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辺境の村のモンスターテイマー  作者: スルメイカ
第一部・王都学園編
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第46話 別行動 女性陣

前回のあらすじ

情報の整理→別行動開始



~メル達~

 エルクと別れ、エネの兄を探すこととなったメル達は行く当ても無く彷徨うように湿地を進んでいた。エルクの従魔であるスラ、ライ、ダクトはそれぞれの護衛に付いている。スラはメルの頭の上に、ライはエネの頭の上、ダクトはソウに抱えられながら周りの警戒をしていた。


『おいらの輝きを見るッス!』


『おぉ! これは興味深い!』


 スラとダクトに関しては警戒していなかった。スラは自分の体の周りに魔法を光を浮かべ操っている。もちろんそれが当たればそれ相応の威力が発揮されるため、非常に危険である。ダクトはスラの魔法操作能力に関して興味を持ち、ずっと観察していた。


『兄さん! ダクト君! 集中してください! 僕達はエルクさんからちゃんと守るように言われてるんですから!』


『ライよ! 甘いな! このおいらが警戒をしていないとでも? おらっ!』


『おぉこれは!』


 ライが再三注意しているが、スラとダクトは遊んでいる。スラに限っては、ライに注意される度に魔法を操作して周囲に飛ばしている。飛ばす度にメル達が構えるのだが、全てスラが適当に飛ばしているだけである。ダクトはソウに抱えられ、目を輝かせながらスラの魔法操作を見ている。


「そんなに頑張らなくていいのよ?」


「いや~エルクの従魔は働き者だね~ 主人と違って」


「ソウちゃん! そんなこと言っちゃダメですよ!」


 メル達はスラ達の言葉が分からないため、魔法を飛ばして警戒してくれていると思っている。警戒してくれていると思っているからか、余裕の雰囲気である。


 そんなことをしていれば警戒も怠るわけで、メル達に急接近してくる存在に気付くものが居なかった。


「グギャアァオ!」


 現れたモンスターは野太い咆哮をあげ、メル達を威嚇する。いち早く反応したのがスラとライであり、モンスターが不意打ちしてこなかったのはスラとライのおかげである。ライがスラに注意したタイミングでモンスターの接近に気付くことができたのだ。接近の知らせを聞いたスラは、とりあえずメル達の周りに障壁魔法を張り、攻撃に備えた。


「何!?」


「メルちゃん後ろ!」


「くっいつの間に!」


 真後ろで、モンスターの咆哮が聞こえ振り向くメル達。そこにいたのは、バジリスク種である。石化、毒、麻痺、幻惑、混乱等様々な状態異常系の攻撃方法を持ち、耐久力に優れたモンスターである。このモンスターの厄介な点は状態異常の攻撃が魔法でもなく、直接攻撃でもないことだ。ある者は目を見開くことで状態異常にしたり、周囲の空気に自身の胞子を撒き感染させたりと状態異常攻撃を防ぐ方法が難しい。


 メル達の前に現れたバジリスクの攻撃は既に決まっていた。


「か……体が……動かな……い」


「な……んで」


「メル! エネ!」


 振り向くと同時にメルとエネの動きが止まる。バジリスクの麻痺によるものだ。目を見たわけでも、空気感染でもなく、音による攻撃であった。


 ソウに関してはダクトが頭によじ登っている途中だったことで、耳に蓋がされていて麻痺に至るほどの咆哮は聞こえていなかった。


『まずいッス! 強いッス!』


『兄さんが遊んでるから接近に気付かないんですよ! 気付いていれば魔法で遠くから仕留められたかもしれないのに!』


『私……麻痺……しました』


『ダクトぉぉぉ!』


『兄さん! 集中してください! 来ますよ!』


 スラとライに麻痺が効かなかったのは、単純に強さが離れているからである。そのことを直感的に分かるスラとライはいつものようにバジリスクと対面する。


「グギャ、ア……」


『やらせないッスよ』


 スラがバジリスクの前まで飛んでいき、障壁魔法でバジリスクの口を封じる。ライが周りの警戒をしながらバジリスクに対して魔法を放つ。


「エネ! メル! 大丈夫!?」


 ソウはスラ達にバジリスクを任せ、メル達の守りに入る。


「大丈……夫。だんだんと痺れが、直ってきたみたい」


「ふぅ~良かった~ 麻痺毒とかじゃ無さそう?」


「毒は無いと思う、ただの麻痺ね」


 麻痺がほぼ治ったメルとエネは改めてバジリスクに対面するが、もう既にバジリスクはスラとライによって拘束されていた。


『こいつどうするッス?』


『エルクさんが欲しそうなモンスターですよ。強いし、なにより厄介ですし。でも、エルクさんに伝える方法が無いですね』


 バジリスクを殺さずにスラの障壁魔法で周りを囲んで動けなくしていた。エルクがこの場にいれば、エルクに指示を仰ぎ、どうするかを決めていたが、現在は居ないため悩んでいる状況であった。


「どうしたのかしら?」


「メルちゃん! 危険だよ!」


 バジリスクに止めを指さないスラとライを見て、メル達が恐る恐る近付く。ちょうどバジリスクの目の前まで来たところで、スラが空中から降りてぴょんぴょんと跳ね始める。


『どうするか決めて欲しいッス!』


『兄さん。言葉通じないですから』


『あ』


 メル達は考えていた。いつもならエルクが従魔達の行動の意味を言葉を通じて訳してくれるため、どうして欲しいのかが分かったが、今はエルクが居ない。そのため、スラの行動の意味を考えていた。


「エネちゃん、これってもしかしたら、テイムしろって言っているのかも!」


「よ、横取りだって思われないかな?」


「そうなったらエルクに返せばいいんじゃない? よく知らないけど、従魔譲渡っていうのがあるんでしょ?」


「そうよエネちゃん!」


「そ、そうね! 仲間は増やした方がいいものね!」


 スラの行動をテイムしろと捉えたメル達だが、一応確認を取る。


「え~とスラちゃん? テイムする、でいいのよね?」


「ライさん、バジリスク貰いますね」


 確認を取るメル達だが、


『何て言ってるッス?』


『分からないです』


『まあ、何でもいいッスね!』


 スラ達に人語は伝わらない。伝わらないが、何かをしようとしていることが分かるため、任せようという意味でバジリスクの真正面を退く。


「おぉ! 通じたみたい!」


「なんだか、感動しますね」


 バジリスクの真正面を空けてくれたことにメル達の意思が伝わったと勘違いするが、目的は一致しているため結果良かったのである。この勘違いによって、メルとエネには新たな能力が生まれるのだが、それにメル達が気付くのはまだ先のことである。


「エネちゃんがテイムする? 私にはウルフのファンとスライムのスーちゃんの2匹いるからさ、エネちゃんはまだマンティス1匹でしょ? どうかな?」


「え、私ですか!? できるかな」


「エネ~頑張れ~」


 メルがバジリスクテイムをエネに譲り、エネがバジリスクをテイムすることになった。ソウが気だるそうな声でエネに声援を送る。


「いきます! せい! せい! はっ!」


 エネが使えるテイム魔法は鎖型のみであり、非常にテイム成功確立が低い。エネ達は気付いていないが、マンティスをテイムできたのはエルクの手助けがあったからである。


 バジリスクはマンティス種よりもテイム難度が高い。しかもマンティスをテイムしたときはレッサー系であり、目の前のバジリスクはレッサーではなく通常である。鎖型テイム魔法の成功確立は10%も無いだろう。


「どう?」


「ダメです。もう一回いきます! せい! せい____」


 鎖型テイム魔法の一番厄介な点は、テイムするモンスターを傷つけてしまうことだろう。


 包囲型の場合はその中に閉じ込めて動きを封じ、モンスターの意思によってテイム成功か失敗かが決まるため、MPが尽きない限り難度でも挑戦することができる。


 鎖型はその名の通り鎖で縛って動きを封じるのだが、テイムされるモンスターの肉体に鎖が絡みつきある程度まで縛り上げないと動きを封じることができない。その影響で鎖型は何度も挑戦することができないのだ。


「こうして! こうやって! こう!」


 5度の失敗を経てこれで6度目である。バジリスクの体にはスラ達に与えられた魔法ではなく、エネの鎖魔法によってできた傷の方が目立つようになっていた。エネのテイム魔法もそろそろ限界を迎えようとしていたが、ついに


「あ! やった! 成功した! テイムできた!」


「エネちゃん!」


「エネ~すごいぞ~」


 ぼろぼろになったバジリスクを置いて、先に喜びを分かち合うメル達。


『喜ぶのは良いッスけど、先にこっちじゃないッスか?』


『まあまあ、とりあえず回復しましょう』


 メル達が喜んでいる間にスラ達がバジリスクを回復させる。なかなかに傷付いていたが、スラ達の回復魔法によって治っていった。


『これで大丈夫ッスね』


『じゃあ、また探索の続きですか。今度は遊んでないでちゃんと警戒してくださいよ!』


『分かってるッスよ! ところでダクトは?』


『あれ? そういえば』


 バジリスクの出現からテイムまでの間、ダクトは何も目立つことはしていなかったため、今まで忘れられていたのだった。


『麻……痺……して……ます……』


 護衛の任についてはいるがメル達を含め1番戦闘力が無いのはダクトである。その所為でバジリスクの麻痺がメル達よりも長く続いていたのだった。


『あ、忘れてたッス』


『治しますよ』


『あ、ありがたいです』


 これでバジリスク出現に関する問題は解決し、探索を進めようとしたところで、思わぬ来客があった。


「っと、おっす!」


「転移魔法ってのは凄いな」


「俺も初めて体験させてもらったよ」


 そこに現れたのは


「「兄さん!?」」

読んでいただきありがとうございます!


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