第38話 仕返し
前回のあらすじ
悪魔と戦闘→アラクネ、グリフ落ちる→うっさい、ハゲ
「反撃といこうか!」
『まずはどうする?』
「任せて! ウルはアラーネと交代してシャドーデーモンを潰して欲しい!」
『了解だ』
ウルのおかげで冷静になったエルクは作戦を考えていた。ウルに対しては任せてと言ったが、まだこの状況を打開できるような作戦を考え出せていなかった。
エルクはとりあえず今の状況を整理した。
・悪魔ギルティはエルクによる攻撃の回復中
・シャドーデーモンの数は約20体
・グリフとアラクネ(妹)が操られている
・シャドーデーモンの相手をしているのが、ウル、ドラゴ、アラーネ
・スラがアラクネ、ライとライオがグリフの対処をしている
・ダクトとウーゴはクラウ達従魔の前に居る
・まともに戦えるのはエルク、ウル、ドラゴ、アラーネのみ
「ふぅ~」
エルクはこの状況の打開策を練っていた。まず始めにしなければならないことはグリフとアラクネを元に戻すことだろう。ギルティを倒せれば手っ取り早いが、シャドーデーモンの守りや、奴本来の能力によって致命傷を与えるには少々難しい。
グリフとアラクネを元に戻すことができれば、スラ達が戦闘に復帰することができる。そうなれば、次にすべきことの幅が広がるだろうと考えエルクはすぐに行動する。
「アラーネ!」
「何かしら~?」
「妹とグリフの両方を糸で拘束して欲しい! よろしく!」
「あら、急いでるのね」
エルクはアラーネが適役と考え、アラーネにグリフとアラクネの対処を任せる。対処といっても、糸で拘束するだけだ。拘束するまでの時間、アラーネの抜けた穴を埋めるためにエルクはシャドーデーモンと対面する。
『どうなった?』
「まずはできることをやるよ!」
『頼もしいのだ!』
「ははは、頼りにしてるよ。ウル、ドラゴ!」
エルク、ウル、ドラゴはシャドーデーモンの殲滅に取り掛かる。先ほどまでは、ウルとドラゴ、アラーネがシャドーデーモンと戦っており、手こずっていた。それもそのはずで、シャドーデーモンは物理抵抗が高く、直接攻撃が効き難い特性を持っている。ウルの風魔法とドラゴのブレスを必要以上に避けていたため、数が減っていなかった。エルクが来てからは、エルクの土魔法やウルの風魔法、ウルのブレスを多めに使っていた。
ドラゴは使える魔法によってブレスの種類を変更することができ、今は光系統のブレスを放っている。このブレスは威力こそ低いが尋常じゃないほどのスピードがあり、ブレスを放った瞬間に当たっているようなものである。
ウルの風魔法は体に纏うだけでなく、ウルの周囲3メートルの範囲まで切り刻むことができる。ウルに近づけば近づくほど、切り刻まれる回数が増えていくため、ウルが猛スピードで接近し噛み付いてしまえば大抵のモンスターは死に繋がる。
エルクは土魔法で腕や脚を固め、そのまま殴るかと思いきや、殴る瞬間に固めていた魔法を爆発的に周囲に飛び散らせ、弾丸のように放つ。シャドーデーモンの真後ろに転移した瞬間にショットガンを至近距離から打たれれば体に穴が空く。そして空いた穴から徐々に石化していく。
「できたわよ~」
シャドーデーモンを半数に減らし、次の標的を攻撃しようとしたところでアラーネに頼んだ拘束が終わる。どうも操られているときは本来の力は出せないようで、普段よりも弱くなっていた。それでもここまで時間が掛かったのは、なるべく傷付けずに戦わなければならなかったからである。
「ナイス! 交代!」
「は~い」
エルクはシャドーデーモンの相手をアラーネと交代し、拘束されて身動きの取れないグリフとアラクネの元に跳ぶ。
「回復魔法はどう?」
『だめッスね~』
『いろんな回復魔法を掛けたのですが、効き目は…… やはり、あいつを倒すしかないのでしょうか』
「ちょっと任せて! スラとライはあの黒いのやっつけてきてよ! 魔法に弱いみたいだからさ!」
『ふふふ、魔法なら任せるッスー!』
『兄さん! では任せます!』
スラとライがウル達の援護に行き、エルクは目の前のグリフとアラクネの対応をする。スラとライが言うには、回復魔法は効果が無いらしい。スラ達に治せなくてエルクに治すことができるのか、そもそもエルクには回復魔法が無い。ではどうするのか。
「操られている…… なら奪い返せばいいだけだろ!」
エルクは両手をグリフとアラクネに向ける。そしてその手から白いビームが放たれ、グリフとアラクネの体を包み込んでいく。白い光に包まれたグリフとアラクネとの繋がりがはっきりとしたものになっていく。そして光が消え、グリフとアラクネが姿を現す。
『い、今まで何を…… それにこの糸は…… ふんっ!』
「んー!」
「アラーネ! 糸を解いて!」
「自力でいけると思うわ~」
アラーネはエルクが何とかしてくれることを見越して、拘束する糸の強度を抑えていた。そのおかげか本来の力が出せたからかは不明だが、グリフは自力で糸を切って拘束を解いた。アラクネは自力では抜け出せないようだ。抜け出せる程まだ強くないらしい。
「今日は名前を付けに来たんだよ。 遅くなったけど、君の名はラネだ」
「あ……」
アラクネに名前を付けた途端に全身が一瞬光る。そして
「こんな糸!」
ラネは自力で糸を千切り拘束を解く。グリフもラネもギルティに刺された刺し傷は綺麗さっぱり消えていた。これで、エルク陣営の準備は整った。新たな戦力も増え、後はやられた分を倍にして返すだけである。
『エルクの兄貴ぃ~ こっちは終わったッスよ!』
「了解! グリフありがとうね。ラネこれからよろしくね! じゃあ行こうか!」
「クックック、まさかこんなにも早くやられてしまうとは! 楽しませてくれるじゃありませんか!」
最初に会った時と違い、エルク達は誰も油断していない。目の前の悪魔から目を放せば、転移で真後ろに回られるからだ。
「まだ笑っていられるのかい?」
「ええ、もちろんですよ! こんな楽しいのになぜ笑っていないのですか!?」
「その面、後悔させてやる!」
ギルティを囲むようにウル達は配置につき、エルクが飛び出すのとほぼ同時に攻撃をしかける。中央に位置している悪魔は未だに不気味な笑みを止めようとしない。
「消えろー!!」
エルクは地面から串刺すように土魔法を放ち、エルク自信は悪魔の真上に転移し、弾丸を放つ。ウルがドラゴがスラがライが全員が、あらゆる攻撃を悪魔に向かって放つ。
シャドーデーモンを倒し終えた頃にはエルクが与えた傷は全て回復していたが、流石にこの攻撃を食らってしまえば、何も残らず絶命するだけであった。全ての攻撃が悪魔の居た位置で交わり、爆発する。
エルク「お、終わった~」
爆発の影響で大分煙っぽくなってしまったが、悪魔の姿は炭も残らず消えていた。安堵したのも束の間。小屋の上には2体の影。
「何をしている」
「何かと思って来てみれば、何を遊んでいるの?」
エルク「誰だ!」
そこに立っていたのは、ギルティと同じく悪魔の男女であった。それもギルティに引けを取らないほどの強者である。
男の姿は、全体的に筋骨隆々としていて、角が額の真ん中に1本。背中の翼は大きくはないが、尻尾が長い。鬼を思わせるような雰囲気を纏っている。
女の姿は、露出度が高く、角が2本。背中の翼はギルティや隣の男よりも大きく、尻尾が細長い。いかにも遠距離からの魔法タイプに見える。
「人間に従魔か」
「あら? かなり強そうじゃない」
「クックック! 強そう、ではなく! 強いのですよ!」
最後に喋った者の方向を振り向く、その位置は従魔小屋の入り口であった。その位置にいたのは、消滅したかに思われたギルティそのものである。
「まだ生きてたのか」
「流石の私でも、背筋が冷やりとしましたよ」
「それにしては、嬉しそうだな!!」
倒したと思った悪魔が生きており、さらにその仲間らしき者が2体。ギルティ1体だけでも、苦戦したが、それが3体居るとなると、危険性がかなり増す。戦わなければならないが、この状況は包囲されているようなもので、恐怖によって体が思うように動かなくなってしまう。
そんな状況の中
「ほぉ~ほっほ! こんなところに集まっておったのか!」
陽気な歳のいった声が従魔小屋に入ってくる。
ラネのステータス
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ラネ 従魔 アラクネ
主 :エルク
レベル:1
HP :16000
MP :7500
攻撃力:13000
守備力:8000
素早さ:14000
魔法 木
能力 糸 粘着糸 切断糸 弾力糸 能力強化 能力超強化 気配遮断 料理 裁縫
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