第60話 リザードマンの狩り
前回のあらすじ
発展→従魔集合→食料探し
レオルに選ばれたリザードマン達を連れて村の外へと向かったエルク達はのんびりと食材を採取していた。のんびりと採取をしているだけだが、リザードマン達には真剣な空気が漂っていた。
「みんな、どうかしたの?」
そんな様子を気にしてか、エルクがリザードマンの戦士隊の1体に話を振る。
『いや、特に無いのですが、やはり村の外へ出るとなると最近のこともあり、自分を含め皆が気を張っているのだと思います』
エルク達に付いて来ているリザードマン達はリザードマン失踪の時に村に残っていた者たちで、エルク達の強さを目で見たわけではない。そのため他のリザードマンから強かったということを話で聞いただけで、まだ村の外に出るのには少しの不安が残っているようだった。
「なるほど……でもそこまで気にする必要もないよ! 理由はね~あれ!」
エルクが村の上を指差し、その方向をリザードマンも見上げる。
『あ、あれは!』
リザードマンが見たものは、ドラゴンとグリフォンである。
「あの空を飛んでいるのも僕の仲間なんだよね~それにこのライオも居るし! あ、このことは他の皆にも伝えておいてね! よろしく!」
『・・・・・・』
あまりの衝撃に言葉が出ず、ただエルクを見ることしかできないリザードマンを置いてエルクは食材の採取を再開する。
村を出て約1時間程経った頃。リザードマン達にドラゴやグリフの存在が認知され、程よく緊張が解れてきた所で大体の採取は終わった。最初は固まって採取していたのが、今は各自様々な場所で採取をしていてかなりの量が集まった。
「じゃあ、そろそろ帰ろっか!」
『ふむ、そうだな』
「お~い! みんな~帰るよ~!」
エルクが大声で遠くにまで採取に行ったリザードマン達を呼ぶ。
『村へ帰るのか』
『やっとだ~ 結構採ったぞ!』
『それで採ったつもり? まだまだね!』
エルクの呼ぶ声にリザードマン達は各自の成果や採取について話しながら集まって来ていた。
「え~と、今回の目的はいろんな食材を知ることにあります! 肉は美味しいけどそれだけじゃダメだということを覚えて欲しい!」
こうしてエルク達採取組みの仕事は一段落し、帰り支度をし村へ帰ろうとした時、周囲を警戒していたリザードマン戦士隊が一斉にある場所へ走り出していった。
「あ、ちょっと! どこ行くの!?」
いきなりの行動にエルクは驚く。
『ふむ、モンスターの気配……狩りか』
エルクが驚いている間にライオがリザードマン達の行動を読んでいた。その言葉を聞きエルクはあることを思いつく。
「リザードマンの狩りってどんな感じなんだろう! 見てみたいな!」
『ほう、確かに興味深いな』
「じゃ、見に行こっか!」
エルクがライオの背に乗り、そのままライオが猛スピードで走り出す。そしてすぐにリザードマン達の姿が見えてくる。エルクとライオはリザードマンの邪魔をしないようになるべく離れて観察することにした。
リザードマン達はあるモンスターを取り囲んでいた。ウサギによく似たモンスターである。
「あれならすぐに終わっちゃいそうだね~ いや~本気の狩りを見てみたかったな~」
エルクはグリズリー種やボア種のような狩り甲斐のあるモンスターを求めていたため、少しだけテンションが下がってしまうが
『よく見てみるといい、あれはなかなかやるぞ』
「え?」
エルクとライオが話をしている間も未だに戦っている。そして、ライオの言う通りリザードマン達に少しずつ怪我が見え始めてきた。
「って! あれ強いじゃん!!」
ライオに言われてから、やっと鑑定をしたエルクだったが、そのラビット種はエルクの予想と違っていた。
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ソードラビット モンスター
レベル:23
HP :8200
MP :1420
攻撃力:5400
守備力:3170
素早さ:7100
魔法 風
能力 斬撃強化 脚力強化 空蹴り
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ソードラビット、その姿は額の真ん中に刃が飛び出ており、尻尾の先端にも同じような刃が付いている。その刃でリザードマンに傷を負わせている。
「何よりも厄介なのは……空蹴りかな」
このソードラビットが持つ空蹴りはリザードマンを翻弄していた。ラビット種はただでさえ素早く攻撃を当てにくいのだが、空蹴りの能力のせいで、飛び跳ねたところを狙ってもその前に何もない空間を蹴ることによって攻撃を避けることが可能になっている。これは避けるためだけではなく、反撃の際にも使用されている。元々高い素早さに拍車をかけるような能力である。
「これはちょっと厳しいかな?」
『見てみろ、あいつらはまだ諦めておらんようだが』
エルクが心配そうに見つめる中、ライオは冷静に戦闘を見ていた。リザードマン達は傷を負うものの誰も逃げようとせず仲間と連携を取っている。
『良い狩りだ』
「そうなの?」
『あぁ。ああやって仲間が反撃されたら別の仲間が注意を引き、また別の奴が攻撃に参加する。これを続けていればやがて相手は疲れ動きが鈍くなるものだ』
ライオの言う通り、リザードマン達はそれぞれが傷を負っているが深い傷は無く、全員が味方の邪魔をせずに上手く戦っている。
「本当だ、さっきよりもラビットの動きが悪くなってきてる」
『そろそろ決まるぞ』
ライオがそう言った瞬間、遂にリザードマンの槍がソードラビットの足を貫いた。そして次々とリザードマン達の攻撃は当たり、ソードラビットは力尽きていった。
「お~い! みんな~お疲れ~ いや~今の狩り! 良かったよ~___」
エルクは戦い終わったリザードマン達を労いつつ村へと帰っていった。
・・・・・
村についたエルク達は早速村の外で採れる食材をリザードマン達に見せていった。その後村に残っていたクラウやスラ達の報告を聞こうとしたのだが、そろそろ王都に戻らないといけない時間になっていた。
「あ! クラウ!」
「お疲れぃ! いや~大変だったわ~」
「お疲れ~ 早速で悪いんだけどそろそろ王都に帰らなきゃ!」
「了解了解。俺はいつでもいいよ、後で俺が今日やったこと聞いてくれよ!」
エルクとクラウはレオルやドリムに王都へ戻ることを伝えた。
「そうですか、私たちはいつでもエルク殿を待っておりますぞ!」
「うん! また来るね~」
レオルに挨拶を終え、王都へ転移しようとした時
『エルクの兄貴ぃ~ もう帰るんで?』
「そうだよ~ みんなも一緒に... あ!」
エルクは考える、このままスラやアラーネ達をこの村で自由にさせていたらこの村が発展していくのではないかと。
「おい? エルク? どうしたニヤついて?」
「ふっふっふ! スラ達に命じるこの村で自由行動せよ!」
『なにぃ! おいら達は王都に帰らないのか!』
『兄さん、この村をより生活しやすくしておいてってことだよ』
「そういうことである! ではまたね~」
スラ達に命令を投げ、自分たちはそそくさと帰る。エルクらしい身勝手な行動である。
・・・・・
王都へと帰ってきたエルク達はさっそく寮へ向かって歩いていた。
「エルクいいのか? 従魔達にばっか任せて」
クラウはエルクの身勝手さに慣れてきてはいるものの、どこかエルクの従魔達を気遣ってしまう。
「ん~ 従魔小屋で何もしないよりはワイワイやってたほうが楽しいじゃんね! だから多分大丈夫だよ! 皆居るし!」
それに対してエルクは従魔達を信頼しきっているため、いつも通りのマイペースな考えである。
寮へと帰ってきたエルクとクラウは村で様々なことをやってきたことで疲労が溜まったのか、村であったことを話すこともなく眠ってしまった。
翌日、2人共学園に遅刻するのであった。
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