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辺境の村のモンスターテイマー  作者: スルメイカ
第一部・王都学園編
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第58話 村の発展

前回のあらすじ

村到着→宴会→救世主

 リザードマンを救出したエルク達はその日、リザードマンの村に泊まった。


 リザードマンの村で朝を迎えたエルク達は今日もいつも通り予定は何も立てていなかった。


「エルク、起きろ! 朝だぞ!」


「ん~あぁ~」


 クラウが先に起きて、エルクを起こす。


「兄さん、起きてる? 広場に行ってるよ?」


「あぁ、分かった! すぐ行くよ!」


 メル達も先に起きていて、今日の行動をどうするのかを相談するためエルクとクラウを待っている。


「みんなおはよ~」


「おはよう!」


「お~っす」


 エルクとクラウが外へ出ると一番近くに居たのはソウだった。3人は軽く話をしながらメルとエネが先に向かった広場へと歩いて行く。


「おっそ~い!」


「おはようございます!」


 広場に着くと早速メルとエネが走って来る。


「おはよ~。 いや~ごめんごめん。ちょっと眠たくて~」


「おはよう! エルクは昨日頑張ったんだし、まぁ責めないでやってくれよ」


「エ~ネ~」


 エルクとクラウはメルに遅れた理由を説明し、ソウはエネの後ろに回って抱きつき寄りかかっている。


「あれ? ミルラさんは?」


「あ、兄さんならあっちで……」


「ん?」


 広場に着いてからエネの兄のミルラに会っていない。一応寝る時には隣の部屋で寝ていたはずで、起きてみたら既に居なかった。


「おぉ!」


 エネの指差す方向を見て、エルクは笑顔になり走っていく。


「え~と。これは何をしてるの?」


『おぉ! これは救世主! 今この人間の方が我等戦士と組み手をしているところです!』


 エルクの目の前ではリザードマン達が円になって取り囲み、その中で剣が槍を弾く音や、槍が盾を叩く音が響いている。円になっているリザードマン達は全員戦士隊長の下で動く戦士隊の一員であり、組み手を申し込む者でもある。


 その組み手の相手をしているのが、ミルラであった。ミルラとリザードマンの戦いは基本的にミルラの圧勝で終わっているが、ミルラはただ勝つだけでなくリザードマン達を鍛えながら組み手をしていた。言葉は通じないが、動きを見せればそれなりに理解するため、リザードマン達は我先にと組み手を申し込みにいっていた。


「楽しそうだな~」


『救世主様も参加していかれてはどうですか?』


「ん~僕は教えることできないからな~」


 話しかけたリザードマンがエルクも参加して欲しいと言うが、エルクには武器の使い方、戦いのコツなどを教えられるほどの知識は無く、組み手に参加してもただ圧勝するだけで終わってしまうとエルクは考えていた。


『エルクの兄貴ぃ~』


『兄さん! なんでそんなに急ぐの!』


「お、スラ、皆! ちょうどいいところに来たね!」


 エルクが参加するか悩んでいたところにスラ達従魔が揃って広場にやって来た。ウルは村の周りで偵察を行っているため居ないが、ウル以外の従魔は全員いるようだ。


「そうだ! 皆! 楽しいことしない?」


『楽しいことですか?』


『やるッス~!』


「何するのよ!?」


『興味深いですね!』


 ライやラネはエルクの言う楽しいことの内容を聞こうとするが、スラとダクトは即答でOKを出す。


「なぜだかこの村は僕に仕えるというか、なんというかまぁそんな感じらしいから少しでもいいから鍛えてみようかなって思うんだよね! で、その手伝いをして欲しいな~なんて」


『やるッス! やるッス!』


『まぁエルクさんの頼みならやります』


「なんだかめんどくさそうね!」


『私にお任せください!』


 ラネが少し心配だが、他の従魔達はエルクの提案に乗ってくれたので、エルクは大丈夫だろうと踏んで早速村の発展のために動き出した。


 先ず始めにスラ達の役目を簡単に決めていく。スラ、ライは戦闘関連の指導をミルラと一緒にやってもらう。ラネは指先がかなり器用なため、裁縫や料理に関すること。ダクトに関しては、この地域の薬草や解毒薬などの草に関する知識をこの村に広めてもらうようにした。


 エルクにはどのリザードマンが何をやるのかが全く分からないため、とりあえず戦闘指導以外のラネとダクトを連れて村長の家に向かう。


「村長さ~ん! 居る~?」


「おぉ! これはこれはエルク殿。いかがされたかな?」


「ちょっと頼みがあるんだけどいいかな?」


「なんでも申してくだされ、協力させていただきますぞ!」


 村長の家についてからトントン拍子に話が進み、この村の発展をしていくことになる。


「まずは…… そうですな、戦士隊長をここに呼んでいろいろと話をした方が良さそうですな」


「あ、そうだ! 戦士隊長って呼びにくいから名前付けても良い?」


「お名前を頂けるのですかな!? それはそれは大変光栄なことに! さぞ喜ぶと思いますぞ!」


 本当ならエルクはこの村がエルクに協力すると言った時から全てのリザードマンに名前を付けて呼びやすいようにしようかと考えたのだが、エルクは名前を考えるのが下手で良い名前が思い浮かばなかったため、取り合えず戦士隊長だけでも名前を付けようと思っていたのだ。


『村長、お呼びですか?』


『おぉ、エルク殿が頼み事というので、お主にも伝えねばとな』


 戦士隊長が村長の家に着いて早速エルクは戦士隊長の前に立つ。


「いろいろとこの村の発展の為に話をしたいんだけど、その前にちょっといいかな?」


『大丈夫ですが、何でしょうか?』


「君に名前を付けようと思うんだけど良いかな?」


『名前ですか!? そんな光栄なことはありません! 是非お願いします!!』


「村長さんも名前呼びにくかったしついでに、村長はレオル。戦士隊長は…… ドリムだ!」


 エルクが名前を付けた瞬間に村長と戦士隊長の体が眩く光る。


「おぉ! これは! この感覚は!」


『なんだ…… これが名前付与の効果か! 力がみなぎってくる!!』


「あれ~?」


 エルクは目の前の光景に目を疑っていた。それは、名前を付ける前まではエルクと同じ位の背の高さだった村長は戦士隊長と同等の大きさの2メートルを越え、筋骨隆々になっていく。そして、戦士隊長も同様に体格はそのままだが、先程とは比べ物にならない程体格が良くなっていく。


「うわ~ そんなに変わるの!?」


「エルク殿から名前を授かった影響ですな」


 エルクは驚くと同時に若干変化が大きすぎて引いている。そんなエルクを無視して村長改めレオルと戦士隊長改めドリムはこの村の発展の為の作戦を立て始める。


「まずはこの村の発展に必要なものはなんだろうか」


『戦闘に関しては多少できるものは多いですが、戦闘以外のことになるでしょうな』


「ふむ。そうだな、だとすれば戦うことをしないリザードマン達を呼ぶとするか」


「では、早速手配しましょう」


 レオルとドリムはエルクの目の前でどんどんと話を進めていき、エルクの意見を聞かずに行動に移った。この2体は名前を貰ったことにより、以前よりも知識が増え、頭の回転が早くなっていてエルクが何かをしなくてもこの村の発展を勝手に進めれるほどの力を得ている。


「レオル?」


「? どうしました?」


「ドリムもそうだけど、いろいろ変わったね。ははは。」


「ええ、私もドリムもエルク殿のおかげでございます」


 ドリムが戻ってくるまでの間にエルクとレオルがした会話はこれだけである。いつものエルクなら適当な話をして時間を潰すのだが、なぜだかレオルと話しにくくなっていた。


『ただいま戻りました』


「よし。ではやるとするか。指導してくれるのはエルク殿でしょうか」


「あ、いや~僕じゃないんだよね。ちょっと待って、今そこら辺歩いてるから呼ぶよ」


「では家の前に呼んでいただければそのまま次の行動に移れるはずです」


「あ、はい」


 こうしてエルク達はなんとなくで始めようとした村の発展が思っている以上に大変なことになってしまうのはこの後知るのだった。

読んでいただきありがとうございます!


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