第18話 学園生活3
前回のあらすじ
魔術科従魔専攻の説明→寮生になる
エルクはグランさんの家に着いた。
「少しの間でしたがお世話になりました!」
「いいっていいって! で、学園初日はどうだった?」
「はあ、いろいろありまして___」
エルクは学園の雰囲気を話し、喧嘩のことを話し、寮に従魔達を連れて行くことを話した。喧嘩の話しをしているとき、グランさんは大笑いしていた。
「初日から飛ばしてるな! まぁ、頑張れよ! やっとあの従魔達に慣れてきたのによ~」
「仲良くなれたんですか? じゃあテイマーになれるかもですね!」
「やめてくれよ、俺は魔法使えないんだからよ!」
「そうなんですか~ あ、クラウ達を待たせてるのでそろそろ行きますね。ありがとうございました!」
そういってウル達が居る馬小屋へ行った。
「ウル~ 皆~ 行くよ~」
『やっときたか。待ちくたびれたぞ』
『どこ行くッス?』
「学園の近くだよ」
『何か楽しそうッスね!』
「分かってないでしょ!」
『分からないッスけど何となく楽しそうッス!』
「まぁいいや、じゃあ行こうか。え~とベルとファンも一緒に行くから連れてきて~」
かなり危ない面子である。こんな面子が王都内を歩いているとなるとかなり心配になるが、そうなることを予想して寮までの道は人通りの少ない道を歩いていた。さすがに1人にも会わないことは出来なかったが最小限に抑えられただろう。すれ違う人達はエルク達を見た瞬間に走ってどこかへ行ってしまったが、エルクは気にしていなかった。
後日、王都内にでかい狼とドラゴンが共闘して攻めてきたという噂が流れたが、それはエルク達のことだろう。当の本人達はそんな噂を知ることも無かった。
寮に近づいたところでクラウとメルが居た。そしてもう1人女の子が居た。
「お~いエルク~ 早く来いよ~」
「いや~ ごめんごめん遅くなっちゃって。え~と?」
「紹介しますね。私と同室のエネちゃんです!」
「エネです! えと、えっとよろしくおねがいしましゅ!」
紹介されたエネはどこかおっとりしていそうな守ってあげたくなるような雰囲気を纏った女の子だ。それに自己紹介で噛む子だ。
「え~と緊張しなくても大丈夫! 僕はエルク。よろしくね~」
「す、すいません~」
ぺこぺこ謝っている。それにしても、エルクの周りにはかなり凶悪なメンバーが居るのだがそっちへの反応は全然無かった。なかなかに心は強いようだ。
「じゃあ受付の人呼んでくるよ」
「ありがと~」
数分後
受付の人はエルクの連れているモンスターを見て、呆然としていた。遠くからでも分かるほど驚いていたが近づいて来たときには、悟ったような顔をしていた。
「まさかこれほどとは思ってもいなかったぜ」
「確認はどうやるです?」
「ん? あぁ、もういいぞただ俺が見たかっただけだ」
「え!? 確認は?」
「そんなの適当だよ! 俺が見たら確認OKなんだよ」
「そんなんでいいんです?」
「いいんだよ! 別に断る理由もねえしな! 従魔寮はこっちだ、着いてきな」
クラウとメルは各々の従魔と戯れている。エネはその光景を微笑ましそうに眺めている。
「え~とエネさんは従魔居ないの?」
「え!? あ、はい~ まだまだ未熟者でして」
「そうなんだ。じゃあテイムしに行こうよ!」
「え!? テイム魔法もまだおぼつかないので、まだ早いかと~」
「実践あるのみだよ! 今日は遅くなりそうだから、明日にでも皆で行こう! クラウとメルもいいよね?」
「もちろん!」
「やったねエネちゃん! エルクと一緒に行けば安心だから!」
「よ、よろしくお願いします!頑張ります!」
明日学園が終わったあとの予定は決まり、従魔寮に着いた。
「そういやまだ名乗ってなかったな俺はビル。基本的には寮監をやってるもんでよく会うだろう、よろしくな! で、ここが従魔寮なんだが、誰か居るみたいだな。」
ビルが従魔寮に入っていきその後ろをエルク達が着いていく。従魔寮はかなり広く従魔同士の対戦がところどころで出来るほど広かった。従魔寮といってもただの広大な土地でしかないのだが。
ビルが奥へ進んでいきエルク達はついていくと人が居た。見たことのある男だった。
「なんだ、バッツじゃねえか。またここに居たのか」
「お、ビルさん! それにエルク君達もいるのか! 君たちも従魔をここに?」
「そうなんですけど、僕の従魔は自由奔放みたいでどこかに散らばってしまいました。ははは。」
そう、従魔寮に入ったときにウル、ドラゴ、ライオは従魔寮の広さを確認してくるといってどこかへ行ってしまっていた。今エルクの近くに居るのはスラとライだけだった。
「頭に乗ってるのはスライムかな? やけに小さいように思えるけど、スライムは基本的に弱いからね~ まぁ最初にしてはいいんじゃないかな?」
「スライムです! こう見えて結構強いんですよ」
「へぇ~ そりゃすごい!でもスライムよりもそっちのウルフの方が興味あるな~ ここら辺はウルフ種が少ないんだよね。ウルフの中にはかなり強い個体が居るって聞くから会ってみたかったんだよね。地方に行けば割と見られるらしいんだけど、なかなか行く機会が無くてね」
「確かに僕の村の周りにはウルフ種がたくさんいましたね。ベルとファンはその中の1匹です」
「僕もウルフ欲しいなぁ~ 。やっぱり強い?」
「それはもちろん強いですよ!」
「だよね~ 従魔譲渡してはくれないよね?」
「従魔譲渡? 従魔って他人に渡せるの?」
「お断りします。ベルは僕の中で最高の相棒なんです!」
「そういうと思ってたよ! 気にしなくていいからね! え~と従魔譲渡は知らないのかな?」
「知識不足ですいません」
「いやいや、従魔譲渡なんてほとんどの人がしないからね~ 親から子へ渡すときとか親友から貰う時くらいしか無いからね。知らない人の方が多いと思うよ」
「そうですよね。せっかく苦労してテイムしたのに渡しちゃうなんてもったいないですもんね」
従魔譲渡とはそのままの意味だが、簡単に言うと従魔の主を変更するだけだ。やり方は簡単で、従魔とその主が了承して、渡す相手がテイム魔法を掛けるだけで従魔譲渡となる。
「あ、そろそろ僕の従魔が戻ってきます」
「おぉ~ 良いね。どんなモンスターなのかな?」
「言っても信じてもらえないと思うので、実際に見てもらったほうがいいかと」
「楽しみに待つことにするよ」
数十秒後。ウルの影が見えてきた。遠くから見ると小さく見えるが実際はかなりでかい。そのまた数秒後に空を浮かぶ影、ドラゴだろう。次にウルとは別方向からも影が見える。ライオだ。全員一斉に帰ってきたらしい。全員数秒でエルクの元まで近づいた。
近づいてくるときに、ビルもバッツも身構えていた。本能的に恐怖を感じたのだろう。しかし迫ってきたモンスターがエルクの周りで止まったことで、若干落ち着きを取り戻したようだ。
「まさかエルク君の従魔かい?」
「そうですね」
「これは驚いたな~ まさかドラゴンが従魔なんて思ってもいなかったよ」
「よく驚かれます。ははは。」
それもそのはずで、ドラゴンテイマーは歴史的に見ても確認されているのは1人だけである。他にもテイムすることが出来る者もいるが、ドラゴンをテイムする機会に巡り合うことがまず無いのである。
「こいつらをここ従魔寮に置いておくといろいろとめんどくさいことになりそうだな」
「どういうことですか?」
「多分だけど、王都のお偉いさんが君を狙い始めるかもしれないね」
「ん~?」
「つまりだ、お前はちょっとすごすぎるから国で保護しようってことだよ」
「それは嫌だな~ 旅したいもん。どうしたらいいかな?」
「寮に置いてるとどっかの誰かが見て話が広まりそうだからな。別の場所に領地を持っていればいいんだけどな」
「土地を買うお金無いしな~」
「取り敢えず学園長と相談するしかないか。それまではここで様子見だな」
「あ~ 学園長か。何かいけそうな気がするよ」
「そうか、俺からも明日会ったら言っておくがお前からも言っておくといい。今日はもう帰って寝とけ!明日は忙しいんだろ?」
「そうですね。そうします。いろいろとありがとうございました」
明日の予定は朝から学園に行き、授業を受けつつ、ジン爺(学園長)を探す。学園が終わった後は、エネのテイムに付き合う。明日は少し充実しそうだなと考えながら各自寮へ戻っていく。
部屋に戻ってきたエルクとクラウはまだ荷物を置きっぱなしのまま出て行ってしまったので、荷物の整理をしてから寝ることになった。
読んでいただきありがとうございます。




