第34話 アラクネ騒動終結
前回のあらすじ
王都騎士団襲撃→アラクネ登場→アラクネVS→アラクネテイム
エルクがアラクネを1体テイムした瞬間、もう1体のアラクネが急変した。
「お姉ちゃんを返せーー!」
そう叫び、アラクネをテイムしたエルクに向かって跳びはねてくる。ウルと戦っていたときよりもサイズが大きくなっていて、スピードも段違いに上がっていた。突然の行動によりまともに反応できた者はウルだけしかいなかったが、ウルはアラクネを抑えつけていたことによって跳ね上がったと同時にエルク達とは逆の方向に跳ばされていた。アラクネとエルクの間には何も無く、このままではエルクにアラクネの攻撃が直撃する。
「ッ!!」
エルクとの距離数メートル。そのとき、アラクネの目の前に立ち塞がる者が居た。
「あらら~ いけないわね~」
アラクネだ。エルクがテイムした方のアラクネがエルクに向かう攻撃を受け止め、弾き返した。
「人間! お姉ちゃんに何をした!!」
「落ち着きなさいよ~ 私はこの通り無事よ~?」
「名を授ける! アラーネ。それが君の名前だ!」
エルクがアラクネにアラーネという名前を与える。その瞬間にアラクネの体は光に包まれる。
「人間! またお姉ちゃんに!」
「あははっ! これは凄いわね!」
『ほう』
アラーネと名づけられたアラクネを包んでいた光が消え、アラクネの姿が現れる。先程から恐ろしい程の圧力があったアラクネが、アラーネという名を貰ってからさらに迫力が増す。見た目は変わらないが、内包する能力は先程と比べ物にならないだろう。
「来なさい、遊んであげるわ」
「お姉ちゃん…… 今助けてあげるからね!」
アラクネは立ち上がり、またエルクに向かって突撃する。しかし、エルクの前に立ち塞がるアラーネが近づくこと許さない。アラクネが森の木々を上手く使い、回り込もうとしてもアラーネが先回りしている。様々な方法でエルクとの距離を詰めようとするが、全てアラーネにばれているかのように遊ばれている。遊ばれた後、アラクネはウルに抑えつけられた場所にまた抑えつけられる。
「あらら~? もうお終いかしら?」
「な…… 何で!? お姉ちゃんでも私の『能力向上』にはついてこれないはずなのに!」
『力の差は分かったであろう。諦めよ』
アラーネが戦っている間にウルが戻ってきていた。実際にはすぐに戻ってくることができたが、アラーネの力を判断し、アラクネを任せたのだった。
「誰が!」
アラーネ「あなたねぇ…… 今あなたに対して圧倒したのは私1人よ? それに、なんとなく分かっていると思うけど、そこにいるウルフさんは私よりも強いのよ? 私とウルフさんであなたを相手にしていたらどうなるでしょうね~」
「どうしちゃったの…… お姉ちゃん……」
「ねえ、君!」
「話しかけるな人間!」
アラクネは強気で反抗しようとしているが、アラーネの蜘蛛糸によって体中を糸に巻かれてしまい、身動きができなくなっていた。
「アラーネと一緒に居たいんでしょ? なら、君も僕達と一緒に行こうよ!」
「どういう意味……?」
「何を言っているんだ!」
「アラクネだぞ! 何をするか分からんぞ!?」
「このアラクネは僕が倒しました。だから倒した僕が好きにしてもいいですよね!」
「何をするの!?」
「お姉ちゃんと一緒のことだよ!」
エルクは無言のままアラクネに対して手のひらを向ける。そして、手から白いビームが放たれる。そのビームはアラクネを包み込んでいく。
「そ、それは…… テイム魔法! アラクネを2体もだと……!?」
「どうなっていやがる……」
「おいエルク! いいのか?」
「この子はアラーネと一緒に居たいんでしょ? ならテイムしたっていいじゃない!」
「それはそうだろうけど、そのアラクネが裏切らないとも限らないぞ」
「あ~ それもそうだね~ まいったな、もうテイムしちゃった!」
アラクネを包んでいた光が消え、エルクとウル達従魔にはアラクネとの繋がりを感じるようになった。これにより、テイムが成功していることが分かる。
「な、何をしたの!?」
「君は僕の従魔になった。これからは一緒に行動してもらうよ! お姉ちゃんとも一緒に居ていいからさ!」
「全く…… 全然付いていけないぞ!」
「次元が違いますね!」
「エルクさんはどこまで凄いんだろう……」
「私たちの研究会のリーダーは人間じゃない!」
クラウ達がエルクに対していろいろと言うが、エルクはやってしまったことは仕方ないし、できてしまうだからいいじゃんと開き直っている。
「良かったわね~ あなた死ぬところだったわよ~」
「お姉ちゃん……」
「ちょっといいかな?」
「何をしに来た、人間」
「僕は嫌いかな?」
「何を当たり前な!」
「じゃあ僕以外の人はどうかな?」
「興味無いわよ」
「そっか、なら良かった」
「そのアラクネをどうするんだ?」
「僕の従魔にしたんで、このまま連れて行きます!」
「なんだと!? そんな危険モンスターを王都内に2体も入れるのか!?」
「従魔なんで大丈夫ですよ!」
「従魔だからってな……」
「ガウン。もうその子に任せてもいいのではないか?」
「何!?」
「悔しいがこの子は我等よりも強い。その強者が大丈夫だというのだ。信じる他あるまい。それに何かあったとしても、そこに居るウルフがなんとかしてくれるだろう」
「しかし……」
「僕が言うのもなんですけど、エルクに任せてしまっていいと思います」
「これは遊びじゃないんだぞ!」
エルクは腕を前で組み、ドヤ顔で生意気に
「本気ですから」
「くっ」
「はっはっは。私たちには何もできん!」
王都騎士団のデイビス団長が説得するのを早々に諦めたため、デイビスに言われてしまってはガウンも強く言えなくなる。
「じゃあ取り敢えず大丈夫かな! じゃあ、クラウ! 帰ろ!」
「そうだな…… 今日はもう日が半分まで落ちてるしな」
「よしッ! じゃあ皆帰るよ~ 準備開始ぃ!」
エルク達はこれ以上王都騎士団に付き合う必要も無いため、早々に寮へ帰ろうと移動し始めていた。アラクネ妹はというと、アラーネに担がれ、ウルの背中に固定されている。
「ほどけ~!」
「え~ 解くと襲ってくるでしょ?」
「む~~~」
「ほら~ 解くのは落ち着いてからね!」
従魔になってしまえば無意識の範囲で主である者を襲うことをためらうようになるため、糸を解いて自由にしても大丈夫なのだが、エルクは悩んでいた。悩んでいる内容とは名前である。エルクの苦手分野である。エルクは知らないが、従魔に名前を付けると主に対しての忠誠心が若干上がり、攻撃してくることはほぼ無くなる。
「エルク? もういいんじゃない? ずっとこのままだと可哀相よ!」
「反省しているみたいですし……」
「ほらほら! 解いてあげなって!」
「反省してま~す、解いてくださ~い」
既に王都近くまで来ており、もうすぐ森を抜けようとしていた。
「本当に大丈夫なんだな」
「ほらな! この小僧を王都騎士団に入れたくなるな!」
「あ~ もう、分かった分かった! というか、何で付いてきてるのさ!」
「お? 王都に帰る道を通っているだけだぞ?」
「嘘付け!」
エルク達が帰り支度をしてすぐに出発したのだが、王都騎士団の連携された準備の方が早く準備しており、エルク達が帰るのと同時に行動を始めたのである。ちなみにデイビスはドヤ顔をしている。
「あ! あの人達って!」
先頭を歩いているクラウが森の向こうにある集団を見つける。
「あれは!」
「おぉ! よく生きて帰って……」
「団長!」
「団長だ!」
「た、助かった」
そこに居たのは森へ入っていったまま姿が見えなくなっていた王都騎士団であった。
「あ! アラーネは誰も殺さず拘束してそのまま森に置いてきたって、言い忘れてたっけ!」
「「おい!」」
森で拘束された騎士達は全員森の外でいつの間にか合流して森に入るかを悩んでいたという。王都に帰ってきたエルク達と王都騎士団はこのアラクネ騒動で少し距離が縮まったのであった。
「この糸ほどいてよーー!」
『はぁ……』
ちなみに糸は解かれず、王都に入っていくのであった。
追記
アラーネの能力
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アラーネ 従魔 アラクネ
主 :エルク
レベル:1
HP :15700
MP :8500
攻撃力:12000
守備力:7500
素早さ:16000
魔法 木 気
能力 糸 粘着糸 切断糸 弾力糸 跳躍 能力強化 能力超強化 裁縫 気配遮断
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