第50話 監視される者
前回のあらすじ
全員合流→作戦開始→監視する者捕らえる
~クラウ達~
クラウ達はモンスターに囲まれていて、苦戦していた。トロール種やジャイアントスネーク種、フロッグ種等様々である。数は多くないが全てのモンスターが大きい。
「真正面に立つな! 回りこみつつ反撃しろ!」
クラウがメルや他の皆に指示を出す。真正面から叩き潰されずに現状を維持できているのは、クラウの指示によるところが大きい。
ソウとミルラは1人で1~2体のモンスターを抑えつつクラウの支持に従うように動き回っている。モンスターの数は多くないが、B級危険地帯に住むモンスターは1体でもかなり強い。動き回ってばかりいるため、仕留めることができずにいた。
エネとメルは自身の従魔と連携して1体ずつ相手にしているが、エネのバジリスクに負担が掛かりすぎていて、かなり押し込まれていた。
「エルク、まだか!?」
戦況はかなり悪くなっていた。メル達の所から崩れだし、手助けに回ったソウのおかげでメル達は助かるが、ミルラ1人でモンスター4体を相手にすることはできず、簡単に前線を突破されてしまう。後方に陣取っていたクラウにもモンスターが接近し、指示を出す余裕が無く連携がばらばらになっていた。
そしてついにその時がやってくる。フロッグの毒がクラウに向かって放たれたがなんとか避けることに成功したクラウだが、避けた先にはジャイアントスネークの開かれた口が待っていた。
クラウはそのままジャイアントスネークの口に吸い込まれるように落ちていく。
「兄さん!?」
メルの慌てる声がクラウに届く、メルがクラウを助けようと動くがエネとソウに止められてしまう。空中で強力な攻撃手段を持っていないクラウが徐々に口に近付いていく。そして
「兄さん!!!」
シュパッ
メルの悲痛な叫び声。それと同時に何かが物凄い速さで通り抜けていった。クラウがスネークの口の中に落ち、そのまま食べられるかと思ったが、スネークの頭が胴体からズレ落ちる。
「間に合ったかな!?」
「ラネちゃん!!」
エルクと共にどこかへと消えたラネがクラウを間一髪のところで救った。
ラネの登場によって、クラウの危機は無くなったがまだメル達はモンスターと混戦の途中である。メル、ソウ、エネ、ミルラはモンスターと対面している。
『ラネさんが一番乗りですか。僕もいきますよ!』
クラウ達を見下ろす位置にライ。そのライからは魔法が雨のようにモンスターを襲った。火の玉が空中から飛んでくると思えば、水の弾丸、風の刃、など様々な属性の魔法がモンスターに降りかかる。
「あれは、エルクの!」
空中からの圧倒的な攻撃によって余裕が生まれたソウがつぶやく。
『おいらも居るッスよ!』
空中から魔法の雨が降るもメル達には何も被害が出ていない。ライの魔法操作も完璧にやっているが、それだけではなかった。スラの存在があったからである。
スラがしていたことはメル達の防衛だ。1人1人に障壁魔法で守りを固めていた。
スラ達が来たことで混戦模様だった戦場が綺麗さっぱりなくなっている。ライの魔法やクラウを救った後のラネ、防衛から攻撃に移ったスラ達の活躍が凄まじい。モンスターの襲撃を退けたクラウ達はエルクが来ることを待っていた。
・・・・・
クラウ達が激戦を繰り広げている中、エルクはこの湿地に来た目的の重要人物を捕らえていた。
「さて、どうしてほしいかな? 妖精さん?」
ヴァニアではない妖精だ。見た目はヴァニアと異なり、ヴァニアの背中の羽は白いが、目の前の妖精は黒い。身長はあまり変わらないが、顔つきが鋭く、手足の爪が長い。
「あんなゴミ共と一緒にするな!」
「ゴミ共? 妖精のこと?」
ウルに抑え付けられながらも未だに戦意喪失しておらず、今にもエルク達を攻撃しようと息巻いている妖精。その妖精から不思議な発言を聞いたエルクは鑑定をする。
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グレムリン 悪魔
レベル:45
HP :3200
MP :15000
攻撃力:2230
守備力:2100
素早さ:7500
魔法 空間 闇 幻惑
能力 魔力強化 魔法範囲拡大 気配遮断 気配察知
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「グレムリンか~ なるほどね」
「お、お前鑑定眼持ちか!?」
エルクが目の前の悪魔、グレムリンの名前出したことで、グレムリンが動揺している。
「幻惑魔法か、なるほど、なるほど能力値は____」
「勝手に見るんじゃねえ!」
『ぎゃあぎゃあとうるさい奴だな』
「うぐっ!!」
エルクがグレムリンの能力やステータスを口に出して言う度にグレムリンの表情が変化する。それと同時にエルクを止めようとウルの拘束の中暴れまわっていたが、ほんの少しウルが拘束を強めたら力をなくしたかのように動かなくなってしまった。
「___後は気配察知か。なかなか強いね。どうりで僕達が悩まされる訳だ。ウルが捕まえられないのも空間魔法で転移するから逃げれるし、僕達を勝手に転移させる方法も多分だけど分かったしね」
「一体何が目的だ!」
「それはこっちが言いたいよ! まったく、面倒な奴だな!」
『四肢を使えなくしてもいいぞ? なかなか捕まらん恨みだ』
「ダメだよ! こいつには聞かなきゃいけないことがたくさんあるんだから」
「くっくっく、今頃お前達の仲間はどうなっているだろうな!」
「クラウ達の事かな? それなら何も心配してないよ。スラ達が向かったし」
「へ?」
グレムリンの思惑はことごとく打ち破られていた。エルクがここにいることで他の従魔も近くに居ると思い込んでいたため、クラウ達を襲わせたモンスターがクラウ達を殺し、その後エルク達も続けてやってしまおうと考えていたが、予想以上にクラウ達が粘り、しかも殺すこともできなかったという。
「え~とじゃあ、リザードマン知ってるよね?」
「リザードマン? お前らに何の関係がある?」
「最近ここの近くのリザードマンの村で頼まれちゃってね」
「っけ! リザードマンが人間に媚を売るとはな!」
「ウル」
『ふんっ!』
「ギャアッ!!??」
ウルがグレムリンの腕に噛み付く。引きちぎりはしないが、腕にはウルの牙と同じ大きさの穴が数箇所空いた。
「リザードマンを返してもらえるかな?」
「はあ……はあ。ここには居ない!」
「どこに居るの?」
「その前に、なぜ俺がリザードマンを攫っていると知っている!?」
「ん~まあいいか。妖精のヴァニアが教えてくれたよ」
「な!?」
ヴァニアの名前を出した途端目の前のグレムリンが凍りついたように、腕の穴の痛みを忘れたかのように驚愕した顔をしている。
「本当にヴァニアにあったのか?」
「そうだよ? なんで?」
「なぜだ!? どうしてだ!?」
ヴァニアの名前を出してからグレムリンの様子がおかしい。いきなり挙動不審になり、呼吸も荒れてきている。ヴァニアという妖精はこのグレムリンにとってどういう存在なのか。なぜこうも取り乱してしまうのかエルクには分からない。
「何? 何? どうしたの?」
「ヴァ、ヴァニアは、ヴァニア様は俺の監視役だ!」
「え? え!?」
「俺に命令を与え、俺の活躍を判断する監視役のはずなんだ! なんで俺を裏切って…… まさか…… もう組織には用無しってことなのか……?」
グレムリンがこの世の最後とでも言うように力なく倒れ込んでしまった。抵抗する気配は全く無く、倒れたまま呆然としている。
「ウルもういいよ」
エルクはその姿を見てウルの拘束を解かせる。
「はぁ、まったく役立たず。ですね!」
「ウル!」
突如現れた者の背後からの攻撃はグレムリン目掛けて放たれる。その攻撃にいち早くウルが動き出し、少し遅れてエルクが指示を出す。グレムリンを守るために。
「これはあなたの敵でしょう? なぜ邪魔を?」
グレムリンを守るために動いたウルはヴァニアの魔法に直撃する。その威力はウルの胴体を貫通する程の破壊力があり、もしグレムリンに当たっていたら粉々に吹き飛んでいただろう。
「それが本性か、ヴァニア!!」
突然現れたヴァニアに対して敵意剥き出しにしたエルクが突撃する
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