第37話 悪魔の能力
前回のあらすじ
事件の噂→メル達からの警告→集う影→悪魔登場
「さあ! 私を楽しませてください!」
エルクたちの前に居るのは、この世界で恐れられている悪魔であった。その悪魔はエルクとウル達従魔を前にしても、不気味な笑みを崩すことは無く、今も笑っている。
『エルク、何だあいつは?』
『分からない…… とにかく、皆気をつけて!』
悪魔の特性は詳しくは知られていない。そのため、エルクは慎重に対処しようと従魔達にだけ念話をし、あの悪魔のステータスや、能力を伝える。魔法と能力に関してはエルクの鑑定で見ても「???」だけで何も見ることができなかった。一度だけ、同じことが前にもあった。その時は気にもしていなかったが、敵意を剥き出しにしている相手を前に能力が見えないのはそれだけ危険ということになる。
『攻めるぞ~!!』
『兄さん!? もう! いきます!』
エルクの忠告を聞いていたはずのスラが悪魔に向かって魔法を放つ。それに続いてライも魔法を放つ。2匹のスライムから放たれた魔法は直撃する。
「クックック! なかなか良い!」
魔法に自信のあるスライム2匹の放つ魔法が直撃していながら、両手を広げ、笑っている。
悪魔に関することで分かっていることはいくつかある。
1つは、エルクの鑑定が効かないという事から、エルクとの実力差が相当離れているか、鑑定を妨害するような能力を持っているかである。
2つ目は、魔法に対してかなり強い耐性を持っているということだろう。エルク達の中でも1,2を争うスラ達の魔法が直撃したにも関わらず、笑っていられるというのはドラゴでもできないことである。
3つ目に、自然回復能力が異常に高い。スラとライの放った魔法を受けても、笑っていられるだけでも異常な耐久力だが、傷が一切無いのだ。直撃してもダメージが無いなんてことはありえない。この結果から分かるのは、回復魔法を自分に掛けたか、自然に回復したかの2択だが、魔法を使ったような素振りは見ていないため、自然回復能力が高いことが分かる。
最後に、この悪魔は戦闘狂の変態だということだ。特に意味は無いのだが、こいつは危険である。
『アラーネ! 動きを止めれる!?』
『分からないわ~ やってみるわね~』
アラーネが小屋の中を駆け回り、悪魔の体に糸を巻きつけていく。
「まだまだ足りませんよ! もっとです! もっとですよ!」
『あらら~ ダメみたいね~』
アラーネの巻きつけた糸を簡単に千切り、拘束が解かれるが、糸を千切った瞬間にドラゴのブレスが炸裂する。ドラゴのブレスが当たれば流石に無傷ではいられるはずもないが、ブレスが当たることは無かった。直撃の瞬間、悪魔の姿が消えたのだ。まるで、エルクが転移するかのように。
『皆! 気をつけて! まだ近くに___』
「___まずは1体」
「あ!」
悪魔が姿を現したのは、アラクネ(妹)の真後ろであった。そして悪魔は、アラクネに尻尾の先の棘で胴体を突き刺した。
「おねえ……ちゃ…ん……」
「ククク、次は誰にしましょうかね! おっと!」
悪魔は笑い、悪魔の攻撃を受けたアラクネはそのまま地面に倒れてしまう。アラクネが地面に倒れると同時にウルが悪魔に対して突撃する。ウルの突撃を軽々と避け、空中で1回転し、着地する。その間にウルがアラクネをスラの前まで運んでくる。
「スラ! 早く回復を!」
『分かってるッスよ!』
『僕も手伝います!』
「おい、ギルティとやら…… やってくれたな!」
「おや? 私のことを知っているので? いや……そういう能力ですか」
エルクは自分の従魔がやられたことにより、一瞬のうちに堪忍袋の緒が切れる。そのエルクの姿を見てもなおニヤついた顔を崩すことはなく、むしろ楽しんでいるかのようであった。
「怒っているのですか? ククク、そんなに大事ならずっと張り付いて守っていればよかったのですよ。まあ、そんなことをしても結局死ぬのですけどね!」
『!?』
突然ウル達全従魔が何かに気づく。
「許さない。殺す」
「殺すですか。できるものならやッ!?」
ギルティが喋っている途中でエルクの姿が消える。ギルティが周りを見渡したが、気付いた時には頭を蹴り飛ばされ、思いっきり小屋の壁にぶつかる。エルクはこれで終わらず、さらに攻撃を加える。顔面を蹴り、腹を殴り、腕を折り、足を折る。人間に対して同じことをしたのならば、確実にこの後の人生に後遺症を残しただろう。しかし、相手は人間ではなく、悪魔である。エルクが止めを指そうと放った喉を潰す勢いのストレートパンチは従魔小屋の壁を破壊するだけになった。
「油断しましたね…… あなたのような人間にもこのようなことができたのですね!」
ギルティは空中を飛んでいた。ギルティはエルクの攻撃を転移して避け、空中でその攻撃を見ていた。
「あなたに免じて少しだけ力を出しましょう! 出でよ、シャドーデーモン」
ギルティの掛け声によって、何体もの影が飛び出してくる。それだけに終わらず
『な、何するッスか!?』
スラに対して攻撃をする者がいた。ギルティではなく、シャドーデーモンでもない。その正体は
「お…ねえ…ちゃ……ん……」
アラクネだ。スラ達の回復魔法によって一命を取り留めたアラクネは気絶して倒れたが、いきなり立ち上がり、スラを攻撃したのだ。
「ククク、やっとですか」
「お前… 何をした!?」
こんなことを本人のアラクネがするはずも無い、粗方誰かの仕業だろうが、犯人は決まっているようなものだ。
「なに、ちょっとだけ幻惑作用のある毒を体内に流しただけのことですよ」
「糞が!」
『落ち着け!』
『危ないのだ!』
エルクがギルティの挑発に乗り、一瞬のうちにギルティの後ろへ転移する。しかし、そこに待っていたのは、先程ギルティが召喚した、シャドーデーモンであった。ギルティはエルクが転移して跳んでくることを計算して、挑発していた。その罠にまんまと引っ掛かってしまうエルク。空中ではまともに動くことができず、転移して逃げるしかないが、シャドーデーモンの攻撃の方が早くエルクに届きそうだった。
「くっ!」
『頭を…冷や……して……』
「ククク、2体目」
空中でシャドーデーモンの攻撃を受けきる気で防御体勢をとったエルクは思わぬ所から攻撃を受け、小屋の壁まで吹っ飛ぶ。エルクを突き飛ばしたのはグリフであった。グリフはこの戦場を冷静に見ていたが、エルクが挑発に乗ると分かった瞬間に飛び立ち、エルクを助けるために行動していた。そのおかげでエルクは助かったが、グリフは、シャドーデーモンに切りつけられギルティの尻尾に刺されていた。
『エルク!』
『落ち着くッス! おいらッスよ!』
『邪魔なのだ!』
『ッチ!』
『兄さん離れて!』
『じっとしていてくれるかしら~?』
ウルがエルクの元に駆け寄り、スラとライがアラクネの暴走を止め、ドラゴとライオとアラーネがシャドーデーモンと戦っている。ダクトとウーゴはクラウ達の従魔の防衛にあたっている。
「もっと私を楽しませてくださいよ! まだまだ全然足りませんよ!!」
「クソッ! クソッ!」
『落ち着け! 今は後悔している場合ではない! このままではグリフに助けられた意味が無くなるぞ!』
「どうしたらいいんだよ! なんだこの状況!」
『エルク、お前が今やるべきことは何だ? 敵の大将を自ら討ち取ることか? 違うだろ、何の為に我等従魔が居るのだ? よく考えろ』
「ウル……」
『落ち着いたか? ならやることは分かっているだろう! さあ、やられた分の仕返しを始めるぞ』
「まだ動かないのですか? このグリフォンも私の手駒となって動き始めますよ?」
「うっさい! ハゲ!」
「ハゲ!?」
「ウル、ありがとう。まだ誰も死んでないもんね、よし! 反撃開始といこうか!」
シャドーデーモンのステータス
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シャドーデーモン 悪魔
レベル:50
HP :30000 +-5000(個体差)
MP :20000 +-3000
攻撃力:25000 +-3000
守備力:23000 +-3000
素早さ:25000 +-3000
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