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辺境の村のモンスターテイマー  作者: スルメイカ
第一部・王都学園編
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第51話 小競り合い

前回のあらすじ

クラウ達の戦い→グレムリン拘束→再びの妖精

 グレムリンがエルク達に仕掛けてきたモンスターの襲撃や、突然の転移等の悪事を止めるため、エルクの作戦でグレムリンを追い詰めることに成功し捕らえることができた。グレムリンからリザードマンに関する情報を聞き出そうとしているとき、グレムリンに放たれる魔法。


「これはあなたの敵でしょう? なぜ邪魔を?」


 魔法を放ったのは妖精のヴァニアだった。ヴァニアといえば、エネの兄であるミルラを迷いの湿地のモンスターから守っていた良い奴だと思っていたのだが、実際はグレムリンと繋がっており、グレムリンの監視役だった。


『ックハ!』


 グレムリンに向かって放たれた魔法は代わりにウルが受け、体に穴を空けた。それだけで、ヴァニアの魔法の威力が分かる。エルクやグレムリンに魔法が直撃すれば即死するかもしれないほどである。


「ヴァニア!!」


 ヴァニアがグレムリンのことを殺そうとしたことに対してエルクがキレる。そして、ヴァニアに向かって突撃する。


「おっと! あなたにとってこいつは敵ではないのですか!?」


 エルクの突進を軽々と避け言う


「今はお前の方が邪魔だ!」


「それはそれは。残念です」


 エルクがキレているのに対し、ヴァニアは冷静に淡々と話す。その仕草、喋り方がどこか相手を煽っているかのようである。


 言動、行動全てが癪に障るヴァニア。エルクはまだ感情を抑えることができるほど大人になっていない。ついに堪忍袋の緒が切れる。


「ヴァニアァ!!」


「ッ!」


 エルクが先程よりも倍以上の速度でヴァニアに対して接近し、エルクの振りかぶった拳がヴァニアの顔面を捉えて吹き飛ばす。


「なんですか? 今のは!?」


 ヴァニアは予想していなかったエルクの動きに対応できなかった。ヴァニアは知らない、エルクの能力について。エルクが本気を出したときの従魔について。


『フンッ! 不味いな』


「う、腕が!? ウルフ!? 死に損ないが!!」


 ヴァニアの魔法によって体に穴を空けたウルだったが、エルクの超人的な能力向上によって従魔のウルにも影響が出ていた。それは自身の自己治癒速度が尋常ではないほど速くなっていたり、ステータスが倍以上になっていたりである。


 そんな状態のウルについていけるはずもなく、ヴァニアが瞬きをした瞬間に腕が千切れていたのだ。腕を千切ったのはウル。口にヴァニアの腕を咥え、不味いと判ると吐き捨てた。


「ウル、こいつは僕の獲物だよ? 邪魔、しないで?」


『フンッ! 我以外にも、戦いたいと思っている奴がそこらにいるぞ?』


「何を!? ぐはぁっ!」


 エルクとウルがやり取りをしている間に、ヴァニアの居る位置から爆発音が聞こえる。何者かが、ヴァニアに向けて魔法を放ったのだ。


「誰だ!?」


 ヴァニアはエルクとウルだけでも危機的状況に追い込まれているのに、さらに何者かが攻撃を仕掛けられ、精神的にも肉体的にもボロボロになりかけていた。


「スラ、ライ。僕の獲物だよ」


『魔法撃ちたくなったッス!』


『無性に力が湧いてきまして、つい』


「ばかな! お前らはさっきまで向こうに…… まさか!?」


「私、なんだかどこへでも跳べる気がするわ!」


 ヴァニアを囲むように3方向からスラ、ライ、ラネが現れる。クラウ達を助けた後、急激なステータス上昇を感じ取ったスラ達は全速力でエルクの元に向かっていたが、ラネの能力に『転移』が追加されたことによって、一瞬にして跳んできたのだ。


 前方にはエルクとウル、左右にスラとライ、後方にはラネ。包囲されたヴァニアは、心の中で考える。この場を打開する方法、逃げる方法。そして、エルク達の事を。


「(こいつら、異常だな。主に報告しなければ)」


「じゃあ、いくよ。ヴァニア」


「っち!」


 エルクが1歩ずつ前に歩く。近付いてくることに対して聞こえるか聞こえないか分からない程、小さな舌打ちをした。


「っち! くそ!」


 前にも横にも後ろにもまともに動くことができないヴァニアは接近してきたエルクの攻撃を受け流し、直撃を避けていた。現在のエルクはどこか様子がおかしく、動きが会ったころとは別人のように強くなっていて、一撃でも貰うと危険な状態であった。


「ちょこまかと! はっ! はっ!」


 エルクが自分の攻撃が当たらないことにイラつき始め、避けれないだろうとミドルキック、ハイキックを繰り出す。


「(このままではまずいな)」


 エルクの攻撃をなんとか凌ぎつつヴァニアは考える。逃げようと思えばいつでも逃げることができる。そうしないのはグレムリンの存在と、もう少しエルク達の力について知ろうとしているためである。


 グレムリンの存在はヴァニアにとっては危険ではない、寧ろ放っておいても何も問題もない。しかし、ヴァニアの組織にとっては危険な存在である。短い期間、少ない回数ではあるが組織に属し何度か組織の幹部にも会っている。貴重な情報を持つ危険かつ目障りな存在なのである。


 このまま逃げてしまえば、確実にヴァニアの属する組織の情報がエルク達に渡されるだろう。それを阻止するためにグレムリンを消そうとしたのだが、なぜかエルク達はグレムリンを守っている。そのため、先にエルク達のことについて知ろうとしたのだが、予想以上の強さに苦戦していた。


「お、お前らなんで俺なんかを庇う!?」


 呆然としていたグレムリンが意識を持ち直し、一番近くに居るウルに質問する。


『答えてやる義理は無いな』


 グレムリンの質問に対し、ウルは一瞬グレムリンの方を見るが、すぐにエルクとヴァニアの戦闘に目を向けており、グレムリンのことはどうでもいいかのようである。


「庇っているんじゃないわ、あんたを殺す気がエルクには無いからただ守っただけ」


 ウルの代わりに答えたのが、ラネであった。


「殺す気が無いだと?」


「ええ、そうよ」


「何でそんなことが分かる」


「なんとなくよ! なんとなく、伝わってるくるのよ」


「へへ、凄いんだなあんたら」


 グレムリンとラネの会話が途切れた頃、エルクはとうとうヴァニアを捉えていた。ヴァニアは片腕が無い。無い腕の方を狙って様々な攻撃を仕掛けるエルク。それに対して防戦一方のヴァニア。このまま続ければエルクが止めを指して終わるだろうとこの場にいた全員が思っていた。


 しかし


「っち! 仕方ありません、今日はここまでにしておきましょう」


「っは!? 逃がすか!」


 ヴァニアがエルクの攻撃で宙に浮かぶと同時に姿が掻き消える。既にエルクも従魔も普段通りの能力に戻っていて、ヴァニアを取り逃がしてしまった。


「くそ! 逃がした!」


 エルクはヴァニアを逃がしたことを後悔し地面を殴る。


『落ち着けエルク』


『そうッスよ~』


『またどこかで会いますよ』


「そうそう、で、こいつどうするの? 一応こんな感じに縛っといたけど」


 エルクの元に従魔達が駆け寄り、いつも通りの和やかな雰囲気を纏いつつエルクに声を掛けていく。ラネに関してはグレムリンを糸でぐるぐる巻きにした状態で持っていた。


「逃がしたのは僕の詰めが甘かったからだ。ごめん皆、任せてもらったのに」


『気にするな。次会ったときに思う存分暴れてやるさ』


『そうッス、そうッス!』


『とりあえず、このグレムリンはどうするんですか?』


「ヴァニア?だっけ? なんでこいつを狙っていたの?」


 エルクの謝罪に対して従魔達は気にしている者はおらず、次のことに興味を示していた。


「ん~グレムリンに直接聞いてみるのがいいんじゃないかな? どうなの?」


「あいつらが恐れているのは組織に関する情報だと思う」


「組織? 何それ?」


「そのままだ、人間やモンスター、組織以外の生物を敵とみなし邪魔な奴を始末する。有望な人間やモンスターは組織に加わえるかどうかを判断して勧誘を行う。強いか珍しいなら簡単に組織に入れるぞ」


「へぇ~組織ね~ 碌でもないんだろうね」


「碌でもない奴らばっかさ! 現に俺は見捨てられた!」


「まぁ、そんなことはどうでもいいけど、リザードマンの居る場所を教えてよ」


「どうでもいい……か。なぁ、あんた。リザードマンの居る場所を教える代わりといっちゃなんだが、俺をあんたらと一緒に行動させてくれないか?」


 グレムリンの突然の発言にエルクの答えは

投稿かなり遅れて申し訳ありません。

私用でごたごたしておりますので、次も遅れる可能性大です。


読んでいただきありがとうございます!


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