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辺境の村のモンスターテイマー  作者: スルメイカ
第一部・王都学園編
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第56話 救世主

前回のあらすじ

VSヒュドラ→スライム対決

 ヒュドラと戦っているエルク達の元に少し離れたところから大きな爆発音が響く


「うわ! 今のライ達だよ! 大丈夫かな!?」


『心配していられる余裕があるのか!?』


「ないッスーー!!」


 スラをライに任せてから少しばかりの時間が過ぎていた。未だにヒュドラに対しての攻略法が見つからず苦戦していた。


「ちょっと! 早くあいつ倒す案出しなさいよ!」


「無理だよ~!」


 一方的に攻撃を加えられるエルク達はすこしずイラつきだしていた。特にラネはこの状況で攻撃する手段があまりにも少なく、ほぼ避けてばかりだった。


『フハハハハ! どうした!? 逃げ回ってばかりではないか!』


 エルク達がイラつく理由のもう一つとして、スラに強化されたヒュドラが挑発してくるのだ。言葉が分かるのはエルクだけだが、叫び声はウルにもラネにも聞こえている。ラネはヒュドラが叫んだ後のエルクの様子を見て、挑発されているとこに気付いて相当頭にきているようだ


 現在のヒュドラに対しての有効な攻撃は魔法である。スラの強化魔法によって、ウルが先程まで噛み千切れていた皮膚が極限まで硬くなっており、エルクの得意な転移からの打撃までもが弾かれてしまう。


 エルクが魔法で応戦するが、エルクやウルは魔法を攻撃魔法として使うことは少なく、基本補助魔法的に使っているため、スラやライの魔法に比べると圧倒的に威力が足りていない。


「あ~! もう! ムカつく!!」


「ラネ! ダメだ!」


 当たれば相当な威力を持った攻撃を一方的にされ、エルク達の攻撃は全然通らない。そんな状況に痺れを切らしたラネが、この状況を変えようとヒュドラの前に立つ。


『フン! 脆弱なアラクネか、ひねり潰してやろう!』


「さっきから何て言ってるか分からないのよ! ばか!」


 ヒュドラは目の前に立ったラネのことを微塵も脅威と認識していない様子である。現在ヒュドラが警戒しているのはウルのみで、エルクのことも脅威だと思っていない。


「能力強化。能力超強化!」


 ヒュドラの前に出たラネが本気を出す


『ハッハッハ! そんなものか!』


「ほんっとうるさい!」


 能力強化、能力超強化は全ての能力を一時的に底上げするアラクネ種に伝わる能力である。その上昇率は個体によって差があるが、使用できるアラクネは例外なく逸材であるため、能力強化で1.5倍。能力超強化で更に2倍跳ね上がる。


 強化されたラネの動きは先程と大きく違っている。強化する前は攻撃が当たらないように全てを躱して繊細な動きを心がけていたが、今はかすってでも反撃を加えようとしている。


「ラネ! あ~! もう! ウル、本気で行くよ!」


『仕方ない、やるとするか!』


 エルクの言葉を無視したラネの大胆な行動によって今までの状況と大きく変わることになる


 ラネがヒュドラの注意を引いている間に、エルクとウルがそれぞれ本気を出す


 エルクはウルと自分に対して守備力を上昇させる強化魔法と自身の能力である従魔強化を使用し、従魔のサポートを強化する。


『眷属召喚』


 ウルは固有能力を発動する。


『ハッハッハ! 痛みはある、だがそれだけだ!!』


「もう! なんなの!」


「ラネ! 下がって!」


『ッフン!』


 ラネの攻撃がヒュドラに届いたがあまり効いていない、そんな攻防が少し続いたが、ウルの準備が整ったところでエルクがラネに下がるように伝える。それと同時にウルとその眷属がいつの間にかヒュドラを囲んでいて全方位から襲い掛かる。


『なんだと!?』


『喰らえ!』


 突然飛び出してきたウル達に驚くヒュドラ、驚いている隙に眷属に対して命令を出す


『……とでもいうと思ったか?』


「な!? ウル! 下がって!!」


 ウルによって全方位から完璧な攻撃が加えられると予想して動いていたエルクだったが、ヒュドラの声を聞きこの状況を理解する。


 ラネはヒュドラの1つの頭と戦っていた。つまり他の5つの頭は何も攻撃をしていなかったのである。その5つの頭はずっとウルの動きを感知していた。いつ飛び込んでくるかと待っていたのだ。


 そして、ついにウルが動き出し全方位から飛び出してくると同時に5つの頭は口の中に溜め込んでいた属性、効果様々なブレスを全方位に向けて放射する。


『クソ!』


「ウル!!」


 ブレスにそのまま突撃するウル。そしてブレスに直撃するウルの姿がエルクとラネの目に映る。


「ちょっと! どうなってるの!?」


 ウルを心配するラネがこの攻撃はエルクの提案だと考え問いかけるが


「失敗だ……」


『フハハハハ! これで邪魔者は消えたな!』


 ブレスを放っていない1つの頭がエルクとラネを次の獲物として目線を外さない。


「ちょっと! エルク!?」


「……(失敗した、失敗した、どうする、どうしよう、ウルは、みんな)」


 ヒュドラと唯一渡り合えていたウルを戦線離脱にさせてしまい、次の行動も決めていなかった。ラネの声に反応する余裕も無く、エルクはヒュドラを見つつ考え込んでしまっている。


『次はお前達だな!』


 ヒュドラがエルク達に近付くために1歩踏み出すが


『アホが、余所見をするな!!』


『な!!』


 ブレスに直撃したはずのウルが踏み出そうとする足をすくい上げ、体勢を崩す


「ウル!」


『ハハ、助けられてしまってな』


 エルクが体制を立て直すためウルの元へ転移しすぐにラネの元に戻る。その際にウルがエルクに少し嬉しそうな雰囲気が伝わる。その理由がエルクにもすぐに分かった


『くらえッス!』


『くらえ!』


 無数の魔法がヒュドラを囲むように展開され、そのままヒュドラに向かって集束する。


「スラ! ライ!」


「もう! 遅いんだから!」


 ついに待っていた者達が到着する。スラとライだ


『すいません! 遅れました!』


『いや~なんだか凄いことになってるッスね~』


 謝るライといつも通りのスラを見て、エルク達は


「誰の所為だよ! スラ!」


『全くだ』


「本当よ! あのとき終わっていれば!!」


『ちょ、ちょっと待つッスよ~』


 いつも通りスラを追い詰めようとする。毎回スラの所為でいろんなことが起きているため、見慣れた光景である。


「グガァオォ!!」


「え?」


 スラ達が来てから、エルクにはヒュドラの声が聞き取れなくなっていた。


「どうしたの?」


 ラネが不思議そうにしているエルクを見て質問する


「いや、さっきからヒュドラの声が聞こえなくなったんだよね」


『あ、多分それおいらッス!』


「え!? 何したの?」


『ライからめちゃくちゃ強化されたって聞いたんで、逆に弱体化させてみたッス!』


「は?」


 エルクはスラの答えを聞いた途端に思考停止したかのように固まってしまう。どうやって強化されたヒュドラを倒すか考えていた計画が全て必要なくなったこと、強化魔法の逆である弱体化魔法を使用したことでスラの恐ろしさを改めて知ったのだ。


 世間的に強化魔法は誰かに教わってから使えるようになるのだが、エルク達の中で1番最初に覚えたのがスラであって、それからライもエルクも教わったのだ。


 そして強化魔法の逆、弱体化魔法は世間的にできないとされていた。重力を増やして動きを遅くするなどの間接的に行動を阻害する効果を持つ魔法は存在しているが、弱体化魔法は強化魔法よりも複雑な仕組みとなっていて且つ危険すぎることから使用できても禁止されるほどの魔法である。


 スラはそんな弱体化魔法をいとも簡単にやってのけてしまった。


「や、やっぱスラって……」


『なんッスか? 何か言いたいことあるなら言ったほうが良いッスよ!』


「あ、後でね。とりあえず、あれどうにかしよっか」


 エルクが指差す先には傷だらけ、ボロボロになっているヒュドラが居た。強化されていないヒュドラならばエルク達が一斉に攻撃すれば終わってしまうようなモンスターだ。


「注意して、いくよ!」


『おッス~!』


 同じ過ちを繰り返さないように忠告し、全員で一斉に攻撃をする。


 ラネがヒュドラの行動を糸で止め斬糸によって縛り上げる、ウルが足を首を切り裂き、エルクが首を1箇所に纏めるように蹴り飛ばし、最後にスラとライによる魔法によって1箇所に纏っている首ごと全てを粉々に爆発させる。


『うぉー! 吹っ飛んだッス!』


「さっきまでの苦労は何だったのよ!」


『終わったか』


「いや~疲れた~」


『兄が迷惑をかけました』


 ヒュドラを一瞬にして葬った後、各自能力を解きリザードマン達の元に移動する。


「エルク! 無事か!?」


「あはは、みんな~! 死ぬかと思ったよ~」


「笑い事じゃないでしょ!」


 リザードマン達の護衛としてエルク達の帰りを待っていたクラウ達が駆け寄る。


「まぁ~何とか倒せたよ! ん?」


 エルクとクラウ達が話しをしている最中にリザードマン達を代表して戦士隊長がエルクの前にきて


『すまない、我が部族を救ってくれたこと、感謝する!』


 戦士隊長の言葉を引き金に、次々にリザードマンが頭を垂れ片膝を地に着ける。その光景を目にしたエルクは驚くが


「いや、まだだよ! ちゃんと村に戻ってからだよ!」


『それも、そうだが。感謝する』


 戦士隊長はエルクの言葉を理解しているはずだが、既に感謝せずにはいられないらしく、他のリザードマンと同じ姿勢をとる。


「いや~まだ村に着いてないんだけどな~」


「いいんじゃないか? 取り敢えずの危険は去ったわけなんだしさ!」


 頭をポリポリと掻きながら困っているところにクラウが声をかける。


「まぁ、そうだね! じゃあ村に帰ろう!」


「おう!」


『今から村に帰りますよ!』


『あぁ。付いて行こう』


 エルク達が村へ向かって歩いている最中、エルクにはリザードマン達の話も聞こえてくる


『救世主だ!』

『あの人間はリザードマンの救世主に違いない!』

『こんなところで救世主に会えるなんて』


 リザードマンの村に着いたときには「救世主」とはリザードマンにとって何なのかエルクの頭から離れなかった

読んでいただきありがとうございます!


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