スラが猛スピードでを飛び出していく。そしてエルクはラミア達に向き直った。
「とりあえず、場所は確保できたね。」
「何から何まで迷惑をかけたな」
「で! ここから相談なんだけど、この中から誰か1人従魔になる気無い?」
「それは、場所を提供した見返りを求めているのか?」
「そういうわけじゃないけど、ダメかな?」
「……相談させてほしい。 今の我らは数が減って1人1人が重要なんだ。 住処の提供はありがたいが___」
「私が! 私が、行きます!」
エルクとラミアの長の会話を聞いていた1人のラミアが名乗りを挙げる。それは魔眼持ちのラミアだった。
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