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辺境の村のモンスターテイマー  作者: スルメイカ
第一部・王都学園編
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第52話 救出

前回のあらすじ

妖精戦闘→グレムリンの処遇

「一緒に行動させてくれないか?」


 グレムリンが意を決したようにエルクに向かって言う。


「ん~ 考えとくよ」


『ほう』


『え!? 良いじゃないッスか!』


『エルクさんなら即答で了承すると思いました』


「どうしちゃったの!? 病気!?」


 エルクの従魔達はほとんどグレムリンを仲間にするものだと思い込んでいたが、そうしないエルクに驚きと衝撃を受けていた。


 グレムリンを殺さないようにというエルクからの無意識の命令に従魔達は従ってグレムリンを守りつつヴァニアと戦っていた。エルクが既にグレムリンを仲間にすることを決めていると思っていたからだ。


「そ、そうか……」


 エルク達に散々悪事を働いた所為か、それとも自分が弱い所為か。自問自答しながらグレムリンは行く当てもなく歩きだそうとしていた。そしてエルク達に背を向け、一歩目を踏み出そうとしたとき


「でも、行く所が無かったら一緒に居ていいからね」


「そ、そうか!」


 エルクはグレムリンがまだ信用できていなかった。この迷いの湿地に入ってから、様々な罠や仕掛けを命令とはいえこのグレムリンがやっていたということを考えると、いつ仲間に被害が出るか分からない。そんな心配をしているため、まだテイムするにはこのグレムリンについての情報が少なかった。


 だからといってこのまま見捨ててしまえば、どこかでまたヴァニアの属する組織に命を狙われてしまうだろう。そう考えると、見捨ててしまうのは可哀相になって、テイムはしないが一緒にいることを許すという結果に落ち着いた。


『まだ許してはおらんぞ?』


 嬉しそうにしているグレムリンに最初に話しかけたのはウルだった。転移してウルから逃げ回っていたことをウルはまだ気にしているようで、素直に仲間として迎えいれる気持ちになっていないようだ。


『よかったッスね~』


『よろしくおねがいします!』


 ウルの次に声を掛けたのがスライム兄弟のスラとライ。スラとライはウルと違って、既に仲間として認め、気を許しているような雰囲気だった。


「ま、いいんじゃない?」


 ラネに関してはグレムリンに何か言うことは無く、エルクに向かって言った。


「じゃあ皆クラウ達の所に戻るよ~」


 グレムリンを捕まえて、一段落がついたところでエルクが言う。


『おーッス!』


 スラが大きく跳ねつつ答える。


 エルクが従魔とグレムリンを一通り確認した後すぐに転移でクラウの近くに居るダクトを目印に跳ぶ


『こ、これは! 特薬草じゃないか!? ふっふっふ、これで強ポーションが作れそうだ。へっへっへ』


「ダクト? 何してるの?」


『ホゥワッ!!』


 薬草採取をしていただろうダクトだが、あきらかに怪しい動きをしていたため、エルクはつい話しかけてしまった。


 ダクトは声を聞いたと同時に木の枝の上に飛び跳ねて乗っていた。その速さはダクトの中で過去最速の反応だっただろう。


『な、なんだ、エルクさんですか~ 驚かさないでくださいよ!』


「あはは、ごめんごめん。その動き、戦いに使えるんじゃない? かなり速かったよ。」


『私は非戦闘員ですから!』


 あまり威張れることではないはずなのにかなり威張っているように見えるダクトを無視して、エルクはクラウ達の所に移動する。スラとライ、グレムリンはダクトと何かやるそうで、エルクについてきたのはウルとラネだけである。


「クラウ~」


「エルク! どこ行ってたんだ!? こっちは大変だったんだぞ!」


「エルク、どこかに行くのなら先に言ってよね!」


「少し前までは命の危機を感じてました」


「いや~大変だったよ~」


 エルクがクラウの名前を呼ぶとクラウが反応するのは当たり前だが、その近くにいたメル達も一斉にエルクに声を掛けてきた。


「ちょ! っちょ!」


 4人から一斉に話しかけられたことで、エルクは処理しきれずに一旦全員の話を止める。そしてクラウからちゃんと話を聞くことになった。


「お前がどこかに行った後すぐにモンスターに囲まれたんだ。その所為でこっちは全員死ぬところだったんだぞ!」


 基本的にはメル達も同じようなことを言おうとしていたのか、「そうそう」や「本当です!」等相槌を入れている。


「え? でも、スラ達が向かったでしょ?」


「確かに助けられたが、いつ来るのか知らなかったからな。どこかでミスしていれば死んでたかもしれないんだぞ!」


「ごめんごめん。次からは誰か護衛を置いてから行くよ」


「そういうことじゃなくてだな」


 クラウの意図が伝わらず、少し間違えて解釈してしまうエルク。確かに護衛を付けてくれるのはありがたいのだが、メルが開口一番に言った通り、何かをやるのなら先に伝えて欲しいということをクラウは言ったのだが、エルクにはちゃんと伝わらなかったようだ。


「まあ、いいか。で、何か進展はあったのか?」


「あったよ! スラー! 連れてきてー!」


 エルクが勝手にどこかへ行き何かをしたということが分かっているため、クラウが本題に話を移す。スラが跳ねて近付いてくる後ろにエルクの従魔に見覚えの無いモンスターがいることに全員が気付いた。


「え~とこの湿地で最初にはぐれた時のこと覚えてる?」


「ああ、覚えてるがどうしたんだ急に?」


「それ、このグレムリンの仕業だから」


「は?」


「「「え!?」」」


 エルクは軽くグレムリンについて説明するが、クラウ達にはとてつもない衝撃が脳内に走っていた。いろいろと聞きたいことがありすぎて、整理ができていない。


「で、このグレムリンがリザードマンの居る場所について知ってるから一緒に行こうと思います!」


「まったく、訳が分からないよ」


 エルクの発言によって、グレムリンにいろいろと聞きたい事があったクラウ達は何も聞けず、エルクに流されてしまうのだった。


「いつもこんななのか?」


 エネの兄であり冒険者のミルラは純粋な質問をメル達女性陣に投げる。


「いつもこんなよ。エルクがいきなり決めて、それに皆が付いて行くの。ここに来たのだって、エルクの提案なのよ」


 女性陣を代表して、メルが答える。


「よく付いて行けるな」


 ミルラの素直な感想にメル達女性陣は大きく頷いていた。


「じゃあ、出発!」


 エルクの掛け声と同時にグレムリンを先頭にしたリザードマン捜索が始まる。捜索といってもリザードマンは1箇所に固まっているため、その場所に着けば即終了となるのだが、エルクが雰囲気大事というので、捜索しているフリを全員でしている。


 エルク達が初めてこの迷いの湿地を進みながら思ったことがある。それは、邪魔が入らなければただ道の長い森と何ら変わらないということだった。


 この迷いの湿地に入ってからというもの、いきなりエルク達は転移され、クラウ達とはぐれてしまって、集合するのもままならない状態から始まったのだ。それが、全て先頭にいるグレムリンの仕業だと思うと少しだけ腹が立つ。


 確かに襲ってくるモンスターはそこそこの数が居る。それでも、エルク達にとっては相手にならない。エネが頑張ってテイムしたバジリスクやクラウ達を手こずらせたジャイアントフロッグ、そのどれもがウルによって一瞬で葬られている。


 そんなこんなで道を進み、後少しでリザードマンの居る場所だという所まで来た


「ここから先はまだ俺も入ったことが無い。あの組織のことだ、何か仕掛けてあるに違いねえ!」


 グレムリンが振り向きエルクに注意を促す。


「皆、ここから慎重に進むよ! 何か不審な点があればすぐに言ってね!」


 エルクがクラウ達に注意を促す。


 グレムリンの言うとおり注意深く歩を進めるエルク達。そしてやっとお目当ての相手が見えてくる。


 リザードマンだ。リザードマンの集団が1箇所に固まって拘束されている。リザードマンの元にすぐさま駆け寄るエルク達。


「意識を失ってるだけだ、大丈夫! スラ、ライ! 回復頼むよ!」


『任せろッスよ!』


『分かりました』


 スラとライの回復魔法によって次々に意識を取り戻していくリザードマン達。意識を取り戻したリザードマン達はエルクや他の面々を見て最初こそ驚いていたが、敵でないことを知り安堵していた。


 そんな安らかな空間に迫る1体の大きな影があった

読んでいただきありがとうございます!


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