第28話 研究会発足!
前回のあらすじ
グリフの説得→研究会発足計画
エルク達は学園に着き、研究会発足のための準備をしていた。準備といってもどんな研究会をするかについての話し合いである。結局昨日は白熱しすぎてまとまっていなかったのだ。エルクとクラウは様々な意見を出し、後はまとめればある程度の研究会の方向性が見えてくる。
しかし、研究会を発足するために最低限必要な項目は3つあり
・人数 5人以上
・目的
・顧問
となっている。
エルク達の目的は決まっているが、他の2つが足りていない。人数に関しては誰か引き入れればいいのだが、その候補に挙げられそうな人物が居ない。顧問に関しても同様で、誰に頼めばいいのか分からない。この条件をまずはクリアしなければ研究会を立ち上げることができないため、どうにかしないとならないが、当てが無い。
学園生活4日目にしてここまで動こうとしている者は少なく、新入生は知り合いの上級生たちの研究会に入ることを決めていたり、研究会に入る気が無かったりと様々である。
授業が始まり、エルクは研究会のことについてずっと考えていた。後1人をどうするのか、顧問をどうするのか。後1人を適当に入れる気はない。顧問も無責任な人は嫌だ。そんなことを考えながら授業を過ごす。そしてふと思い出す。顧問候補が1人いることに。エルクは休み時間になったら直接頼みに行こうと決心する。
授業が終わるのを今か今かと待ち望んでいるエルク。しかし、そう思えば思うほど時間は長く感じるものである。クラウとメルは真面目に授業を受けているため、話しかけることができない、エネはというと席が離れているため、話すことができない。楽しい時間はすぐに過ぎていくのに、めんどくさいと思う時間はこうも長くなるのか、世界の真理である。
などと考えているうちに授業は終わる。そして早速顧問候補に会いに行くことにするエルク。エルクが席を立ってどこかに行こうとするのを見てクラウも立ち上がり付いて行く。
「エルクどこ行くんだ?」
「顧問になってくれそうな人を1人思いついたんだ。今から交渉しに行く!」
「おぉ! 俺も付いて行くぜ!」
そして、エルク達は扉の前に着いた。その場所は、学園長室である。
「エルク? 本気でここに入るのか?」
「本気だよ? 大丈夫! 任せてよ!」
エルクが扉をノックする。そして、扉の奥から声が聞こえる。エルクはそっと扉を開けていく。
クラウは心臓がバクバクと音を鳴らし緊張していた。目の前にいるのはこの武魔術学園の学園長。この都市の中で最強クラスの人物に会って、緊張しないほうがおかしい。目の前に机を挟んで学園長。学園長の前にエルクがいて、その隣にクラウがいる。クラウは緊張しすぎて、声を発することができずうなずくばかりであった。
「___だから、顧問やってほしいな~ なんて」
「おいっエルク!」
「よいぞ!」
「へ?」
エルクが研究会発足のために最低限必要なもので、足りないものを話し、現在の状況を説明する。そして学園長相手に軽く頼む。言葉遣いもめちゃくちゃで、こんなのでは無理と思った矢先に即答で学園長が了承した。その即答を聞き逃してはいなかったが、クラウは信じることができず変な声で聞き返してしまった。
「わしでよいのならやるぞぃ!」
「ほ、本当ですか!?」
「ん? 本当じゃよ! なぜだか知らんがの、誰もわしに頼みに来ないのじゃだから空いておるよ」
「ね! 大丈夫だったじゃん!」
「お、おう」
クラウはいまだに信じられないという顔をしている。こんなことをメルやエネが知れば同じような顔をするだろう。異常なのはエルクだけである。そして1つ問題が発生する。それは、学園長が顧問になるということだ。学園長が研究会の顧問になるということはその研究会が良くも悪くも目立つことになる。そうなってしまえば、悪ければ上級生に目を付けられ、学園長に近づこうとしている者達が研究会に入ろうとしてくるだろう。入るのを拒めば、悪い噂がすぐに立つことになるだろう。
「何か心配しておるのかの? なに、そう心配せずともよいぞ。何か言うやつが居ればわしがどうとでもできるからの! ほっほっほ!」
「そうだよクラウ! 早速皆に伝えに行くよ!」
「そ、そうだな。学園長ありがとうございます!」
「ありがとー」
「よいよい、あと1人は頑張るのじゃぞ~」
学園長室を出た2人は、ただ学園長室を出た者と緊張の地獄から抜け出した者とでかなり違っていた。クラウは改めてエルクの凄さを感じることになったが、エルクと学園長の関係を知ってしまえば驚くこともないだろう。
エルクとクラウは教室に着き、早速メルとエネに学園長室であったことを説明する。説明している最中ずっとメルとエネは唖然としていた。クラウは2人の様子を見て、仲間がいてほっとした気分になっていた。そして2人共クラウと同じ心配をするが、それに対してもエルクが説明し、また唖然とする。
「___ということで、残りは研究会に入ってくれそうな人を1人探すことだね!」
「ということで、ってな~ エルク。簡単に言っているが、これはかなり凄いことだぞ?」
「あ~ 学園長だもんね~ ラッキーだね!」
「エルクの度胸が私も欲しい!」
「わ、私も欲しいです!」
「2人共諦めた方がいい、明らかにおかしいからな」
「まぁそんな細かいことは後にしてさ、後1人だよ!」
「「「細かくない!」」」
3人の息の合ったツッコミを受けつつ、最後の問題に目を向ける。これに関してはエルクもクラウもメルも当てが無かった。このままでは折角ジン爺を顧問にできたのが無駄になってしまう。唸っているエルク達の中で1人何かを言いたそうにしている者がいる。エネである。
「ん? エネ? どうかした? 何か案があるの?」
「え、あ、あの~ 1人だけ心当たりが____」
「なに!?」
「それは誰だい?」
「あ、従魔専門じゃないんですけど、私と同じ村出身の子なんですけど」
「採用! 早速会いに行こう!」
「え、え!?」
エルクは既に席を立っており、教室を出ようとしていたが。
「エルク、もう授業が始まるぞ」
「あ」
エルクの絶望した顔がクラウ達に向けられるが、授業は始まろうとしていた。
「エネ! 終わったらすぐ行くからね! 準備しといてね!」
「は、はい!」
そして授業が始まる。案の定エルクは授業後のことを考えており授業のことなど見向きもしない。クラウとメルも若干だかそわそわしている。現在の授業は王都周辺にある山のモンスターについてだった。その話の中でエルクは少しだけ興味が出たことがあった。ある山の山中にトカゲのような体表をしている二足歩行のモンスターがいるという。エルクは少し興味が出たが今は先にやることがあるため、モンスターの情報を頭の隅に置いておくことにした。
授業が終わり、エルクはエネ達と一緒に武術科に向かって歩いていた。
武術科に着き、剣術専門の教室に着く。そして、教室の入り口でエネがうろうろしていると、教室から1人エネに近づいてくる。
「エネ~ こんなところで何してるの?」
「あ! ソウちゃん!」
「やっほ~ どしたの?」
「ちょっと相談があって……」
「ん?」
「こんちわ~ 研究会に入ってください!」
「え? いきなり何?」
「あ、同じ従魔専門クラスのエルクさんです!」
「僕が説明するよ。えっと、僕達は____」
エルクが直球で言ったためにソウは戸惑ってしまったが、クラウが上手く説明してくれたおかげでちゃんと伝わったようだ。
「ソウちゃんはまだどこの研究会にも入ってないよね?」
「そうだね~ エネが私に頼むことなんて数えるくらいしかなかったし、いいよ! 研究会に入るよ」
「よっしゃーー! 早速提出してくる!」
クラウに後ろへ追いやられたエルクはずっとこのときを待っていたかのように飛び出していった。そしてその日新たな研究会が発足する。
研究会名
「モンスターの国研究会」
目的 モンスターの生態調査、従魔の調査。
登録者
研究会リーダー
・クラウ 魔術科従魔専門
研究会副リーダー
・メル 魔術科従魔専門
研究員
・エルク 魔術科従魔専門
・エネ 魔術科従魔専門
・ソウ 武術科剣術専門
顧問
・ジン 学園長
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