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辺境の村のモンスターテイマー  作者: スルメイカ
第一部・王都学園編
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第27話 研究会

前回のあらすじ

レッドドラゴンの助太刀→火龍の加護→グリフォン加入!

 洞窟を抜けたエルク達はジン爺の結界まで来ていた。来る途中に仲間にしたグリフはまだこの辺りで戦わせるには厳しいため、場所を変えようとしていた。


「どこがいいかな~」


『ここでもいいと思うがな』


『おいらが付いてるッスよ!』


『ちょ、ちょっと待ってよ! 僕はまだ一緒に行くなんて言ってないからね!』


 グリフは親を目の前で殺されたことでエルクに付いて行く気持ちが出来ていなかった。


「とか言いつつ付いてきてるじゃん!」


『仕方なく! こんな危険な場所で僕だけになったらすぐに食べられてお終いだから』


『一緒にこないのだ?』


『っう』


『いや~ 一緒に旅をしたかったですね~』


『っうぅ』


 なぜか分からないがグリフはドラゴとライに対しては弱い。グリフはまだ子供の感覚が残っているのか、普段子供っぽいドラゴには密かに仲良くしたいという気持ちがあり、エルクの従魔の中で1番頭がよくエリートのライには尊敬のような思いがあるようだとエルクは感じる。


 これはエルクの能力の一つ「意思疎通」の力で、ある一定の条件を満たした者の意思や思いを感じることができ、自分の意思や考えを相手に送ることができる能力である。


 この能力のおかげで、グリフは誰に何を思っているのかエルクに対して筒抜けになっている。それを利用しない手は無いと考えるエルクの意思をグリフを除く従魔全員に対して送っていた。


 グリフから見た全員の印象はこうである。


エルク 不思議な人間。この中で1番怖い。


ウル 従魔全員のまとめ役。兄貴分。


スラ 天然のスライム。なぜこの従魔の中にいるのか分からない。


ライ かっこいい。付いて行くならこのスライムに付いて行く。


ドラゴ 仲良くなりたい。同世代っぽい。超強い。


ライオ ウルに次ぐ兄貴分。ダンディな感じ。


 となっている。


 基本的に皆(従魔)に対しては良い印象を持っていることが分かる。エルクは自分だけ怖いと思われていることから、グリフの説得はウル達に任せることにした。エルクは何もしないのかというとそうでもない。グリフの意思はエルクにしか分からないため、グリフの考えをウル達にささやくのがエルクの役割となる。


 この意思疎通は近くにいなければできないわけではなく、遠くに居ても使える能力であり、まあまあ便利である。この能力は従魔全員に対して使うことができ、ウル達がそれぞれ何を思っているのかが分かって能力を得た時からニヤニヤするエルクだった。


 この能力によってエルクはウル達が誰と誰が相性が良いのかが何となく分かるため、いつかタッグチームを組ませていろいろやってみたいと考えるのだった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

~魔術科従魔専門 男子寮


 エルクは寮に戻ってきていた。あれからグリフの説得はウル達に全て任せ、辺りが暗くなってきた頃に転移して寮に帰ったのだった。


 寮には既にクラウが居て、エルクの帰りを待っていた。


「おかえりエルク! どうだった今日は?」


「ただいま~ いや~今日は疲れたよ~」


「はは、『今日は』じゃなくて『今日も』の間違いだろ」


「あはは、そうかも~」


 エルクは寮に帰ってきてからベッドに横になり、いつも通りグダグダと過ごしていた。クラウはというと、宿題があるそうで一生懸命やっている。クラウは従魔専門の中でもかなり出来る方だ。クラウから聞いた話によるとメルも同様で、エネも出来るらしい。エルクの周りにはエリートが集まっているようだ。


 実際はエルクがずば抜けているのだが、クラウ達以外の者はほとんど知らない。従魔専門クラスのほとんどの生徒がエルクのことを、サボり癖のある生徒程度にしか思っていない。初日にあれだけ騒がしいことをして少し目立ったが、物凄く目立つということも無かった。むしろ目立っているのはクラウ達の方だった。


 クラウは顔立ちが良く、正義感があり真面目であるため、クラウを知っている女子は様々な目を向けている。メルとエネも同様で、メルはスタイルが良く、性格は明るい。人当たりも良く男子に人気である。エネはどこか守りたくなるような雰囲気があり、一部の男子から人気が出ている。簡単に言うとメルは美人系でエネは可愛い系で人気だ。そんな人気者がよく一緒にいるため近づこうにもなかなか近づけないらしい。


 エルクが寮に帰ってきてからはクラウの愚痴に付き合っていた。魔術科には様々な研究会があり、新入生の勧誘が盛んに行われているらしい。クラウも上級生から何度も勧誘の声を掛けられたという。


「研究会ね~ どんなのがあるの?」


「分かりやすいものならいろいろとあるけど、1番分かりやすいのはモンスター研究会だな」


「へぇ~ モンスターの研究なんかして楽しいのかな」


「他にもあるからさ、これ見てみろよ」


 そういってクラウはエルクに研究会名簿を渡す。


「うわぁ~ 本当にいっぱいあるね」


「だろ? 似たようなものもいっぱいあるからさ、なんか気乗りしなくて全部断ってるんだよね」


「ふ~ん。でも何か面白そうだね! これって僕にも作れるのかな」


「作れると思うけど詳しくは分からないから明日聞いてみようぜ! エルクが作った研究会なら俺入るよ!」


「ほんと!? 何かやる気出てきたな~! じゃあ早速何を目的とするのか考えようよ!」


「お! いいね~」


「この名簿見てなんとなく分かるんだけど、魔術科の研究会はモンスター関連が多くて、武術科は自分を鍛える感じなんだよね~」


「武術科のは研究会っていうより筋トレ会だよな!」


「そう! なんだか研究じゃないよね!」


「エルクはどんなのやりたいんだ?」


「ん~ のんびりとわいわいやりたいからな~」


「エルクらしいな! それで?」


「この紙にはさ、研究会にはある程度の敷地を用意するって書いてあるから、従魔をいっぱいふやして従魔にしたモンスターの生態調査と称して遊ぶのはどう?」


「従魔をいっぱいってな、普通はそんなにできないんだぞ!?」


「クラウもメルもエネも10匹以上できるでしょ!」


「できると思うけど、ってメルとエネも入ってんのかよ!」


「皆居たほうが楽しいじゃんね! 何か気合入ってきたー!」


「そりゃそうだけどさ……まぁ楽しそうだな!」


「まずはね____」


 こうしてエルクとクラウによる研究会発足計画が始動した。エルクが帰ってきたのが日が落ちてきてすぐだったこともあり、研究会発足についてかなり白熱した討論が行われた。それは夜12時を過ぎても盛り上がりをみせ、次の日エルクとクラウは目の下に隈を作ってしまうほどだった。


 翌朝。


 エルクとクラウが死んだ顔をしながらいつもの集合場所に着く。いつも通りメルとエネが待っていた。


「兄さん!? エルク!? どうしたの? 顔色が悪いみたいだけど」


「エルクさんは何となく想像が付くけど、クラウさんまで一緒に隈を作るなんて何かあったんですか?」


「クラウ…頼む……」


 死んだような顔のエルクは、死んだような顔のクラウに説明してくれと頼むが、クラウも昨日の盛り上がりのせいでかなりしんどそうだった。


「実は昨日な___」


 クラウがしんどそうな声で昨日あったことを簡単に説明する。


「はぁ。なるほどね。昨日テンションが上がって夜遅くまで起きてたのね?」


「はっ!? そうなんですか?」


「メル。ナイス推理だよ。ということでメルとエネも協力してね!」


 いきなり元気になってきたエルク。


「私はいいけど……」


「ぜひ! ぜひご一緒させてください!」


「よし…これで計画の一歩を進んだぞ」


「それでは今日。行動に移す!」


 そういってエルク達は学園に着く。

読んでいただきありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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