第62話 大会準備 計画始動
前回のあらすじ
遅刻→武術大会に参加
仲間外れにされたことを嫉妬したメルを落ち着かせたエルク達はすぐに男子寮へ帰っていた。
「団体戦か。 毎年どんな感じなのか分からないから不利だな」
「そうかな~? クラウなら普通に戦える気がするけどな!」
「エルクならまだしも、俺はお前ほど強くないからな!」
「そんなことないよ! あ、でメンバーはどうするの? あのウルフ君とゴーレムは大丈夫そうだけど、トロールはやめた方がよさそうだけど」
「そこなんだよな。 まず3~5人って言ってたから5人で登録するつもりなんだけど、俺とベルとバオムは登録して、後2体はテイムしてこようかなと思ってるんだよね」
「お! 良いじゃん! 手伝うよ!」
「サンキュ! だけど自分のことはいいのか?」
「多分大丈夫だよ! 学園の中に強い感じの人そんなにいなかったし、準決勝位までいければ十分だし!」
「エルクなら優勝しそうだけどな。 まぁそれならそれでいいけど」
「まずはどんな感じで戦うとか考えてるの?」
エルクはクラウのテイムモンスターを思い出しながら自分ならそのモンスター達を連れてどう戦うかを想像していた。それを踏まえた上でクラウならどう戦うのかが気になっていた。
「あるよ。 今のチームだとバランスが取れてていいんだけど、どこかでミスするとそこからやられそうだから、いろんな場所を補えるようなモンスターをテイムしたいって思ってるんだよね」
「クラウが後ろから支援して、ウルフ君が主に攻撃役で、ゴーレムが守りか~ 確かにちょうどいいね!」
エルクはバランスが良いという言葉を聞いて、瞬時にクラウの戦い方が頭に思い浮かぶ。それなら3人で戦えば良いとも思ったが、思うだけに留めていた。
「そう。 だから、エルクのアラクネとかグリフォンとか前衛から後衛を行き来できるようなモンスターいないかな?」
「ん~」
アラーネのようなモンスターはこの世界でも希少で、グリフは王都周辺にはまずいない。その代わりとなるようなモンスターをエルクは必死に思い出そうとしていた。
「やっぱ、そんな都合のいいモンスターはここら辺にはいないかな」
クラウも考えていたが思い浮かぶのがエルクの従魔のような珍しいモンスターばかりで、なかなか出てこなかった。
「ん~ あ!」
エルクも唸っているし、今回はベルとバオムを鍛えて3人で出ようかと考えを切り替えようとした時。エルクが何か思いついたかのように声を上げる。
「ん? 何かいいモンスターいたのか?」
「いたいた! ちょっと後衛向きなんだけどね」
「どちらかというと後衛向きの方が俺が楽できるから嬉しいんだが、魔法とか使えるやつってそんなにいたか?」
エルクのニヤついた顔に不信感を抱きながらだが、クラウはどんなモンスターなのか気になって仕方がなかった。
「ふっふっふ。 いるんだな~ 魔法めっちゃ使いそうで、接近戦だってなかなかなモンスター! 早速テイムしに行こうよ!」
「種族名位教えろよ~」
「見てからのお楽しみってことで!」
「はぁ。 分かったよ、エルクに任せるけど今日でテイムできるか分からないぞ!」
「クラウなら大丈夫だよ! じゃあ早速準備して行こう! いざ! クラウ陣営強化!」
クラウの新たな仲間をテイムすることと並行して従魔を鍛えるというエルクの提案により、テイムにはクラウの従魔を連れていくことになった。
そして現在従魔小屋からベル達を連れて王都周辺の森に着いたエルク達。
「エルクの言う通りここまで来たけど、ここに魔法を使うようなモンスターいたっけか?」
エルク達がいるのは、エネのマンティスやアラーネ達をテイムしたいつもの森である。だからこそクラウは少し心配になったのだろう。
「いや、ここには多分いないと思うんだよね。 テイムするのはちょっとした洞窟の中とかに居る気がするんだよね」
「じゃあなんでここに来たの?」
「ちょっと待ってね!」
クラウの質問を流し、エルクはクラウが連れてきた従魔を見ていた。
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ベル 従魔 レッサーウルフ
主 :クラウ
レベル:95
HP :530
MP :200
攻撃力:290
守備力:190
素早さ:380
魔法 :無し
能力 威嚇
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バオム 従魔 ウッドゴーレム
主 :クラウ
レベル:22
HP :750
MP :120
攻撃力:300
守備力:300
素早さ:60
魔法 木
能力 木生成 建築 自然治癒
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エルクはクラウの従魔を鑑定してあることに気づく。
「ふむふむ。 やっぱりね!」
「何を見てるんだ?」
「クラウの従魔を鍛えるって言ったよね! ここならこの2匹で戦わせていれば鍛えられるかなって!」
「危険じゃないか? 稀にとんでもないやつ出てくるだろ?」
「大丈夫だよ! ということで、ほら! 自由にやらせてみればいいんだよ!」
「まぁ俺も大丈夫だとは思うけど、ベル、バオム無理せず暴れてこい!」
クラウの命令によってバオムのスピードに合わせながらベル達は森の中へと入っていった。残ったエルク達はというと、ベル達が見えなくなるまで見送っていた。
「あぁ~。 心配だ。 大丈夫と思っていても心配になるよ。 よくエルクはあの村にみんな残してきたな」
「そんなの簡単だよ。 だって僕よりもウル達の方が強いし! いつも心配される側なんだもん!」
「威張れないぞ」
ベル達が見えなくなった頃、ようやくエルク達が動き始めた。今まで動かなかったのはクラウが心配しすぎていたためである。
「じゃあそろそろ行こうか!」
「行こう。時間もそんなに無いしな」
「よし! 転移!」
「え!?」
クラウが覚悟を決めた瞬間にエルクが転移で今までいた森とは全く別の場所に転移していた。全く別の場所だが、なぜか見覚えがあるような感覚をクラウは感じていた。
「エルク。 ここは?」
「え? クラウも僕と一緒に来たことあるよ!」
「来たことがある...!?」
エルクと一緒に一緒に行ったことがあるような洞窟をクラウは数えるくらいしか知らない。その中でも、目の前の山肌に入口があるような洞窟は一つしか知らない。クラウは考えるまでもなくこの場所がどこなのか分かったが、信じられずにいた。
「まさか、ドラゴンの巣!?」
クラウの答えにエルクはニヤつく。
「そのまさかだよね~」
「ここにテイムできるようなモンスターなんかいるのかよ!?」
「居るよ! 多分! じゃあ行くよ!」
エルクの突発的な行動には慣れてきたはずのクラウでも、今回のエルクの行動には驚くことばかりであった。
幸いこの洞窟にはモンスターがほぼ生息しておらず、どんどんと奥に進むことができる。
「ふぅ。 やっと着いた! この先にドラゴン達がいるはず!」
「よく道を覚えてるな。 どうして覚えてられるんだよ」
「一回連れてきてもらったからね! 意外と覚えてるもんだね!」
この洞窟は様々な所が行き止まりになっていて迷っていた所をこの洞窟に住むドラゴンに助けてもらったことがあった。その時にエルクはこの洞窟の構造を感覚的に覚えていた。
「それにしても、ドラゴンに会いにきた理由はなんだよ?」
「多分協力してくれるよ! まぁ行こう!」
そういってエルクは大広間にずかずかと入っていく。その後ろをクラウも続いて入っていくが、入って早々エルクの予想と反することが起きる。
「あれ~?」
「おいエルク。この状況はどうなってるんだ?」
大広間に入って、少し歩いたところで大広間の入口から大きな音が鳴り、入口にドラゴンが降り立った。気性が荒く見え、今にも襲って来そうである。
「おかしいな~」
「どうして! ドラゴンに囲まれてるんだよ!?」
エルク達が後ろに気を取られている間に空中から次々とドラゴンが下りてきて、前後左右をドラゴンに囲まれてしまった。
『誰だお前たちは? どうやってここに侵入してきた?』
入口を塞ぐドラゴンがエルク達に喋りかける。
「僕たちは___」
『何をしている! 引け小僧共!』
エルクが答えようとする前に前後左右を囲むドラゴンよりも2回りも大きく、茶色の鱗を持つドラゴンが空中から囲んでいるドラゴン達を一喝した。
その姿を見て、エルクは笑顔になる。
「アース! また来ちゃった!」
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