第30話 研究会の活動2
前回のあらすじ
新しい友人→研究会説明→研究会メンバー仲良くなる
研究会メンバーの仲が良くなった次の日の朝。
「クラウ~ 今日こそはテイムするからね!」
「分かったよ。で、今更なんだけどさ」
「ん?」
「なんで俺が研究会リーダーになってんの!? そこはエルクだろ!」
「え~ だってリーダーとか面倒そうじゃん! クラウならできるかな~ と思ってさ!」
「面倒事を俺に押し付けるな! リーダーはエルクがやれよ!」
「そんなに熱くならないでよ~ 分かったから、じゃあ副リーダーやって! お願い!」
「副リーダーならいいけど」
「よし! じゃあ今日授業終わった後訂正してから行くね! 先に従魔寮行って待っててね。すぐに行けると思うから」
いつも通りメル達と一緒に学園に行き、いつも通り授業を受け、いつも通り終わる。
そして学園が終わった後、エルク1人教室を飛び出していく。教室に残っているメル達はクラウから軽く説明を受ける。
「エルクは少しやることがあるからって事で、先に従魔寮に行くことになってるから。ソウさんを待って、来たら従魔寮に行こう」
「エルクのやることって何?」
「あ~ 研究会のリーダー変更だ」
「エルクさんからリーダーが変わるんですか?」
「はぁ…… やっぱりか……」
クラウはため息を吐き、エルクがリーダーだと思っているメル達に説明する。
「エルクは勝手に僕をリーダーにして、副リーダーをメルにしていたんだよ」
「え! そうだったの!?」
「知らなかったです!」
「な! 知らなかっただろ? そういうことだから、エルクがリーダーで僕が副リーダーになるから」
「なんだか大変だったのね」
「ソウちゃんにも伝えないとだね!」
エルクが教室を出て行った後、クラウ達はソウと合流し従魔寮へ向かって歩いていた。エルクはというと、既にリーダー変更の申請書を提出したのだが、他の研究会の活動内容や活動実績を見ていた。
「ん~ どれもぱっとしないよな~」
どの研究会も、レッサーウルフやレッサーマンティス等下位種のモンスターに関しての論文がほとんどであり、優秀と言われている物は下位種ではなく通常種のウルフやマンティスに関することであった。内容としては、モンスターの生態調査を称して同じモンスター同士の交尾や、モンスターの習性を観察して記録に残すというものだった。どの研究会も発表するものが地味過ぎるため、エルクは呆れていた。
ある程度の研究会の実績を見終わった後、従魔寮に向かう。エルクに関しては転移すればすぐに跳んでいけるため、少しのんびりしていた。学園の中で転移すると噂になりそうなため、学園を出てから転移する。転移した先は従魔寮の入り口だった。
ちょうど入り口から奥へ進もうとしているクラウ達を見つける。
「お~い! クラウ~!」
エルクが大声で叫びクラウを呼ぶ。その声が届いたのかクラウ達が振り返り、手を振ってくる。
「案外早かったな」
「まあ、提出するだけだしね! 皆揃ってることだし、早速行こう!」
「昨日とは違うところを探した方が良いかもね」
「そうだね。そうしよう!」
エルク達は王都の城門を抜け森に入っていく、昨日とは別の方向の森である。王都周辺には冒険者が多く居て、その冒険者に遭遇することも少なくない。エルク達がテイムしようとしているモンスターは冒険者に狩られていることも少なくない。王都周辺にモンスターが少ないのは冒険者のおかげであり、所為でもある。
「あ! 良い事思いついた!」
「どうした?」
森に入ってもモンスターに遭遇していない。どこかにいるのは確かだが、どこに居るのかが分からない。当たり前だが、どこに居るのか分かれば大した苦労をせずに遭遇することができる。こういうときに便利な探索系の能力を持っている者がエルクには心当たりがあった。
「ちょっとウルを連れてくるから! ちょっと待っててね~」
「ちょ、いきなり過ぎるだろ!」
クラウの言葉を最後まで聞かずに転移していくエルク。転移した先に居たのは、当然ウル達であった。もしかしたら、狩りに出かけているかもと思っていたが、そんなことは無くゆったりと過ごしていたようだ。
「ウル! ちょっと手伝って欲しいから来て!」
『分かった。ちょうど暇だしな』
『おいらも行くッス!』
エルクはクラウ達の元に転移した。いきなり転移してきたエルクに対して、驚くクラウ達。実際はエルクに驚いたではなく、エルクの後ろにいたウルフに対して驚く。エルクの従魔だと分かっていても、いきなり現れればびっくりすること間違いなしである。
「あ、驚かせちゃった? ごめんごめん!」
「いつ見てもその従魔は凄いわね…… 力の底が見えないわ」
『当たり前だな』
「そう言われて嬉しがってるよ!」
「そ、そうなのか? 若干威圧されてるような気がするのだが」
「照れ屋なんだもん!」
『エルクよ、適当なことを言うでない!』
『あはは、ごめんごめん! じゃあ早速頼むよ!』
『任せておけ』
「えと、今ウルがモンスターを探してくれてるからちょっと待ってね。ちょっとって言ってもすぐだとは思うんだけど」
『居たぞ、スライムっぽいな』
エルクがクラウ達に説明してすぐにウルの探知に引っ掛かるモンスターが居た。ウル曰くスライムらしい。
「あ、もう見つけたってさ。じゃあ行こう!」
ウルを先頭に歩いていく。クラウ達はただ付いて行くだけである。エルクに関しても、特に何をするわけでもなく、1番後ろを歩いていた。先頭にいたウルが足を止める。その視線の先にはぷるぷると動くモンスターの姿があった。ウルの言っていた通り、スライムである。
「スライムか~ 欲しい?」
エルクが全員に問いかけるが、全員あまりいい顔をしていない。どうやらテイムするのはエルクになりそうだ。
エルク「じゃあ僕がテイムするよ。 てぇい!」
エルクの手からビーム型のテイム魔法が放たれる。ビームが当たったスライムは光に包まれ、やがて光が消えていく。テイム成功のようだ。早速スライムに名前を付け、能力を見てみる。
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ダクト 従魔 プロダクトスライム
レベル:1
HP :100
MP :150
攻撃力:75
守備力:90
素早さ:60
魔法 水 収容
能力 生産 薬草採取 採取効率強化 草鑑定 保管
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どうやら、戦闘向きではなく何か生産職系のスライムのようだった。戦闘面で役に立つことは無いだろう。だが、エルクの従魔では初の生産系モンスターを仲間にすることができた。これだけでもかなりの収穫だっただろう。
「これからよろしくね! ダクト!」
『いきなり殺されるかと思ったが、魔法を掛けられ力を得ることになるとは興味深い!』
新しく仲間になったダクトはエルクから力を貰い、テンションが上がっていた。
『私にできることはそう多くはありませんぞ! ポーション作りくらいしかできんのでな!』
「基本的にはスラとライに従ってね! 後で会うから。今はウルの背中に乗ってていいよ」
『了解!』
エルクがテイムするところを見ていたエネとソウは興味深そうに見つめていた。特に同じテイマーであるエネは困惑した表情をしながらエルクを見ていた。
「エルクさん! 今のテイム魔法は何ですか!?」
「え? 普通のテイム魔法だと思うけど?」
基本的なテイム魔法は鎖型と包囲型である。それ以外には無いと学園の授業では習っているため、エネが興味を示すのも不思議ではなかった。
「あ~ エルクのテイム魔法は特殊なんだよ」
「そうかな~?」
エルクが初めて教えてもらったテイム魔法がビーム型だったために、鎖型や包囲型の方がめんどくさくて使う気にならないという。
武術科に属しているソウは初めて間近でテイムするところを見て、感動していた。
「そんな風にしてモンスターと心を通わせることができるのか! テイマーって凄いな!」
「普通はこんな簡単じゃないんですよ? エルクさんが凄すぎるのかもしれません!」
「まあ、何はともあれ早速1匹テイムしたんだ! 次行こう! 次行こう!」
研究会に必要なモンスターを増やすためにまた森の奥深くへ入っていく。
~王都冒険者ギルド
「大変だギルド長! 森の奥にとんでもねぇモンスターが現れたって冒険者達が騒いでるぞ!」
「被害は!? どんな奴だ!?」
「今の所冒険者の5人が怪我を負ったらしい、姿は下半身が蜘蛛だってことしか分かってない! どうにもいきなり襲われたらしい!」
「上級冒険者に通達しろ! 急げ!」
冒険者ギルドではなにやら騒がしいことが起こっていた。
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