第16話 学園生活1
前回のあらすじ
入学→お爺ちゃん登場→王都の坊ちゃん達登場
学園内にある闘技場
ジン爺が中央に進みその後ろをエルク達が続いて歩く。闘技場の中央付近に着いたところでジン爺が振り向き
「ここらでよいじゃろ。じゃあ始めるかのぅ。っとその前にルールを決めんとな」
ジン爺がルールを決める。
1.ジン爺が止めたらすぐに攻撃を止める
2.致命傷になりそうな攻撃をしない
3.負けたほうは勝ったほうの言うことを聞く
「武器、魔法の使用は有りじゃでは両者前に進め」
エルクが前に進む、反対側からは3人全員にやにやしながら進んでくる。エルクは気にもしない態度で相手を見つめる。その態度が気に入らなかったのか3人共にイラつき始めていた。クラウとメルも一緒に来ているのだが、エルクが1人で戦うと言っていたので見届け役として付いてきている。
「それでは~ 始め!」
3人の男達は真正面に1人左右に1人ずつ分かれて挟み撃ちを狙ってきている。それぞれの手には剣が握られており、今にもエルクを斬りつけようと迫ってきている。エルクの手には何も無い。もちろん攻撃魔法も持っていないが、エルクにはとっておきの魔法がある。
3人が一斉にエルクに向かって同時に斬りかかった。
「へっビビッテ動けもしねぇ!」
「もらったぁぁ!」
「調子に乗るからだ! 馬鹿め!」
前から左右から剣が振り下ろされる。しかし剣は空を斬った。
「「「は!?」」」
3人の驚いた声が重なったとき、先程までエルクの真正面にいた男が吹っ飛んでいった。
「「え?」」
次に右にいたやつも吹っ飛ぶ
「ちょ!」
最後に残ったやつも吹っ飛ぶ。そして3人が遠くの同じ場所で倒れたためにちょっとした山になっている。1番下の奴が1番キツイだろう。
「そこまで~」
ジン爺が戦闘終了の合図を出し、倒れている男3人に回復魔法を掛ける。戦闘時間は1分にも満たなかっただろう。エルクが先に動いていればもっと早く終わっていたかもしれない。エルクは手加減をしてただ相手の尻を蹴っただけに過ぎない。単純にエルクが強いだけなのだが、そのことを知っているのはクラウとメルだけであったため、ジン爺も若干ながら驚いている。
「ほぅ。なかなかやるようになったのぅ!」
「まぁ~ いろいろあったからね!」
「学園長室で聞いた以外にもあるのか?」
「あるよ! まぁ今はこっちを片付けないとね~ また後で話すよ!」
「それもそうじゃな! ほれ! 起きんか!」
「何したんだ!」「卑怯な手を使ったんだろ!」「せこいぞ! 今のは無しだ! もう一回だ!」
「分かってないようだね~ 何度やっても同じだよ? 次やるときはこっちから行くけどいい?」
「ちっ」「卑怯者!」「学園長が手を貸したんだ!」
「物分りの悪い奴だのぅ。わしゃ何もしとらんぞ!」
「じゃあもう一回やろうか!」
そういって再戦。
「始め!」
数秒後、先程と同じように3人の男達は山に積まれた。エルクは開始早々男達の後ろに転移し、先程と同じように尻を蹴り飛ばして回った。それだけで、決着がついてしまう。エルクは物足りなさを感じると共にスラ達の強さが異常なことを実感する。スラ達に同じ攻撃をしたとすれば、逆に反撃をもらって吹っ飛ぶのはエルクの方だろうことが想像できるからだ。
ジン爺に回復してもらった男達3人は2度も同じ倒され方をし、しかも2度目は10秒も立っていられなかったことでエルクに恐怖の念を抱いている。最初にやられたときに素直に負けを認めていれば、とエルクは思いながら言葉を発する
「まだやる?」
恐怖の念を抱いていても王都で育ったプライドがあるため口調は強いみたいで
「分かったよ、負けを認めてやるよ」「しかたねぇな」「ちっ」
とかいうもんだから
「何? まだ僕に少しでも勝てると思ってんの? 僕まだ本気出してないよ? 手も使ってないし他にも___」
エルクは実際怒っていた。自分だけでなくクラウとメルに対してもこいつらは調子に乗ったことを言っていたからだ。エルクはこの3人がもう2度と絡んでこないよう、絡みたくも無くなるように追い込みを掛け続けた。
「____テイマーなめてんの?」
「こらこら、言い過ぎじゃぞ」
「学園長先生。こいつらはまだ分かってませんよ?」
「よい。後はこっちに任せておきなさい。で、約束はどうするのじゃ?」
「約束? あぁ~ クラウ~ メル~ どうしたい~?」
「ん~ 次王都自慢したら罰を与えるでいいんじゃないか?」
「私は怒りました。この3人のことを見たくありません! 一緒の空間にいるのも嫌です!」
「メル!? そんなに怒ってたの!?」
「エルクはいいの!? あんなに馬鹿にされて!」
「いや~・・・ クラウ!」
「え・・・(俺に振るなよ!)」
「まぁ落ち着かんか。そうじゃなここは入学したばかりじゃが、1週間謹慎でどうじゃ?」
「「いい!」」
「私はもっと罰を__」
「それでいこう!」
「それがいい!」
「ちょっ兄さん! エルク!」
「多数決ということで、1週間謹慎とする!」
メルにこれ以上何も言わせないようにするためにエルク、クラウ、ジン爺は見事な連携を見せた。さすがにちょっとした喧嘩で退学にするのもかわいそうという考えが少しでもあったため、なんとか退学を避けた。メルは納得していない様子だが、時間が経てばなんとかなるだろう。
「じゃあ、教室に戻ろうか! ちょっとこれの所為で目立っちゃったかな~嫌だな~」
「人気者になれるかもだぜ?」
「そんなのだるいよ~」
などと話しながら教室に向かっていた。メルは怒っているのか、機嫌が悪いのか話に参加してこない。エルクとクラウはなぜここまでメルが怒っているのか全然分からなかった。教室に着くと、案の定教室内はざわついた。エルク達が帰ってきて、王都の3人と学園長先生が帰ってこないことから状況を察し空気が若干重くなった。重くなったのは王都組であり、地方組は少しだけ嬉しそうにしている。
「え~と初日から騒がしくしてすいませんでした」
「あの3人は学園長先生からの罰として1週間謹慎になったよ」
「別に王都の人たちを嫌いな訳じゃないから気にしないでね!」
そういった所で先生達が会議から帰ってきた。教室内の状況を見てため息を吐いた。学園長先生に説明を受けたのだろう。教室にやってきた先生はめんどくさそうに説明を始めた。だるそうだ。だるそうに見えるだけかもしれないが、見た目からしてやる気を感じられないためあながち間違っていないだろう。やってきた先生はたしかダイキン先生だったはずだ。
「え~ さっきも名乗りましたけど~ 私の名前ですけども~ まぁ覚えなくてもいいですけど~ ダイキンです。」
けどけど続く喋り方をする人はだいたいめんどくさがりで、相手にもめんどくさいと思われるタイプだ。エルクはそんなことを思いながらダイキン先生の話を聞く。
「え~ この中で~ 寮に入りたい人~ いるかな~?」
何人かの手があがった。その中にエルク、クラウ、メルもいた。
「じゃあ~ 手続きあるから~ 紙書いて~」
寮に住む人には当然だが、地方組が多いようだ。王都組の中にも何人かいるようだが、そういう人達は学園から家が離れているらしい。
「質問いいですか?」
「はい。何でしょうか~」
「従魔の住む場所はあるんですか?」
「ありま~す。後で一応何か説明みたいな紙渡すけど~ 読みたくなかったら捨ててね~」
適当だな~とエルクは思いながら、ウル達も近くに住むことが出来てほっとしていた。
「次は~ なんだっけ、確認してくるから待ってて~」
そういって教室を出て行ってしまった。入学初日から大変なことになってしまったが、まだ学園生活は始まったばかりだ。
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